もっとアニクラを輸出してみては?=ドイツから考える
前回に引き続き今回も、ドイツの首都ベルリン近郊で開催された大型アニメファンイベント「アニメメッセ・ベルリン」で感じたことを書いてみます。
皆さんはアニクラという言葉をご存知でしょうか?
アニメ+クラブ(イベント)の略で、アニメソングを楽しむDJダンスパーティを意味します。似た言葉にボカクラがあり、こちらはボカロ曲(初音ミクなど)+クラブ(イベント)となります。
「アニメメッセ・ベルリン」では初日の夜にこのアニクラが開催されました。DJを務めたのは日本からの招待ゲスト、ゲッツさんとKIMAGUREさんです。(写真はゲッツさん担当パート。スタッフが撮影)
お二人の見事なDJ技術に会場は大変な盛り上がりだったのですが、いくつか気づいた点を書き出してみたいと思います。
選曲については、日本で有名な曲や今が旬のアニメソングを中心としながらも、「とっとこハム太郎」や「デジモン」などドイツ語版の有名タイトルも随所に織り込まれていました。現地のニーズに適応した化内容になっていて、特にそのバランスが絶妙でした。(写真はKIMAGUREさん担当時間。スタッフ撮影)
しかし、会場で最も気になったのは、全員で同じ動きをして一体感を得るという音楽の楽しみ方です。
DJが率先して音楽に合った振り付けを先導し、全員がその動きに合わせるというものです。クラブイベントといえば、各人が思いのままに踊るというのが一般的でしょう。ただしアニクラに関しては、この楽しみ方がドイツのファンたちにも非常に受け入れられていました。
例えば画質は悪いですがこういうシーンがありました。(写真は筆者撮影)
これは確かアニメ「スペースコブラ」のサビの部分だったと思います。蛇のコブラをイメージした振り付けで会場が一体となり盛り上がっていました。こういう一体感を感じることができるのが、アニクラの大きな特長なのだと思いました。
実はこのアニメメッセ・ベルリンでのアニクラは今回が3年目となります。以前にはダンスグループRAB(リアルアキバボーイズ)のけいたんさんがDJを担当し、その時も会場が同じダンスを踊ることで非常に盛り上がっていました。(写真はアニメメッセ・ベルリン2017のプログラム冊子から抜粋)
世界には数々のクラブカルチャーが存在するかもしれませんが、会場での一体感を楽しめるスタイルはこのアニクラだけじゃないでしょうか?
世界には多くのアニメファンがいて、多くのアニソンファンがいます。アニメファンが集まるイベントが世界各地で開催されている昨今、アニクラの需要はもっとあるのではないかと思います。
余談ですが、ドイツでは近年、こうしたアニメファンに向けたダンスイベントが増えています。デュッセルドルフで開催される「ドイツのコミケ」ことドコミでは、DJダンスパーティは定番プログラムにひとつになっています。6月8-9日に開催される今年は、アニクラで有名な秋葉原のクラブMOGRAと協力し日本からDJを招待しています。ドコミのDJダンスパーティでは過去にもボカロPの八王子PさんやBIGHEADさんが招待され会場を大いに盛り上げていました。ベルリンやデュッセルドルフ以外では、ミュンヘンやケルン、カッセルなどでアニメファンやボカロファンをターゲットにしたダンスパーティが開催されています。筆者の見る範囲では、ドイツに関してはこの分野は拡大傾向にあり今後も成長する気配を見せています。
ドイツにもアニソンやボカロに特化したDJは存在しますが、日本はこの分野では量、質ともに最先端だと思います。
日本のDJがドイツを訪れ、ファンにアニソンの楽しみ方を伝授し、その中からDJが現れ、そして各地でDJをする、そういった流れができれば、アニクラというライブエンタメはもっと拡大するのでは?と思わずにはいられません。皆さんはどう思われますか?