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プログラミング知識不要のローコード/ノーコード開発〜新型コロナ対応、テレワークが加速する組織と個人のデジタルトランスフォーメーション

新型コロナウィルスの影響により、ビデオ会議のZoom、チャットサービスのSlackなど、日々ビジネスや生活の場面で使うツールにも大きな変革がもたらされています。そんな中、以前から気になっていた「ローコード」、「ノーコード」というキーワードを目にすることが急速に増えてきたと感じます。

ウェブ技術者の人材も限られている中で、迅速に個別の状況に合わせたウェブサービスを開発する場面が増えることが予想されるだけに、大きなトレンドになることが予想されています。

先日掲載されていた以下の記事の中では、新型コロナウィルス感染の世界的中心地であるニューヨーク市が対策サイトを構築するにあたり、アンコルク(Unkorq)という企業が提供するソフトウェア開発プラットフォームを利用することで3日間で立ち上げることができたことが紹介されています。

プログラミング言語の知識がなくてもソフトを開発できる「ノーコード」と呼ぶ技術への関心が高まってきた。米ゴールドマン・サックスの支援を受けるスタートアップ企業、米アンコルクはこの分野で事業を伸ばしている一社で、同社の技術は新型コロナウイルス対策にも使われた。資金調達やM&A(合併・買収)も相次ぎ、激戦区となりそうだ。

「ローコード/ノーコード」とは、コード(プログラミング)の知識・経験がなくても(或いはゼロでなくてもエンジニアの関与を最小限にする形で)、テンプレートを活用したり、ドラッグ&ドロップ方式で簡略化した手順を踏むことで、データの自動収集、分析、ビジュアル化などを可能にするアプリやウェブサービスを簡単に創ることが可能になる技術トレンドを指します。

海外メディアでは新型コロナウィルス対応のために企業が社員の健康状態の管理したり、業務管理の可視化をしたり、学校の教育現場で生徒の学習状況管理をしたりするなど、幅広い事例が紹介されています。

Emptying Offices Prompt Adoption of Low-Code to Build Work Apps  [ウォール・ストリート・ジャーナル 2020/5/15 ]
Next frontier in Microsoft, Google, Amazon cloud battle is over a world without code [CNBC 2020/4/1 ]

調査会社のフォレスター・リサーチによると、2020年の「ローコード」市場は昨年より8%増の67億ドル(約7,200億円)、2021年にはさらに15%増の77億ドル(約8,300億円)になるとも予想されています。他の調査会社のガートナーの予測では、ローコードアプリケーション開発は、2024年までにアプリケーション開発全体の65%以上を占めるとも指摘されています

ローコード/ノーコードという言葉を今まで聞いたことがなくても、例えばアンケートをGoogle フォームなどのオンライン入力フォームを利用することで、今まで紙で行っていた作業をデジタル化した人はいるのではないでしょうか。入力されたデータがリアルタイムでスプレッドシートで一覧が可能になり、簡単にグラフで可視化されたり、入力と同時に自動の返信の送付が可能になったりすることで、便利さを感じている人も多くいるかもしれません。 

今年の1月にグーグルに買収された「AppSheet(アップシート)」というサービスがあります。Google スプレッドシートやエクセルのデータをインポートすることで、自動的にアプリを生成することが可能なサービスです。まだ簡易的なアプリに限定されるものの、今までに200万を超えるアプリが作成されています。今後Googleサービスと密接に連携が行われることが予想され、プログラミングの知識のない人でも簡単なアプリ作成が可能になる日がますます近づきそうです。

Googleによるノーコード開発のAppSheet買収でプログラマー不在でもアプリ開発が容易に  [TechCrunch Japan 2020/1/15] 

ニューヨーク市だけでなく、国内を見渡しても一律10万円「特別定額給付金」のオンライン申請のトラブル、また感染者集計のミスなど、デジタル化が求められる場面が今後より増えていきそうです。東京都では23区から上がってくる感染者情報を当初ファックス1台で受信し、混乱を招いてしまっていたとのことです。4月にはファックスを増設という改善策がとられたようですが、一日も早く、効果的にデジタル化が進むことを願ってやみません。

感染者集計ミス、東京都連発 「ファクス1台に数百枚」 収集態勢改め[毎日新聞 2020/5/22 ]

ミスは、都内で感染者が急増した3月下旬から5月上旬に起きていた。都は当初、ファクス1台で発生届を受信し、職員約10人で確認作業をしていたが、1日数百枚のファクスが送られた日もあり、振り回されていた。23区内の保健所の担当者は「都も忙しくて受信確認ができず、混乱している印象だった」と明かす。
都は4月中旬にファクス機を増設し、各保健所に業務応援で派遣する職員を3人ずつ増やして情報収集体制を強化。今月1日には感染者が確認されてから療養終了までの情報を一元的に管理するデータベースの運用を始めた。保健所側からもアクセスが可能で、ファクスした発生届の情報が反映されているかを確認できるようになった。

当然国が運営するサイトなどは経験豊富なエンジニアの高度な技術が依然求められることと思いますが、社会全体のデジタルトランスフォーメーションの全体的な底上げを目指す際に、ローコード/ノーコード技術は欠かせないものになることと思います。

飲食店や小売店が今後テイクアウトやeコマースに力を入れる際にJimdoWixのようなサイトでホームページを作成し、BASEStores.jpShopifyを利用する人も増えることと思われます。また、NotionZapier のようなウェブ上での作業を自動化したり効率化するツールが普及することで、個人レベルでのデジタルトランスフォーメーションが加速していくのではないかと推測します。

リモートワーク時代がもたらす新しい習慣とデジタルツール活用〜メモ・コラボレーションツールのNotion(ノーション) [COMEMO 2020/5/9]
Zapierで自動化する効果的なニュースキュレーションの仕組みづくり [2020/3/10]

自分自身もまだアプリを作ったことがないこともあり、以下のような国内のローコード/ノーコード学習・促進のためのコミュニティも参照にしながら、理解を深めていきたいと思います。

・NoCoders Japan 協会(https://www.no-coders-japan.org/
NoCode School
・ローコード開発コミュニティ(https://www.x-rad.jp/
・ノーコードラボ(https://blog.nocodelab.jp/

Photo by Balázs Kétyi on Unsplash

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