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「退職金制度 見直し重要」【日経新聞連動テーマ企画】ご意見まとめました!


「勤続20年の壁」。同じ会社に正社員として20年以上勤務すると、退職金が税優遇される……。そんな制度があるのをご存じでしたか。日経朝刊21日付「働き方イノベーション」面は、そんな終身雇用を前提とした税制の存在と、それにメスを入れようとする政府・与党の動きを紹介しています。

退職金への課税は、勤続年数が長くなるともらったお金から差し引ける控除額が増え、税負担をさらに軽くする。終身雇用に有利な仕組みになっている。具体的には退職金を一時金で受け取ると、そこから「退職所得控除」を差し引くなどして税計算する。

記事にある大和総研の試算によると、退職金の額が同じでも、新卒から同じ会社に35年間勤めた場合と、転職したために最長20年間勤めた会社がない場合では、課税額に89万円もの差が出ます。この誘惑のために、転職をためらう人もいるということです。

そもそも、退職金制度は必要なのかーー。日経COMEMOではこれに連動し、皆さんからご意見を募集しました。21日付「働き方イノベーション」面では、そのなかからごく一部のご意見を紹介しています。

紙面では、退職金制度について「是正すべき」「なくてもいい」「必要だ」との見方をそれぞれご紹介しています。ただ、いずれにしても今のままではなく、時代にあわせた改革が必要だ、との意見でした。記事の見出しも「退職金制度 見直し重要」となっています。

永濱利廣さんは、「日本の同じ会社で長く働くほど恩恵を受けやすい就業構造が労働市場の流動化を阻止する諸悪の根源」と断じ、一刻も早く是正の方向に向かってほしいと主張しています。

篠田真貴子さんは、「退職金制度はなくてもいいんじゃないか」といい、その分、企業年金を充実すべきでだと主張します。一方、長期間勤めると控除額が大きくなる退職金課税は廃止すべきとの意見です。

冨岡大悟さんは、退職金制度は必要だといいます。その一方で、確定拠出年金を義務化し、資産運用を自分で考えるきっかけとなる制度をつくるべきだといいます。

ここから先は、COMEMOに投稿いただだいた、その他のご意見をご紹介しますね。

本間充さんは「退職金が欲しいか、欲しくないかも、入社の契約の段階で決めるべきだ」といいます。人事制度を、デジタル・トランスフォーメーション時代の今に合わせて、根本から見直す時期だと主張します。

3年半ほど前に退職金をもらったという川端康夫さんは、従業員を会社に縛る退職金ではなく、むしろ人材の流動化・活性化を促し、産業の新陳代謝を図る新しい退職金制度に変えていかなければいけないと提案します。

富永朋信さんは、退職金は企業にとっては合理的である一方、従業員にとっては、どちらかと言えば非合理的であり、ロングタームでは廃れていく、との意見を展開しています。

村上臣さんは、日本の退職金や確定給付年金は「いわゆる終身雇用に紐付いており、世界的にみると大変めずらしい制度」とし、確定拠出型への移行により、企業と個人の「約束」のシステムが変化していると分析しています。

碇邦生さんは、退職金制度を一概に「良い」「悪い」で語ると本質を見失うとし、「退職金なし年俸制」「ポイント制退職金制度」など、人材ポートフォリオ別に4つのアプローチを提案しています。

ビジネス法務のT田さんは、会社として人材ポートフォリオをどうしたいか、人の流動性をどうしたいかという点を明確にし、その求める状況に対して退職金制度を設計すべきだといいます。

ビジネスライティング勉強会さんは「退職金は賃金の後払い」で、その税制に至っては枝葉末節だと主張。退職金制度を考えるならその土台となる雇用や働き方の変化など根本から考え直すきっかけとしたいといいます。

和泉紫さんは「もしも退職金が賃金後払いの性格を持っているなら支払われる必要があるが、企業慣習なのであれば絶対に必要なのかは考える余地がある」との見方。いずれにしても時代にあわせた改革が必要だといいます。

新卒で入った会社には退職金制度がなかったといううしをいさんは、「会社が従業員のことを考えくれていると感じられる」「退職金を預けている会社が潰れては困ると感じられる」の2点から、退職金は有用だといいます。

次回のテーマは「#ジョブ型雇用で変わること」。日本でもジョブ型雇用を導入する企業が出てきました。雇用のカタチが変わると、どんなことに影響があるのでしょうか。こちらも投稿をお待ちしております。

【8/3(月)19:30〜】イベントを開催します!

働き方innovation- 加速するジョブ型雇用社会に備えるー

リンクトイン・ジャパンの代表で日経COMEMO KOLとして働き方に関する投稿を手掛ける村上臣さん、サイバーエージェントの執行役員で人事を担当する石田裕子さん、大分大学で採用を中心とした研究プロジェクトを進めるKOLの碇邦生さんの3名をゲストに、日本経済新聞社の石塚由紀夫編集委員がファシリテーターを務めるオンラインイベントを8月3日(月)に開催します。

このイベントは日経本紙「働き方innovation」面で毎回展開しているテーマの理解を深める狙いです。

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