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家庭科が開くウェルビーイング 私達は「どう」生きるのか

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

去年よく読まれた記事の1つに以下があります。自身の育児経験を元に感じた最近の違和感について書いたコラムです。

この中でも紹介していますが、家庭科教育の変革がもたらすインパクトについて再び取り上げたいと思います。

ウェルビーイングは近年よく聞くようになったキーワードで、これを経営に取り入れた「健康経営」というのも注目されています。世界保健機構(WHO)によると「Well-being is a positive state experienced by individuals and societies.」と定義されており、健康と同じように日常生活における個人や社会のよい状態であるとのことです。

現在の家庭科における強化目標は「よりよい社会の構築に向けて、主体的に生活を創造する資質や能力を育む」ことであり、ウェルビーイングの考え方と重なる部分が多く見られます。

76世代であるわたしはギリギリ家庭科教育の変革以前であり、昭和の家庭科が色濃く残っていた記憶があります。つまり、衣食住のスキルに重点が置かれており、調理や裁縫などの課題を通じて生活力(家事力)をつけるというものです。

その後、1989年に学習指導要綱が告示され「家庭生活」という新領域が創出されました。この時に家事を家庭の仕事として位置づけ、消費者教育も充実されました。これにより、高校で資産形成や投資教育も取り入れられ、「どう生きるか」という視点も入ってきました。

1989年は家庭科の大きな転換点だった。それまでは中学校の「技術・家庭科」は男子は主に技術を、女子は主に家庭科を別々に受けていた。移行期間を経て、男女が同じ内容を学ぶ「男女共修」となったのは中学校は93年、高校は94年。それから長い時を経て、男女共修に関して、ある論文が反響を呼んだ。

労働経済学が専門の明治大学の原ひろみ教授らが分析したところ、77年度生まれの共修世代と、共修以前(76年度生まれ)との間に不連続性がみられたという。具体的には、共修世代以降の成人男性の週末の家事関連時間が1日あたり26分長くなり、女性に目を向ければ、正規社員として働く女性の割合は4ポイント増え、働く女性の年収が21万3千円増えた。共修化がその後の人生の意思決定や行動選択にも影響していることを示唆しており、「男女共修化によって、人々の行動や意識がジェンダー中立的になったと考えられる」(原教授)。

日経電子版

例えば調理という点では、家の中におけるキッチンの位置づけにも変化が見られています。システムキッチン大手のクリナップ「キッチン白書2024」によると、キッチンは家庭で共有し、皆で思い思いに使うシェア空間になってきたとのこと。昔の家ではリビングダイニング横の奥に隠されていていて、主に妻がそこでひとりで料理をして家族に提供するスタイルが主流でした。今ではアイランドキッチンだったり、ダイニングとシームレスにつながるオープンキッチンが人気です。また、システムキッチンの高さにも変化が見られており、2010年には高さ90センチ(標準は85センチ)にする家庭は全体の7%だったのに対して、2023年には約15%と倍増しました。女性の平均身長が変わっていないことを踏まえると、男性も使う家庭が増えてきたと考えられます。

教育が長期にわたって我々の行動様式に影響を与えるという例として、家庭科の変革は注目に値するものです。変化が激しく、先の見通しが不安定なことでますます問われるのが「自分はどう行きたいのか」ということ。若いうちから様々な情報に触れ、考える力を養うことは非常に重要ですね。

一方で私のような、昭和の教育で止まってしまっている人はどうすればよいのでしょうか。端的に言えば、学び直しをしてアップデートしていくしかないのだと思います。人生100年時代、いつになっても学ぶことができますし、学び続ける姿勢を持ち続けることで仕事にも人生にも好影響があるはずだと思います。


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タイトル画像提供:zon / PIXTA(ピクスタ)

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