リスキリングしなくたって、「スキルが自動アップデート」されるようになると良いですよね。
人生100年時代、テクノロジーの進化などなど、いろいろな背景から「リスキリング(学び直し)」の必要性が語られる今日この頃ですが、本来、スキルって何かを達成するための手段なはず。
そう考えると、スキルを獲得すること自体が目的化してしまわないようにすることが大切だと思うのですが、皆さんはどうお考えになりますか?
いきなり話題が飛び、私事で恐縮なのですが、今、うちの娘が小学校6年生で塾に通っています。そうすると、まさにこういう話になるわけですよね。
「なんで勉強しなきゃいけないの?」って。
それに対して、私は、「やりたことの選択肢をたくさん見つけるためだよ」とか「何かやりたいことが見つかった時に、それを実現できるようになるためじゃないかな」とか、そんな話をしています。
でも、そもそも「やりたいこと」が具体的じゃない彼女にとっては、あんまりピンとこないっていうのが実情です。だから結局、「まぁ今は信じて頑張ってごらん」って言うしかなくなっちゃうんですけれど・・・。
そんな会話を思い出しながら、今の「リスキリング」も同じような問題を孕んでいるんじゃないかな、って思ったんです。
そもそも、スキルっていうのは、冒頭にも書いたように手段でしかないはず。だから、ものすごく理想的な状態を言うならば、やりたいことがあって、それを実現するために必要なことであれば、自ずと身につけたくなる。個人としてであれ、組織としてであり、そういう状態になっていれば、リスキリングなんて言葉は必要ないのかもしれません。
組織的にそういう状態になっている、というのは、ベンチャー企業を思い浮かべてみるとわかりやすいと思います。ベンチャー企業で働いていると、当然、人材も足りなくて、何かやりたいことがあっても、できる人はいないわけです。
(私たちは、大企業の社員の方に一定期間ベンチャー企業で働く「レンタル移籍」という仕組みを提供しているのですが)例えば、大企業で研究職として働いていた人がベンチャー企業にレンタル移籍したら、全く未経験なのに、いきなり資金調達の仕事を任された・・・みたいな話をしょっちゅう聞きます。
やったことない。でも、事業を実現するために、やらざるを得ない。
そうなると、やるんですよね。そして、結果的にスキルが身についている。やりたいことがあるから、それに向かって進んでいく過程で、スキルは自動的にアップデートされていく。そういう姿を見ていると、本当は、これがあるべき姿なんじゃないかなぁと思うんです。
今改めて、リスキリングをしようと企業が動いていくこと自体は、とても良いことだと思います。でも、そもそも、なんで上述のようなスキルの自動アップデートが自社で起こらなかったのか、ということも考えてみてはいいのではないでしょうか。
そのことを考えずに、形として「リスキリング」だけをやってしまったら、また何年か経って次のリスキリングが必要になって、また場を設けなきゃいけない。そんなことの繰り返しになっちゃうんじゃないでしょうか。企業が積極的に取り組んでいるからこそ、しっかりと考えたいところだな、と思います。
一方、働く人一人ひとりにとっても、「そもそも自分は何をしたいのか」「どうありたいのか」を考えることこそが、リスキリングの前に大切なことなのではないかな、と思うのです。
もちろん、「やりたいことはなんだろう?」と考えて、すんなりとそれが見つかる人なんていないと思います。でも、探していなくちゃ見つかるわけもない。
だから、リスキリングするような機会を、自ら作ったり会社が与えてくれたりした時には、それとセットで「なんのために?」ってことを考えてみることをお勧めします。そうしたら、その先、自動アップデートがかかりやすくなるかもしれません。
私自身も、自動アップデートできてるかな?って時々、ちゃんと立ち止まって考えてみたいと思っています!
それでは。
追伸
もし自分が何をしたいのか、考えるきっかけが必要な方がいらっしゃったら、こんな講座もありますので、ご興味があればご覧になってみてください。
また、リスキリングについては、こちらの記事でもコメントをしていますので、ご参照いただければ幸いです!