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20代の痛ったい体験から、大切にしている教え

今月の記事は、日本経済新聞とnoteの共同お題企画「#大切にしている教え」の依頼を受けて執筆します。

近森未来と申します。資生堂クリエイティブという会社でコピーライターをしておりますが、ご縁があり、こんな感じで去年からそろりそろりと書き始めました。
今までも個人的なことばかり書き、がそれは我が身を削ることであると今更思い知った今回ですが…。もう戻れない…。(ほかの話で書こうとしたが結局頓挫したため) 
今回は20代の頃の恋愛で、痛ったい思いをした話からの教えです。相手から直接言われたわけではないので、正確には「教え」ではないのかも。が、すべてが終わったときに、スッと天から降りてきたのです。

「正論が、人の心をつかむわけではない」

以来、生きる上でわたくしのとても大切な教えになったので、今日はその話をさせてください。

「心配」という名の圧力

ときは20年近く前にさかのぼります。
学生時代からの付き合いだった彼と私は、就職氷河期のなかでしたが、どうにかお互い就職ができました。
彼は徹夜が何日も続くようなハードな業界。会う頻度も減り、ストレスも溜まっているように見えます。
私は心配で、良かれと思って「転職考えたほうがいいよ」「その労働条件おかしいって」「タバコに逃げるのやめなよ」と日々言い続けておりました。しかし今思えば、同じ年の彼女からグサグサグサグサ上から目線でいわれて、さぞかし嫌だったことでしょう。

結局彼から別れ話が切り出されます。「嘘でもいいから、励ましてほしかった。否定しないでほしかった」と言われて脱力しました。正論でぶった切って、どんどん彼の心が離れていっていたのです。別れる理由は他にも多々ありましたが、それこそ正論を越えて、要は私に魅力がなかった。

正論をいうな、ではない

でもこの話の難しいところは、正論をいうな。という結論ではないのです。結局彼なりに気付きがあって転職し、色々ありましたが結婚して今に至っています。(注:ハッピーエンドでなく、ここからが大変なのはまた別の話)
もしもその時は私が余計なこと言わないで関係をつなぎとめられても、仕事の問題はまた直面し、向き合わない限りはいつか破綻していたはず。やはり大切なことはいうべきではあったのです。
(一応この記事は本人にも了承をとっており「当時はもうとにかく余裕がなかった」そうです)

「正しいことを言っている」という傲慢さは伝わる

でも「正論だから受け入れてもらえるはずだ」というのは私のおごりであり、人の気持ちの機微に対して鈍感だった事実は、後ろから頭を殴られたようにショックでした。

プライベートでも仕事でも「どうせあの人は分かってないから、こっちが正しい提案をしてやるんだ」というムードは隠しても匂ってしまうものです。相手の気持ちが一気に閉じます。正しいことを言っている、という思いは、人を傲慢にさせるのでしょうか。さらに人間は、自分が見下されているかを察知するレーダーは敏感な気がします。

人の気持ちは、ぐちゃぐちゃしている

なぜあれが選ばれたの/落ちたの?!なんてときは、そのあたりの理屈を超えた何かが働いている気がします。(もっともな理由はいくらでも後付けできる)
「分かっちゃいるけどやめられない」からタバコ、飲み過ぎ、ギャンブル、禁断のなんちゃら…みたいなものはなくならない。
もはや生死の場面、病気の告知や延命措置などですら、正論がまかり通らないときもある。正しく合理的なことだけが、必ず受けいれられるわけではない。人の気持ちってそんなに簡単なものじゃない
AIでなく、人間が判断する以上「気持ち」というものは切り離せなく、そこをよくよく忘れないようにと思っています。

意味不明って、愛おしい(ときもある)

「正論」の同類が、「正解」とかでもあるとするなら。
広告でも事前モニター調査のスコアがよい「正解」なものは、ある程度までは実際に予想通り正しく機能しても、世の中の話題になる・大化けする、までは至らなかったりもします。(多額投資する広告が、イチかバチかでいいのかという話から調査は生まれ、調査を完全否定したいわけではないのですが…)

逆によくわからないけど、心惹かれてしまう。意味不明だけど好きとか。そんな感性は人間の愛おしいところだとも思います。(時と場合によるけど)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD030880T00C23A2000000/

見ていた方いらっしゃいます?毎回の視聴は無理でしたがくきづけでした。アバターからの暴太郎って意味不明すぎるし。あの細長い生き物何なんだとか。ビジネスしては反省も多かったのかもしれませんが、この自由さ、まぶしかったです。

昔のことを掘り起こしたりで何だかぐったりもしましたが、もしどなたかの気持ちが軽くなれば、救われる…気がします。また来月ここで!




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近森 未来( コピーライター)
ここまで読んでいただきありがとうございます。 読んで、少し心がゆるんだり、逆にドキッとしたり、くすっとしたり。 おやつ休憩をとって、リフレッシュする感じの場所に ここがなれたらうれしいです。