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アニメ文化:ライブエンタメの場として盛り上がる海外のアニメファンイベント=ドイツ

ドイツの首都ベルリン近郊で5月17日から3日間、大型アニメファンイベント「Anime Messe Berlin」(アニメメッセ・ベルリン)が開催されました。アニメファンたちにより結成された非営利団体「アニメ文化協会」(ベルリン)が実施するファン向け総合イベント、いわゆるアニメ・コンベンションです。

このイベントは筆者も企画に協力しており今回と次回の2回にわたり現地で思ったことをまとめてみたいと思います。

「アニメメッセ・ベルリン」は2016年にスタートした今年で4回目の開催となる若いイベントです。しかし参加者数はすでに1万人程度(三日間のべ)と近年その存在感を増しつつある大型イベントのひとつです。ドイツ国内にはさらに大きなイベントがいくつかありますが、「アニメメッセ・ベルリン」が支持されている理由は、コンセプトにステージパフォーマンスの充実を掲げている点を挙げることができます。

つまりライブエンタメを重視しているのです。(写真はメインステージ。開場前のリハ中に筆者が撮影。)

日本から参加した招待ゲストのラインアップを見てみましょう。

沢井美空さん(歌手)
石崎ひゅーいさん(歌手)
BURNOUT SYNDROMES(ロックバンド)
士貴智志さん(マンガ家)
ゲッツさん(演出振付家、DJ)
KIMAGUREさん(DJ)

アニソンをレパートリーにもつ歌手の皆さんのライブステージに加えて、DJの両名もアニソンDJとしてメインホールを盛り上げました。(写真は初日の夜にアフターパーティとして開催されたアニクラことアニメソングDJパーティ。スタッフが撮影。)

では、マンガ家もステージに立ったのでしょうか?

答えはヤー!(ドイツ語の「Yes」)

士貴智志さんは、ライブドローイングを披露しました。マンガ家やアニメーターによるライブドローイングは近年人気のイベント・コンテンツとして定着しつつあるように思います。(写真は2日目に行われた士貴智志さんのライブドローイングのもよう。スタッフが撮影。)


同人誌即売会と違う点として、アニメコンベンションでは企業ブースや物販エリア、イラストレーターのコーナーだけでなくステージ企画も同時に進行します。ステージ企画の充実それ自体は珍しいことではありません。

筆者が注目するのは、参加者が1万人程度という規模ではかなり「がんばっている」のではと思うからです。

日本からドイツのイベントに参加する場合、移動費だけでもエコノミー航空券が10万円近くします。

この点に関して主催者に聞いてみたところ、およそ以下のように答えてくれました。

1)アニメメッセ・ベルリンは、ステージ・パフォーマンスを重視するコンセプトに基づき、招待ゲストについても優先的に予算を配分している。

2)加えて、招待ゲストの充実を謳うクラウドファンディングも実施している。(ちなみに協力者に与えられる「リワード」のひとつは、ゲストと夕食をともにする権利でした。)

こういった戦術が奏功した結果として来場者を集めている、と現地で改めて感じました。

さて、このような事例を踏まえて、アニメビジネスに関してどのような展望が描けるのでしょうか?話しを日本の事情に移します。

近年、観光業界を中心に消費スタイルに関して、モノを買うだけにとどまらず、何かを体験するというコト消費が人気だと言われています。

そしてこの傾向はアニメビジネス界隈にも押し寄せてきているようで、日本経済新聞社のCOMEMO(このメディアです)が実施するアニメビジネスに関するトークイベントでもライブエンタメがフォーカスされています。(下記リンクを参照)

そして今後日本では、さまざまなアニメ系ライブエンタメが増えると予想されます。そうなると、それらは有望な輸出コンテンツとして海外を目指すのではないでしょうか。しかし海外で実施するとなると、初回から単独開催は難しいかもしれません。であれば、世界各地のアニメファン向けイベントは有力なパートナー候補になるのではないかと思います。特に今回取り上げた「アニメメッセ・ベルリン」はライブエンタメを重視する点で親和性が高そうに感じました。今回は以上です。

次回はアニメメッセ・ベルリン編の後半として、アニソンDJパーティーにフォーカスします。

(6/1追記:後編はこちらになります。「もっとアニクラを輸出してみては?=ドイツから考える」

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