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お疲れ様です。メタバースクリエイターズ若宮です。

早いものであっという間に11月も終わりですね…

年末調整とか年越しのタイミングで税金のことを考える人も多いかと思います。そこで今日はちょっと「節税」について書きます。


節税についての知識は大事、でもそれが目的でいいの?

「節税」、何かされていますか?

もう12月に入るのであっ、年内でふるさと納税なにか選ばなきゃ!という方もいると思います。年末調整では保険や住宅ローンなどそれ以外にも税控除の仕組みがありますがけっこうややこしいので、「情報強者」のほうが上手く「節税」手法を活用できます。

個人だけでなく、法人でも「節税」の工夫ができることは経営的には大事なスキルです。しかし、サステナブルな社会を考えた時、何でもかんでも節税したほうがいいかというとそうでもないところもあります。

税金は国や自治体などが社会基盤を整備する原資なので、当たり前ですがみんなが節税しまくっていくと納税額が減り、インフラ整備や住民サービスなど社会基盤を整えるお金がなくなってしまうからです。


特に、アップルやアマゾンなど海外の大企業の節税はちょっといきすぎているのでは、と思うこともあります。

「タックスヘイブン(租税回避地)」という言葉がありますが、税率が低かったり税率優遇がある国を経由することで税金を払わないようにする財務テクニックです。

アマゾンも徹底した税回避で知られています。

まず、利益が大きく出そうな時に、その分投資をして利益を圧縮し税を減らす「税ハック」があります。

誤解を恐れずに分かりやすく言うと、
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今年大きな利益が出ている場合、その利益を内部留保に回すためには法人税を支払う必要があります。
もう一つのオプションは、今年の利益を小さくするために大胆な投資を行い、来年以降のビジネスをより盤石な体制にする、その結果として今年の利益が小さくなると言う考え方です。
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Amazonは、過去20年間一貫して後者のオプションを取り続けている企業です。

こうした「大胆な投資」は必ずしも悪いことではありません。利益から未来のために投資するのは事業の血液を巡らすこともあり、ある意味では資本主義的な企業経営においては基本的戦略です。

しかし、アマゾンそしてベゾスの「税ハック」はそれだけではありません。こちらの記事ではもうそれはズルでは…と言いたくなるようなベゾスの発言が取り上げられています。

「奇妙に聞こえるかもしれませんが、ネット書店をどこで始めるかというのは大変重要な問題でした。〈中略〉それは、人口の少ない州でないといけませんでした。ネット通販の場合、売上税(消費税)は、本社を置いている州の住民だけにかけられるからです。人口の多い、カリフォルニアやニューヨーク州で事業を始めるのは馬鹿げています。
〈中略〉私はまた、サンフランシスコの近くにある先住民の居留地にアマゾンの本社を置くことはできないか、という可能性も探りました。そうすれば、税金をまったく払わずに事業ができるからです。けれど、不幸なことに、この計画はカリフォルニア州当局が受け入れませんでした」

(中略)
アマゾンを創業するのに、税金がかからないという理由で先住民居留地に本社を置こう、とベゾスは試みている。

正攻法のビジネスとは、大きくかけ離れた裏技、いや寝技である。なりふり構わぬ節税方法だ。先住民居留地のビジネスに税金がかからないのは、歴史的に差別されてきた先住民を雇うことに対する見返りだ。しかし、私の知る限り、ベゾスがアメリカ先住民だけを従業員としてアマゾンを創業するという事業計画を書いたという事実はない。だからこそ、カリフォルニア州政府がそのベゾスの提案を拒否したのだろう。

重要なことは、そんな奇策を弄してまで、ベゾスがアマゾン設立以前から、言い換えれば今のような国際的なIT企業になるはるか前から、租税回避に心血を注いできたという事実だ。

そして法人税だけでなく、ベゾスは個人としてもあまり税金を払っていません。

この記事ではなにもGAFAをやり玉にあげて批判したいわけではありません。個人も企業も、税金を避けるために情報やテクニックを駆使することは違法でもありませんし、多かれ少なかれやっているでしょう。

しかし、ここで一度立ち止まって考えてみたいのは、高収入の個人や利益を上げている企業が、自分を育ててくれた地元に税金を払わないのはどうなのか、ということです。アマゾンやアップルのようなグローバル企業になると「地元」とは一体どこだ、という話もありますが、少なくとも自分たちを育て企業が成長する時に基盤として受け入れてくれた地域はあるでしょう。

自分たちを育ててくれた環境や社会への恩返しというか、そうしたところへの税金を止めてしまったら次の世代を育てるゆりかごが無くなってしまいます。


ふるさと納税の変質

「ふるさと納税」も元々はそうした「地元への恩返し」のために作られた制度でしょう。

例えば、僕は青森県八戸市に生まれたわけですが、社会人になる時に東京に出て、それ以来ずっと首都圏にいます。登記している会社も渋谷です。税金を払うようになるのは社会人になってからですから、青森にいた時には子育てや教育などの市民サービスを使用し、いわば一方的に「税金を使う側」だったのが、いざ育って稼ぐようになった時には外に出て別の自治体に税金を払っている。税金の収支的には投資回収できていないというか、ズレがあるわけです。

こうしたズレへの対処として、現住所への納税だけではなくて「ふるさと」に指定して納税してその分税控除を受けられる仕組みがふるさと納税です。超ざっくり単純化していうと、税金の納め先を付け替えるわけですね。

以前、こちらの記事でも書きましたが、サッカーのFIFAには「連帯貢献金」という仕組みがあるそうです。

移籍金のある移籍で、かつ国外のクラブに移籍をした際には「連帯貢献金」が発生する。連帯貢献金はFIFAが定める国際ルールで、所属元クラブに支払われる移籍金のうち5%を、12~23歳を過ごしたクラブが請求できる制度のこと。国内移籍では発生しないため、Jリーグ間やプレミアリーグ間など、同一リーグでの移籍には適用されない。
連帯貢献金には、国際的な移籍をする優秀な選手を育てたクラブが対価を得られたり、国を越えた青田買いに対し育成したクラブを金銭的に保護したりという目的がある。

すごいのは「12~23歳を過ごしたクラブ」っていうのは学校でもいいんですよね。遠藤航さんの移籍時には公立中に2千万円払われたそうです。


ところが、こうした思想でつくられたはずの「ふるさと納税」はだいぶ変質してきてしまっています。ふるさと納税で外部から税金が得られる!と多くの自治体が商品で競い、とくに地域の特産品でもない商品を扱ったりしています。

納税者の側も別に「地元への恩返し」とかではなく、商品を実質数千円で変えるならお得、と単なるバーゲンセールみたいな感覚になってしまったりしている。ふるさと納税を受ける側の自治体にとってはいいですが、居住地の自治体は「流出」超過になってしまいます。


繰り返しますが、僕は節税を否定してはいません。

ただ前述のように、税金は今自分たちが支えられている地域コミュニティのインフラやサービスを支えるためのものであるのに、「節税」が高じた結果、税金が本来支えるべき場所に回らなくなってしまう恐れがあります。地域社会は個人にとっても企業にとっても基盤です。そこが存続していけなくなるのは土地がやせ細ってしまうようなものではないでしょうか。


税金の使途に納得いかない!

とはいえ、節税したい気持ちは僕も持っています。ふるさと納税も利用していますし税控除の手続きもします。経営者として利益分から法人税としてただ消えてしまうよりは、新しいことに投資したいとも思います。

なぜかというと、「税金の使われ方」に納得がいかないことも多いからです。

例えば、防衛費や大阪万博のような大規模プロジェクトへの出費には疑問を感じます。(知人もけっこう関わっていますし一概に批判するわけではありませんが)税負担もじゃんじゃん上がっていくのはちょっと納得がいきません。

建設費や会場整備費が当初の見積もりから2倍以上にもなり、そこに数百億単位で国費が投じられる。いやいや、そういうことのために税金払ったわけじゃないよ、と批判したくなる気持ちもわかります。

オリンピックもそうでしたが、そもそもSDGsが言われる時代に、相変わらず「箱物」をつくるために大規模な予算をかける必要があるのでしょうか


「万博」にももちろんプラスの効果があります。前回の万博では日本のテクノロジーや文化を世界にアピールでき、そこでのチャレンジがアートやテクノロジーを育てたところもありますし、そうしたカンフル剤になるところはあるでしょう。

問題は、建設費用のような大きな予算になると途端にどんぶり勘定で、ずさんな予算管理になるのが納得いきません。そのお金をもっと小さな文化芸術の団体や小さな施設に回るようにしたらどれだけの文化を育てることができるでしょう。文化芸術の補助金とかは100万円でも延々と細かいチェックをする割に、大きなプロジェクトでは簡単に「おかわり」され、巨額が使われる。

税金の使途に納得がいかないし有効活用がされないのなら、納税者としては「節税」もしたくなります。税金を「社会のため」と納得して支払いたくなるような透明性のある活用と説明をして欲しいですよね。


節税するなら未来のために

「節税」の中にはなにかに寄付したお金の税控除などもあります。これも控除分税収を減らしますが、しかし国に預けずとも自分で選んだ形で社会にお金を回していく「未来のための納税」と言えるかもしれません。

また、アマゾンのように企業が利益分を新規事業に投資するにもこうした「未来のための節税」の面もあります。投資で新しいサービスをつくり、さらに多くの人を救えるかもしれませんし、その意味では社会への還元ということもできます。

GAFAの事例や「お買い物」に変質した「ふるさと納税」のようにただただ税金を減らすことだけを目的にするのではなく、「節税」した分、社会にお金を回し有効活用していこう、と考えるのとよいのかもしれません。

僕個人も、例えば教育やホームレスの支援団体に寄付をしていたりしていますが、なんとなく「未来のための節税」には3つくらいのパターンがあるかな、と思っています。

一つは①続いていってほしいこと。たとえば貧困福祉などのセーフティネットや地域のライフラインなどがそれです。

先日国立科学博物館がクラウドファンディングで資金を集めたことが話題になりました。

本来こうしたことは国がやってくれるべきだとも思いますが、国がされない分は節税して直接支援する、というのも致し方ないかなと思います。


2つ目は②変わってほしいこと。ジェンダーやダイバーシティの問題に取り組む団体への支援がこれに当たります。

そして3つ目に、③育てていきたいもの。どんなに優れたアーティストも最初はみんな駆け出しだったわけなので、これから育っていってほしい若者や文化、教育への支援は大事です。また、政治や行政の仕組みとして、残念ながらすでに大きくなった強者の方にお金が回りやすいのもあるので、小さなものにお金を回すことも大事だと思っています。


節税が目的化し、そのせいで公共の福祉のための原資が減ってしまうのは問題です。しかし税金以外の仕方で社会にお金を届けていく方法もあるので、せっかく節税したなら、そのお金を(ただ貯め込むのではなくて)未来に向けたことにみんなで回していけるといいな、と思っています。

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