大きな失敗を防ぐため、小さく失敗しよう

【今回は、日本経済新聞とnoteの共同お題企画「#仕事の心がけ」をテーマに書きます】

どうも、「すべての経済活動を、デジタル化したい」LayerXの福島です。

普段はLayerXという会社で経営に携わっています。LayerXでは、法人支出管理サービス「バクラク」の提供、三井物産デジタル・アセットマネジメントの共同経営、プライバシーソリューション「Anonify」の提供など多岐にわたり事業を行っています。

こうした事業の経営者として、日々多くの意思決定を迫られます。その中で大切にしている仕事の心がけをご紹介できればと思います。

仕事の心がけ = 企業文化

LayerXは企業文化をとても大切にしています。企業文化とは、会社としての「仕事の心がけ」のことです。

LayerXはこの仕事の心がけをまとめた羅針盤という資料を社内外に公開しております。

基本的にこれらの内容が「私の仕事の心がけ」です。本日はその心がけの中でも特に大切にしているテーマを選び解説したいと思います。

大きな失敗を防ぐために、小さく失敗しよう

今日取り上げたい仕事の心がけは「大きな失敗を防ぐために、小さく失敗しよう」というものです。

「失敗」、こう聞くと皆さんはどんなイメージを持つでしょうか。多くの方は、ネガティブなイメージを持つと思います。

「失敗」、できればしたくないですよね。ですが私の仕事の心がけは真逆で「たくさん失敗しよう」というものなのです。

失敗は成功の母

失敗は文字通り成功の母です。

ただ失敗にも質があります。全ての失敗を肯定するわけではなく、失敗には良い失敗と悪い失敗があります。悪い失敗は後戻りできない大きな失敗。良い失敗は学習につながる失敗です。

悪い失敗は大抵、予想外の大きな変化から起こります。予想外の技術的革新が起こった、予想外の競合の急成長でマーケットシェアが奪われた、予想外のリスクから大事故が起こったetc

「予想外」の失敗はさらに元を辿ると、小さな失敗を許容しない硬直的な文化が遠因となって発生すると私は考えます。

例えば予想外の「技術革新」と言葉では言いますが、実際は予想外のことは起こっていないと思います。

こういう時、現場で何が起こっているかというと、新しい技術を機動的に試せない意思決定が続いている・枯れた技術ばかり触っているということが起こってます。そしてある日突然、新しい技術を機動的に試し、たくさん失敗した上でたくさん学習した会社が、ティッピングポイントを超えて成功する。そんな現象を予想外の技術革新と呼んでいます。

短期的な目線ではたくさんの失敗が起こっても、新しい技術の適用をどんどん試し、日々失敗し、日々学習している会社はこういった変化に強い会社と言えると思います。

"会社"を"個人"と置き換えても同じことが言えると私は思います。

未来は不確実

現代のビジネスにおいて、どのビジネスにも言える確実なことは「未来はわからない」ということです。

顧客が何を求めているか、技術や法規制の変化でどういったニーズが生まれるか、どういったマーケティングコミュニケーション・営業トークが刺さるのかetc

基礎的なモノは充足され、情報社会に変化する中で顧客のニーズやプロダクトのディストリビューション方法そのものが不確実となりました。近年のAIの急激な進展など技術やその周りの法規制の環境も劇的に変わります。

こういう世界で最も大事な仕事の原理原則は「未来は不確実である」という前提に立ち探索的に動くことだと思います。

未来がわからないような状況では、机の前に座って長時間考えても答えは出てきません。

顧客にヒアリングにいく、新しい技術を素早く試してみる、今までにない新しい営業トークを試してみる、今まで試してなかった広告チャネルに広告を出してみるetc

こういった探索的行動の先に、学習があります。そして探索的行動には当然「失敗」はつきものです。

たくさん失敗しよう

LayerXでは「たくさん失敗する人が偉い」という文化があります。

普通は失敗をすると上司に怒られ萎縮します。そしてその後新しい探索的行動が組織として取られなくなり、組織は衰退していきます。

LayerXでは「良い失敗」をすると、同僚や上司から「ナイストライ!」「ここから何が学べるの?」「次やるとするならどうやるの?」と言った前向きなフィードバックが飛んできます。

そしてその大量の失敗の先に、針の穴に糸を通すような成功が待ち構えています。

不確実なこんな時代だからこそ、私の仕事の心がけは「たくさん失敗しよう」なのです。

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