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アニメグッズの売り場はより身近に=ドイツ

ドイツでは3月、ベルリンでアニメグッズを扱うFiguyaが大型店舗がオープンしたり、フランクフルトの隣町オッフェンバッハでポップアップストア「Doki Doki」が好評につき4月末まで会期を延長しました。いずれも、現地主導です。

日本でも、紀伊国屋書店が米国でグッズ販売を強化するなど海外進出の動きはあるようです。

一方で、昨年話題になった『週刊東洋経済』の特集号「アニメ 熱狂のカラクリ」では、アニメグッズの海外展開の難しさが報告されていました。

アニメグッズ等々の小売のあり方には、なかなかに難しいところがあるようです。ドイツではこの3月に気になるニュースが2件あったので、今回取り上げてみます。

ベルリンの一等地に進出するアニメグッズ店

まず、ベルリンの大型店舗の話題から。Figuyaは、アニメフィギュアを中心にアニメグッズなど関連商品を展開する小売店です。従来はイベントへの出店とオンラインショップの運営にとどまっていました。その後、ベルリンの店舗運営を皮切りに、ドレスデンとライプツィヒに出店し、今回、ベルリンの店舗をフリードリッヒ通りに移転し、規模を拡大しました。

このあたりの事情はこちらの過去記事も参考にしてください。

さて、その大型店ですが、開店時の様子はこんな感じだったようです。オープンを待ち望むファンが長い列を作っています。

もう少し、引いた地点からの様子。↓

ベルリンの「フリードリッヒ通り」といえば、ベルリンを代表する賑やかなスポットのひとつです。1階の角地に華々しく出店する様は、ドイツの小売業界が不況と言われる中でアニメ・マンガ界隈の元気さが伝わる何か象徴的なものを感じました。店舗があるとインストアイベントもできます。Figuyaでは中国のアプリゲーム「崩壊3rd」のイベントが開催されたようです。

「ドキドキ」は様々な側面をあわせもつ複雑なコンセプト

一方のフランクフルトの隣町オッフェンバッハのポップアップストア「ドキドキ」は、現地の日本文化イベント「マイン祭」の広報スペースとしてオープンしました。筆者も過日、様子を見てきました。(本記事のタイトル画像は入り口の様子となります)

ポップアップストア「ドキドキ」の様子。意外と広かった。
「マイン祭」の関連グッズ

「マイン祭」は夏に開催される日本文化イベントです。以前はフランクフルトで開催されていましたが、昨年から隣町のオッフェンバッハに会場を移しています。日本の伝統文化とポップカルチャーの融合を掲げているのが特長です。また、フードエリアもフランクフルトの和食店が多数出店するなど盛り上がっています。

現地オッフェンバッハの市役所は3月11日付けで、プレスリリース(ドイツ語)を発表し、オープンの際にはフェリックス・シュヴェンケ上級市長と在フランクフルト日本総領事館の副領事がオープニングセレモニーに参加したと伝えています。

発表によると、このポップアップストアは、市内中心部の活性化に向けた市の取り組みの一環としていわゆる実証実験も兼ねているようなのです。日本文化を活用した「町おこし」と聞くと、ただの流行に便乗しているようにも感じられますが、同市は埼玉県川越市と40年以上もの間、パートナーシップ関係にあり、日独交流の一環としての側面もあるようです。

会場で関係者に話を聞いたところ、会場となるショッピングモールは小売業界の不況により空き店舗が増えており、モールの運営会社にとってこうした空き店舗の有効活用にもなっているというのです。

さらに、単なる文化広報・交流の側面だけではないのです。というのも、会場で販売されている着物や和雑貨を販売する企業は、イベント主催会社の関連会社であり、マンガ・アニメ風の画風によるイラストレーターを統括する担当者はポップアップストア内で一番大きな売り場を展開していました。こういった経済活動がなければ、文化も普及しないわけです。

いかがでしょう?こうして読み解いていくと、イベントの紹介と一口に言っても、様々な側面を備えた複雑なコンセプトであることが分かります。

タイトルの「身近に」をもう少し掘り下げます。

Figuyaのところでも触れましたが、ドイツでは少なくともコロナ以前までは、アニメグッズの小売業では、実店舗での販売は商圏や賃料・人経費などの経費面で難しいと言われていました。ロンドンやパリといった一極集中と異なり、ドイツは各地に都市圏が分散しているのが理由に挙げられてました。その結果が、オンラインショップとイベント出店がポピュラーな業態だったわけです。これが、コロナ禍になりイベントが中止され、例えば「マンガ・マフィア」というグッズ店は実店舗の経営に乗り出しました。(このあたりの事情はこちらの記事を参考にしてください)

そして、コロナ禍が終わった今、イベントは再開しましたが、実店舗への動きも相変わらず活発なのです。

アニメ・マンガ界隈の海外人気を背景に、海外進出を計画する日本企業もあるのではないかと思います。そういった場合、現地の関係者との連携が改めて問われているのではないかと思いました。皆さんはどう思いますか?


タイトル画像:日本文化イベント「マイン祭」のポップアップストアの入り口の様子。筆者撮影。


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