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「会社のカルチャーを犠牲にしない働き方制度設計のヒント。」

皆さん、はじめまして。
サイバーエージェントの石田と申します。

先日、日経COMEMOさんが主催する、「働き方innovation 加速するジョブ型雇用社会に備える」というオンラインイベントに登壇させていただいたことをきっかけに、この度noteを開設し、キーオピニオンリーダーとして参画させていただくことになりました!
これから宜しくお願い致します。

▽当日のレポートはこちら↓
「仕事を通して何をやりたいのかに向き合い、自分の幸せの軸を見つける」


初めての投稿となる今回は、「これからの働き方」をテーマにしたいと思います。

テレワーク 成功の鍵は信頼

米フロリダ国際大学のラビ・ガジェンドラン教授らによる複数の先行研究の2次分析によると、テレワークは社員の心理的状態によって成果が左右される。第1に、オフィス空間以外の家庭やリモートオフィスで働くようになると、仕事の自律性や自由裁量が高まりやすい。これは職務満足度の向上につながりやすい。
第2に、家庭で働くことはワーク・ライフ・バランスの改善につながりやすい。三谷産業の20年調査でも家族と過ごす時間が増え、関係がよくなったという。これは、離職意思の低下につながりやすい。ただ、仕事にのめり込むと仕事と私生活の境がなくなり、バーンアウト(燃え尽き症候群)になる可能性もある。
第3に、職場の人間関係にも影響する。これは、職務上の心理的ストレス低下にもつながりやすい。ただ、テレワークの頻度の高さも影響する。頻度が高いと家庭との両立は進むが、職場関係の質が低下する傾向もあるという。

テレワークによって「オフィスで仕事をするよりも生産性が高まった」と感じる人と、「逆に生産性が下がった」と感じる人が二極化していることは周知の事実。
記事によると、テレワークの導入に適しているのは、部下とコミュニケーションを密に行い、業績主義的に評価するリーダーがいる、信頼関係ができている会社やチームであるとしています。


サイバーエージェントでは、コロナショックによって「原則リモートワーク」という状況になった時、一部の部署や職種を除いて十分リモートワークでも業務が成立すると分かり、時間が労働対価みたいな時代は終わって、働く場所がどこであろうが成果が出ていれば関係ない、という状況に間違いなく変化していくだろうと予想していました。
何を隠そう、社内で「次世代ワーク推進室」という、これからの働き方を考え推進していくプロジェクトを新設し、その責任者となった私は、完全に「次世代の働き方=成果主義への移行」と捉え、ほぼ100%リモートワークとなり、働く時間や場所に関係なく目標や評価が明確な企業風土作りが必須になるだろうと考えていました。

ところが、緊急事態宣言が明けた5月に開催された役員合宿で「“原則リモート”の状態から通常に戻す」という意思決定がなされたのです。

その時に大事にされていたポイントは2つ。
・「業績を伸ばすには?」という観点
・「会社のカルチャーや企業風土に合うのは?」という観点

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当社の場合はリモートワークを前提にした場合、一体感やチームワークが損なわれ、かなり極端に成果主義、個人主義に振らざる得なくなり、会社のカルチャーとは合わないのではないか、という議論がなされたそうです。
これからの働き方をめぐっては、当然様々な意見が社内でも飛び交っていましたが、この理由には多くの社員が納得したのではないかと思います。
※7月中旬以降から現在は、感染拡大に伴って、「原則リモート」の形態に戻して業務を行っています。


今世の中を賑わせている「ジョブ型」か「メンバーシップ型」という議論においても、当社では型にはめて議論をしたことは一度もありませんが、個人的には両方のいいところ取りができるのではないかと考えています。

それぞれにメリットデメリットがあり、例えばメンバーシップ型は自社事業に適した人材を育て、長く囲い込むのに有効とされていますが、一方でイノベーションを起こす人材が育ちにくいと指摘されることもあり、だからこそジョブ型にシフトすべきだという論調もあります。
ですが、「ジョブ型にしたからイノベーションが起きる」のではなく、チャレンジを繰り返し行うからこそイノベーションが生まれるのではないでしょうか。

少し論点が逸れますが、当社はかなり前から「実力主義型終身雇用」をうたっています。
そもそも一般的には年功序列の会社が終身雇用を前提としている傾向にあるので、この時点で矛盾がありますが、年功序列を一切禁止し、実力があれば内定者であろうが1年目の新入社員であろうが、どんどん抜擢していく“実力主義”の文化と“終身雇用”の仕組みをセットで成立させようとしてきた会社です。

このような一見矛盾することにでも活路を見出し、何事も二者択一ではなく、「AorB」でなければ「A+B」を考える、または全く違う「C」プランを考えるといった視点を持つことに、これからの働き方を考える上でのヒントが隠されているような気がするのです。


冒頭の記事の話に戻ると、
オフィス以外の場所(特に自宅)で働くようになると
・職務満足度の向上
・離職意思の低下
・職務上の心理的ストレス低下
につながりやすいと言われています。

足元の「感染防止対策」のためのテレワークと、「ニューノーマルな働き方」としてのテレワークは、実は頭を切り替えて考える必要があると思いますが、いずれにしてもテレワークを成功に導くためには、「チームに対する信頼」「会社に対する信頼」を担保し、今まで以上に個人の自律性や自由裁量を高めて、思い切った権限委譲を進めていくことが前提となってくると思います。そのためには、管理職の意識改革も必要です。

働き方を変えていかなければいけない今だからこそ、それぞれの企業で、場合によっては根本の経営戦略や事業戦略から見直し、“経営”サイドから会社としての方針を共有しながら、これからの働き方を一人ひとりが考え実践していくという、本当の意味での「働き方改革」の時代が到来しているのではないでしょうか。



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2004年、新卒でサイバーエージェントに入社。インターネット広告事業部門で営業局長・営業統括に就任後、Amebaなどのプロデューサーを経て、2013年及び2014年に2社の100%子会社代表取締役社長に就任。2016年より執行役員に就任。現在は人事管轄採用戦略本部長を兼任。

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