日経電子版で見る、働き方の変化2023
株式会社Another works代表の大林です。複業したい個人と企業・自治体を繋ぐ総合型複業マッチングプラットフォーム「複業クラウド」を運営しております。
日々欠かさず日経電子版を読み、日経COMEMO KOLとして月に2本の記事を発信する中で、今年1年”働き方”というキーワードにおいて大きな変化がありました。そこで日経電子版の記事を基に2023年の働き方の変化やトレンドについてまとめます。皆さんと共に振り返ることができれば嬉しいです。
賃上げ、2023年春季労使交渉
2023年1~4月にかけて、2023年春季労使交渉について各社からの発表に大きな注目が集まりました。日経電子版でも「賃上げ・春闘2023 企業や業界の最新動向」として特集が組まれ、各社の最新動向が報じられていました。日経が報じた経団連の調査によれば、2023年の春季労使交渉で大手企業の定期昇給とベースアップを合わせた賃上げ率は3.99%と高水準を記録したそうです。2023年12月現在は、既に2024年春季労使交渉に注目が集まっています。
コロナ5類への移行、リモートワーク
猛威をふるった新型コロナウイルスが「5類」へ移行したのも今年1月の出来事でした。縮小せざるを得ない状況にあった産業・ビジネスが移行に伴い一気に戻ったことで、業界業種問わず全国的な人手不足が問題となりました。日経で特にニュースになっていたのは旅館やホテルでの人手不足。需要の急拡大に耐え得る人員の確保が急務となっていました。
また、コロナ5類への移行によって働く環境にも変化が起こりました。日経の調査によれば「在宅勤務の実施比率」について2割未満だった企業の割合が53.6%と、コロナ前のように出社回帰が起こっているといいます。リモートワークという新たな選択肢が生まれたことにより、目的に応じて出社とリモートワークを切り替えるフレキシブルな働き方が定着しています。
新卒採用の早期化、Z世代は転職/副業が前提
各社採用難・人手不足に陥る中、話題を呼んだのが新卒採用の早期化です。2023年4月に政府は就職活動の規定スケジュールを見直し、専門性の高い人材の選考開始を大学3年生終了前の春休みに前倒しすると発表しました。また、従来認められていなかったインターンシップを通じた選考活動についても5日以上など一定の条件を満たす場合に選考での活用が可能となり、新卒採用の形態も大きく変化しています。
終身雇用が崩壊した今、Z世代のキャリアの選び方にも変化が見られます。日経の調査によれば、「就活で転職を視野に入れている」という問いに対しはいと答えたのが56%と半数を超えたといいます。また、就活段階において副業に興味がある学生が7割を超えているというデータもあり、転職/副業を前提に柔軟なキャリアを選択しているといえるでしょう。
ChatGPTをはじめとする生成AIと仕事
高性能の人工知能(AI)「ChatGPT」が大きく話題となり、ビジネスの場でも使われるようになっています。日経COMEMOでも#AIの活かし方というお題企画が開催され、多くの日経COMEMO KOLやnoteライターが意見を寄せていました。
私は、AIやテクノロジーのリスクを正しく理解し、活かせる人材が今後企業存続において欠かせない存在となっていくと考えています。AIは作業を代替することにより労働力不足解消の一端を担うことができるなどメリットが大きい一方、機密情報の流出の恐れなどをリスクにおいて正しい知識が求められます。既に一部企業では、AIやデータ分析の専門家を正社員ではなく複業でスピード感を持って受け入れ、社内のAI・データ活用を促進しようとする動きが見られています。
熾烈な人材獲得競争は公務員にも
労働力人口の減少による人手不足はとどまることを知らず、各社は人材確保・採用強化に動き出しています。横浜のタクシー会社ではタクシーの運転手に副業人材を活用する実証実験を始め、コロナ禍に急増した退職者の補填とインバウンド需要増加への対応を試みているそうです。また、日経では10月に開催された規制改革推進会議について報じており、人手不足解消に向けた持続的な賃上げ副業・兼業の促進に関する規制緩和について議論されたといいます。
このように民間企業で熾烈な人材獲得競争が巻き起こる現在、行政における公務員採用も例外ではありません。日経がまとめた人事院の調査によれば、総合職の試験申込者数は10年で2割減となり、退職者も年々増えているといいます。今後は行政においても民間企業同様、新卒一括採用から脱却し、様々な採用手法・様々なバックグラウンドを持った人材採用が求められるでしょう。
社内転職、社内複業、リスキリング…
人材難に伴い、各社人材のつなぎ留めと育成に力を入れており、日経でも多くの記事が出ていました。富士通では、社員が希望部署への異動を応募できる「社内転職」制度に約8,000名の応募があったといいます。日経では、希望部署で働くことができる機会の提供が人材流出を防ぐ狙いがあると解説していました。
また、ブラザー工業では業務時間の一部で他の部署の業務もできる「社内複業」制度を導入したといい、若手社員がキャリア展望を描きやすくするという狙いがあるそうです。2023年はリスキリングというキーワードも頻出しており、従業員が本業に在籍したままスキルアップやキャリアアップをするための制度や支援に今後も注目が集まるでしょう。
最低賃金の引上げ、インボイスの導入
2023年10月より日々の暮らし・働き方に大きく関わる制度変更がありました。まず、最低賃金の引上げです。日経がまとめた審議会の報告によれば、引き上げ幅の全国平均は43円で、全ての都道府県で過去最大の上げ幅となったそうです。特に地方で大幅な引き上げが目立ち、人手不足解消に向けた動きと分析していました。
インボイス制度の施行も大きな話題を呼びました。正確な消費税導入のために開始されたインボイス制度に対応するべく、企業各社は請求書・領収書の変更などに追われています。また、インボイス制度により課税事業者がインボイス未登録の免税事業者へ発注する際、発注企業の負担額が増額することから、個人事業主・フリーランスの働き方にも影響が出始めています。
ここまで日経電子版の記事を基に2023年の働き方の変化やトレンドについてまとめてきました。2024年も日経COMEMOやnoteを通じて働き方の最新値を発信していきます。引き続きお付き合いください!
大林 尚朝 / NAOTOMO OBAYASHI
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