はじめよう、対話型マネジメント -コントロールをファシリテーションに変える3つの視点-
「マネジメントスタイルを変えなければと思うけど、何からどうはじめたらいいか…」という声をよく耳にします。多様な働き方がひろがって、部下もさまざまな事情や価値観を持って働いている…、もっと互いに理解しあって力を発揮してもらうためには対話を増やさなければ…!わかっちゃいるけど、急に雑談を増やすのも気持ち悪がられるし!!
こんにちは、フリーランス×チームの働き方、ナラティブベースのハルです。
価値観もライフスタイルも職能も…多種多様なフリーランスをどうチームビルディングしていくか?12年間、試行錯誤するなかで対話型の組織運営のノウハウを蓄積してきました。今日は過去記事を引用しつつ、ご自身のマネジメントスタイルを見直して対話型に変えていくための3つに視点をご紹介したいと思います!
「場づくり」の視点
決まった方向に向けて合理的に物事を運ぶための管理(コントロール)が中心だったマネジメントスタイルから、対話を重視し各々の背景を会議の場に出して合意形成や行動を促進(ファシリテーション)するスタイルへ。もちろんコントロールがいらなくなるわけではありませんが、不足しがちなコミュニケーションを増やしたり、心理的安全性をつくる取り組みも必要となってきていますよね。「もちろん対話は意識しているよ!」そんな方でももう一歩踏み込んで3つの視点でセルフチェックしてみましょう。何か発見があるかもしれません。
一つ目の視点は「場づくり」です。
対話を増やすコツとして、今までの業務進行や決議をゴールにした会議は残しつつ、場を分けて対話を重視した「対話型会議」を取り入れることをお勧めします。つまり、あえて「場を分ける」ことで、課題解決や業務進行を目的とするのか?対話を重視するのか?参加メンバーがわかりやすくしていくことが両方の目的を損なわずにコミュニケーションを充実させます。
それぞれの業務や課題において、今は課題解決型の場が求められているのか?それとも対話共創型の場が求められているのか?必要とタイミングを見極め場づくりをし、コミュニケーションを促していく必要があります。よく見かけるのが、対話が必要なタイミングでとにかく決議しようとしたり、決議が必要な場でダラダラ対話が続いたりといった場面です。そういった場面で「場」を使い分ける判断をマネージャーがしていくことも大切ですね。
「言語化」の視点
2つ目の視点は「言語化」です。
「場づくり」をした上で、チームメンバーそれぞれが自分の言葉で語ること、モヤモヤしていることや、今まで言ってみたことのないことを、言葉にしてみることを促していますか?
当社の知見から生まれた手法を「ナラティブ・メソッド」と呼んでご紹介してきましたが、そのベースとなるアプローチ手法「ナラティブ・アプローチ」にも以下の記事で触れました。
「ナラティブ・アプローチ」の手法論の中でも特に注目したい「外在化」 や「名づけ」という技法があります。
対話を促すことで、各々が自分の中に抱え込んで(もしくは自分に帰属していると考えて)内在化してしまっている問題を言葉にして外に出し、外在化した状態でその問題について対話し、一緒にそれがどんな意味をもっているのか?意味づけを考えたり、「何と呼ぶか」名づけを行なっていったりすることで、言葉やその意味を共有していきます。
誰でも「人に話してみたら考えが整理できた」「一度言葉にしたら人に伝えられるようになった」といった経験を持っていると思います。言語化を促すことの効果は、たとえその言葉の定義があいまいであっても、明確にその問題解決について計画が立っていなくても、不思議とその後のチームの変化に表れます。対話の後、その言葉がそれぞれのチームメンバーの中に確実に意識されるので、不思議と日常的な発言や行動が少しずつチューニングされ、ゆるやかに改善に向かっていくなどチームに変化が起きていくのです。ある意味、マネージャーは、言語化を促すだけで チームに変化を起こしていくことができるということですね。
「目的回帰」の視点
最後の視点は「目的回帰」です。
「回帰」という言葉は少し難しい響きですが、何度となくそこに戻っていくといった意味です。場がつくられ、言語化が行われていく中で、マネージャーには、「それらが、目的にはどう結びついていくのか」ということを何度となく問うことが求められます。まさにファシリテーターですね。
それが決議の場であっても、対話の場であっても、「何を目指してやっているのか」を丁寧に何度も確認していくことで、各々の語ってきた背景の意味付けが変わったり、個々に持っている能力・課題が目的にどう結びつくのか考えるきっかけになっていったりします。大事なのは、対話を通して自分の言葉で語っていれば語っているほど、それが目的に結びついたとき強く「自分ごと化」され、その人の主体性が発揮されることです。
「外在化」をうまく使い、個人がもっている課題や能力よりも、「そこに何が起きているか」「どんな問題が発生しているか」という出来事に目を向け、「その出来事に対してどう関わるか?」「君の能力はどう活かされるのか」を問いかけ、メンバーが自ら自分と目的を結びつけていくことを手伝うことが大切です。
3つの視点、いかがでしたか?
対話型のマネジメントスタイルは、チームのみんながそれぞれに目的に向かい力を発揮できるよう、チームの活性化に貢献する「縁の下の力持ち」のようなスタイルですよね。今まで力強く上からみんなを引っ張っていくようなリーダーシップを奮っていた方には、両方を行うことは難しい点もあるかもしれません。
ただ、これらのすべての役割を自分ひとりで担っていく必要はなく、むしろチームメンバーの能力や力を借りながら、チーム全員で共創していくことが大切です。そうすることで、より一層チームの関係性の成熟にも繋がっていきます!ぜひ、自分も含めた全員の対話の中でチームのストーリーをつくりながら工夫していってみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
《合わせて読みたい記事》