「ほぼトラ」と欧州防衛~金融市場の目線~
「もしトラ」で接近する欧州と中国
目下、利下げ局面入りが話題になるユーロ圏ですが、この点は以下の議論をご参照頂くとして、今回は若干毛色の違ったトピックを取り上げたいと思います。具体的には政治経済的な視点からユーロ圏の経済・金融情勢を読み解いてまいりたいと思います:
報道でも少しずつ取り扱いが増えている印象ですが、米大統領選が近づくに連れて、その市場への影響を問われる事案は確実に増えています。ドル/円相場について言えば、変動為替相場制移行後の経験則を踏まえ、円安・ドル高材料となる公算が大きいことは比較的よく知られた事実です:
かなりはっきりした傾向なので、筆者も見通し作成上、考慮しているポイントではあります。しかし、ドル/円相場以外の論点に関し、トランプ氏の再選、いわゆる「もしトラ」に備えた場合、欧州の立ち回りがどう変化するかを気にする論調は非常に多くなっています。※なお、最近ではその勝算の高さから「もしトラ」というより「ほぼトラ」と呼ぶ方が適切という声もあるようですので、タイトルは「ほぼトラ」にしておきました。
具体的には、トランプ再選を「欧州の安全保障枠組みを変え得る材料」と解釈する向きは多く、状況証拠に照らせば恐らくそれは正しそうです。まだ、日本語での解説がさほど進んでいない印象もありますので、ここで網羅的に論点を整理したいと思います。円相場の需給分析は元より、欧州研究も筆者の専門とするところゆえ、今回はこの点を掘り下げさせて頂きます。
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