何火でも、思いの火を消さない。
この4月から、思いがけないスタートを切った方はいらっしゃいますか?
…はい、私です。近森未来と申します。
4月より「日経COMEMO」のキーオピニオンリーダーとして、倉成さんよりバトンを半分位引継ぎ、月に1回ほど記事を投稿することになりました。
今年1月より発足した「資生堂クリエイティブ」で、コピーライターをしております。新卒で資生堂に入社し、化粧品のコピーを20年ほど書いてきました。
そして5歳と10歳の子たちの母親もしています。当初は子持ちネタをなるべく避けていたのですが、いよいよ人生の半分どころか、近森未来の近森未ぐらいまで侵食してきて、あがくのはやめました。子どもの話は多いです。
しかし子どもについては、100人いれば100のストーリーがあり、気楽に「子どもはいいよ~」というスタンスではありません。(が、次世代の人たちを社会全体で育てるべきという思いはあります)
そんな私が日経新聞から記事を取りあげ、感じたことを書きます。輝かしいメンバーのなかに、キーでもリーダーでもない私が…とためらいもしているのですが、「こういう”異”なやつもいるよ」として声を出すのもいいかなと、と今年は思えたのです。
こんな時代が来ているからかもしれません。
ああ、いい時代になったと思いました。私も飲めないのです。注射用のアルコール消毒でも、たまに赤くなるレベル。
若いころは、店員さんに忍びのもののように自分のオーダーをささやいて、お酒ではないことをばれないようにしていました。(謎の飲み物を飲む女)
今思えば、本当は皆それほど気にしてなかったのかもですが。まさに「下戸」として、「下」の存在な気がしていました。
今は「スマートドリンキング」という言葉もあるように、自分の好きなものを、というムードになってきたかと思いますが、飲めないことはコンプレックスで、人生の楽しみの半分は味わえていないのかもなとすら、いまだに思っています。(というより正直うらやましい…!)
でもそんなとき思い出すのが、4年前のできごと。
会社のチームで、リーダーにご褒美ディナーに連れて行っていただいたときです。一体何を飲むかと考えあぐねていると、ノンアルコールのペアリングがあるとのこと。料理に合わせて、想像をはるかに超える素敵な飲み物たちがサーブされました。
皆から「うらやましい~」とまで言われ、お店の方に背景を伺うと
ソムリエもいるようなお店にとって、自分は招かれざる客、だからなるべく目立ちたくないというのを、鮮やかにくつがえすサービスは画期的でした。私、ここにいていいんだって。(何においても「気にしなくていいのに」は、持っている側の理論だったりもするんですよね。持たざる側は、そのぐらい上に引き上げてもらって、というか、本気で考えられた対応があって、やっと同じ目線に立てる。ゆるスポーツとかが近いのかな?どんな人でも楽しめるように徹底的に考えられたから、皆が楽しめる)
ノンアルの波に大きく火が付いたのは結局今でしたが、あの4年前のことは勇気になりました。自分が異分子だと感じることでも、誰かから認められる日は来るかもしれないのです。
ただその日が来るのは、1年後、10年後、
…もしかして死ぬ5分前かもしれない。
けれどコンプレックスも違和感も、ほのかな希望も、自分のなかに浮かんだ思いの火を消さずにいれば、いつか叶う可能性がある。
あのお店のように味方になってくれる人が現れることもある。
火は、いつも超強火じゃなくていい、
ときにとろ火…ろうそくでもいい。
人生で別のことを優先しなくてはいけないときは線香花火でもいい。
もし4月からの思いがけないスタートで戸惑って「あ、場違いかも。」「この気持ち、自分だけかも。」と思っても、湧き上がる思いの火を消す必要はない。抱えたまま、まずは始めてみましょうよ一緒に。
半分自分を奮い立たせるように書いた初回です。
こんな感じで、たぶんまずは月1回。
3時に煎餅でもつまんで一息つくように、よろしければお立ち寄りください。