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業務改革は当たり前を疑うことから

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

DX(デジタル・トランスフォーメーション)という言葉を聞くようになってから数年経ちました。その前はオープン・イノベーションという言葉を盛んに聞きましたが、現在世の中を見渡してみるとどれほど実現したのでしょうか。そろそろ答え合わせをしてみてもいいことなのかもしれません。

イノベーションというと、革新的な技術をもって業界をディスラプト(破壊)する!という勇ましい声も聞きますが、それが現実となるのは本当に一握り。そして、往々にしてグローバル企業発のものが黒船的にやってくることが多いです。この点について、以前このような記事を書きました。

DXにおいてもデジタル技術で既存業務のコスト削減をするところまでは実現できている会社が多いようです。SaaSのような業界特化型のプラットフォームサービスが手軽に利用できるようになったことが一因でしょう。

一方でSaaSを導入したもののうまくいかなかったという事例も多々あります。既存業務を一切変更することなくシステムを導入しようとしたため現場から猛反発を受けたり、逆に現場の意見を聞きすぎて膨大なカスタマイズが発生して導入後の運用がまわらなかったり。SaaSの良いところは業界における業務のベストプラクティスがすでに実装されているところで、そこを効率化することで空いた時間を自社の強みを活かせる領域に集中し、競合優位性を生み出していくことにあります。

そのためには大胆に既存業務を変革することも重要です。最近感心した事例として、長らく当たり前として存在していたパッケージを見直すことで、手作業を大幅に軽減したという話です。

明治は業務用の脱脂粉乳を機械で運べる形状にする。対象は1袋25キログラムの製品。袋の底を角型にして全体の長さを短くし、フォークリフトで運べるパレットと呼ぶ台に収まるようにした。これまで1袋ずつ手作業でトラックに積んでいたが、機械で運べるようにして作業負担を軽減する。

パレットは国土交通省が標準規格として推奨する「1100ミリ×1100ミリ」の大きさだ。一度に最大36袋をフォークリフトで運搬できる。トラック1台に720袋を積む場合、現状の180分から40分に作業時間を短縮できる。

日経電子版

人材不足が叫ばれて久しいですが、そのためには機械の力を借りるのは王道のソリューションです。身近にある「当たり前」を見直すことで、むしろ機械側に寄り添うことで実現した目からウロコの対応策ですね。

今後も人材不足は続きますから、機械に合わせることで効率化・自動化を進めていくという視点は、ハードウェア・ソフトウェア両方において検討すべき論点なのかもしれません。


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タイトル画像提供:阿部モノ / PIXTA(ピクスタ)

#日経COMEMO #NIKKEI

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