見出し画像

結婚したいなら、"独身蟻地獄"東京から脱出すべし?

、「日本は300万人の男余り」だというお話をしました(※記事のリンクは末尾に)。

2015年時点での50歳時点の生涯未婚率も男性が23%、女性が14%と男の方が10%高いのも男余りを反映しています。都道府県別で見ると、なぜか圧倒的に東日本に男余りが集中しています。結婚したい男性は西日本に行った方がいいかもしれません。行ったところでモテる保証も、結婚できる保証もありませんが…。

しかし、圧倒的男余りの東日本の中で、唯一東京だけは女余りという状況があります。厳密には東京も未婚男性の方が多いですが、男余り率全国平均10%に対して、東京は6%と平均以下なのです。生涯未婚率も東京の女性は、19%と全国1位です。つまり、男が余っていて、女性にとってはよりどりみどりのはずの東日本の中で、唯一東京だけが「女性にとって結婚しにくいエリア」なんです。


わかりやすいように、都道府県別の生涯未婚率を、男女ともに全国平均比で比較したものをグラフ化してみました。

男は、男余り率を反映したかのように、東北~関東~北陸にかけて、平均より高くなっています。一方、女性を見ると、東京だけが異常に突出して高いことがわかります。他にも、大阪・京都・高知・福岡など高いところもありますが、東京の突出ぶりは一目瞭然です。

©荒川和久 無断転載禁止

なぜ、東京だけがこんなに女性が結婚しにくいのでしょうか?

これは、年収が高い女性ほど生涯未婚率が高いという状況があるからです。年収が低いほど生涯未婚率の高い男性とは正反対です。

©荒川和久 無断転載禁止


一生懸命がんばって仕事に打ち込んだがために、結婚時期を逸してしまう場合もあるでしょうし、女性の上方婚志向によって、なまじ自分の年収が高いために、自分の年収以上の男の絶対数が少なくマッチングされないということもあるでしょう。

高年収の未婚女性の構成比を見てみると、圧倒的に東京圏(東京・神奈川・埼玉・千葉の一都三県)に集中しています。特に、年収700万円以上の未婚者は、男女とも50%以上が一都三県の居住者で占められます。

もうひとつ要因として、以前もコラム化しましたが、東京は「専業主婦意識」が男性より女性の方が高いエリアでもあります。47都道府県中5位です。これは僕も意外でしたが、東京で専業主婦いわゆる片働きで暮らすのは、夫の収入がかなり高くないと苦しいと思います。東京の男は共働きを希望しているのに、女性の方がそれを嫌がるわけです。そうした意識のアンマッチも、東京の未婚化が高い原因のひとつでしょう。

仕事を求めて、東京に来て、結局未婚のまま生涯を終える。これと同じ現象は、江戸時代の江戸でも起きていました。当時、働き場を求めて、農村部から江戸に流入してきたのはほとんどが若い未婚の男性でした。そのため、江戸は一時女性の2倍も男性が多く住む「男余りの町」となったのです。必然的に、性比のアンバランスにより有配偶率が減少します。

周辺の地方からの人口を引き付け、生涯未婚のまま死んでいく人たちが多かった状態を、歴史人口学者の速水融氏は「都市の蟻地獄」と名付けています。江戸時代、その蟻地獄にはまったのは男性のみでしたが、現代では、それが女性にも波及していると言えます。

昔も今も、東京(江戸)には、仕事はあっても結婚相手はいないのです。

「どこに住もうが、結婚する人はするし、できない人はできない」と思われるかもしれませんが、人間は環境に大きく影響されるものです。住む場所はとても重要です。

勿論、結婚を望まない人はそれでいいでしょう。逆の見方をすれば、ソロが多く、余計なしがらみのない東京をはじめとした大都市は、ソロにとって非常に住みやすい、快適な街だとも言えます。


日本は300万人も男余りな件


長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。