アニメ商品はイベント販売から小売店に=ドイツ
ドイツでは、アニメのブルーレイやグッズを販売する小売店が増えつつあります。何をいまさらと思われるでしょうが、ドイツでは小売店で販売するというビジネススタイルが長く定着しませんでした。
日経新聞によると、バンナムは海外の直営店を増やす計画だそうです。北米と中国なので欧州は含まれてませんが、ドイツもそろそろ検討したほうがよいかもしれません。
ドイツでは先日、ベルリンの老舗大型デパート「カーデーベー」が倒産し、破産手続きを開始しました。
同じベルリンでは、ドイツのフィギュア販売会社Figuyaがベルリンの目抜き通りのひとつ、フリードリッヒ通りに大型店を開店するべく準備に追われています。(参考:関係者のXの投稿。オープンは3月2日を予定)
同じベルリンの小売でありながら、非常に明暗の分かれる象徴的なニュースとなっています。
そもそも、ドイツにおけるアニメ関連商品はどういうビジネス形態があったのでしょうか。
以前はイベント出店が主力でした。ドイツでは年間を通じて、アニメファンを集客する大型イベントが毎月開催され、中堅クラスのイベントを含めると毎週末、しかも、春から夏にかけてのハイシーズンは各地のイベントの開催日程が重なることもよくあります。
イベントでアニメ関連商品を販売する事業者はオンラインショップを運営していることも多く、つまり、週末は各地のイベントに出向き、平日はオンラインショップといったビジネスモデルが長く続いていました。
この前提が崩れたのが、良くも悪くもコロナ禍でした。イベントが中止され、商品の販売機会を失った事業者が選んだ道が小売店の出店だったわけです。という話をグッズ販売店から以前聞きました。(その時のもようはこちらの記事で扱っています。↓
また、別のグッズ販売業者からは、倉庫での販売が好調だと聞きました。これまでは、イベント出店とオンライン販売をメインとしてました。週末などに限定し、商品を保管する倉庫を一般顧客に開放して営業を開始したところ、売上が順調に伸びているそうです。
フランクフルトでは、コミックのコレクターズショップがジブリグッズのポップアップストアを実験的に実施したところ、ファンが殺到し、期間終了後も店内にジブリコーナーを設けて販売を継続しています。(このあたりの事情は昨年11月に書きました↓)
これはドイツ在住者としての肌感覚になってしまいますが、ようやくドイツでもアニメ関連商品を販売する「商圏」が生まれつつあるようです。
フランスのパリ、イギリスのロンドンのようなアニメグッズの専門店が出店しにくい事情がドイツにはありました。ドイツは中規模都市が各地に分散しており、人口に一定の割合で存在するアニメファンだけでは商圏を形成することは難しいと言われてきました。
一方で昨今の小売店の盛況ぶりを聞くと、アニメや漫画が普及し、ファンが増えた結果、中規模の都市でも小売ビジネスが成立する環境が整いつつあるのかもしれません。
実店舗からオンライン販売へというのが世界の趨勢かもしれませんが、ドイツではオンラインから実店舗へという逆の傾向も出てきました。実店舗があれば、インストアイベントができるなどメリットもありそうです。
今回は以上です。皆さんはどう思われますか?
タイトル画像:ベルリンの小売店で販売されるガンプラたち(2022年筆者撮影)