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在外邦人主体の日本イベントとは?独シュパイヤーのNonkiConを例に

海外で日本のアニメや漫画が大人気!と行った場合、イベントを紹介するニュースが多いです。ドイツのシュパイヤーで2023年6月、新しいイベントNonkiConが開催されました。今回は大聖堂の町シュパイヤーで感じた、気付いた諸々について考えてみたいと思います。

世界文化遺産の大聖堂が鎮座する歴史と伝統の町シュパイヤー(Foto by sakaikataho)

NonkiCon(ノンキコン)とは

ドイツ南西部ラインラント=プファルツ州の町シュパイヤーを拠点とする独日協会フォーダープファルツが主催する日本イベントです。コンセプトにおよそ「伝統と現代の邂逅」を掲げ、アーティスト、コスプレ、ステージショーだけでなく、生け花や太鼓などの伝統文化も体験できる場としています。

コロナ禍による延期を経て2022年にプレイベントが、2023年に初めて2日間の日程で開催されました。地元紙の報道によると参加者は1500人だったそうです。

気になったのは、地域の日本人の方々が積極的に協力する姿でした。そのおかげか、日本文化の紹介プログラムも充実しており、着物の体験コーナーや生け花、風呂敷、盆栽、折り紙、風呂敷など様々な日本文化が紹介されていました。一方で、イラストや漫画などのブースが立ち並ぶいわゆるアーティストアレーやステージでのコスプレショーなど、現地ファン主導のイベントでよくみかける、いわゆる欧米型のアニメコンベンション的なプログラムも提供されています。

日本イベントには2種類ある?ざっくりと分けてみる。

筆者はこれまで10年以上、ドイツを中心に現地のアニメファンが開催するイベントを取材するだけでなく、手伝ってもきました。ドイツの大型イベント、「Connichi」や「Dokomi」は現地のファンが交流できる場として発展し、コスプレやイラストレーターなどのアーティストによるブースエリアの充実させてきました。一方で、近年はアニメや漫画からは少し離れた日本文化の紹介プログラムにも積極的です。

日本紹介イベントといっても、多種多様でそれぞれコンセプトは違うのですが、「現地ファン主導」と「在外邦人が中心」の2種類に分けることができるのかもしれません。そして、傾向として、現地ファン主導のイベントは、コスプレやアーティストアレーの充実という強みはありますが、規模拡大のために積極的に日本文化関連のプログラムを拡充させているようです。一方で、独日協会のように在外邦人が主体となる場合は、日本文化の中でも伝統的な文化の紹介では日本人の協力者が多いようですが、ポップカルチャーは苦手なのかもしれません。(もちろん、アニメや漫画関連はファン主導のイベントにまかせて棲み分けるという考え方もあります)

実は、この2023年に開催された「NonkiCon」では、筆者もアドバイザーとして協力し、ポップカルチャー要素の拡充を提案しました。結果、日本人マンガ家の奈樫マユミさんのイベント参加をお手伝いさせてもらいました。およそ「いつものマンガ制作風景を見てもらうのが、マンガファンにとって最高のライブエンタメになる」というコンセプトだったのですが、そのあたりの模様については別の機会に取り上げたいと思います。

「NonkiCon」のブースで週刊連載の原稿に取り組む奈樫マユミさん(Foto by sakaikataho)

ドイツには日本友好団体の支部が47ヶ所

国際オタクイベント協会によると、世界46の国と地域で123のイベントが開催(2023年7月1日現在)されているようです。(筆者がざっとドイツの登録イベントを見たところ、移転したイベントや合併により名称が変更したものなど古い情報が一部あり、更新の必要がありそうです)

ドイツのアニメファンイベントに関しては、筆者も一年前にまとめた投稿があるので参考にしてください。

そして、今回取り上げた在外邦人が多く関わる友好団体だと、ドイツには独日協会の支部が47ヶ所あるそうです。ファン主導によるいわゆるオタクイベントだけでなく、こうした独日協会は大小様々の日本文化紹介イベントを実施しています。日本のポップカルチャーを紹介する場は、まだまだたくさんあるのかもしれないません。

日本のポップカルチャーが現地に根付く工夫とは?

さて、日経新聞の最近の記事によると、マンガの海外配信が好調のようです。アニメもソニーGのクランチロールが積極展開しています。日本のアニメや漫画は、良い作品であれば勝手に売れるものでしょうか。配信で購入できる環境を用意しておけば終わりではありません。それは必要不可欠の第一歩に過ぎないと筆者は考えています。次のステップは現地で知ってもらう機会を作ることにあると思います。そう考えると現地のイベントの重要性はさらに高まるかもしれません。皆さんは思いましたか?


タイトル写真>2023年の「NonkiCon」のポスターを撮影したもの。筆者撮影

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