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天才へのアクセスを民主化するオンライン教養・学習サービス、『Masterclass(マスタークラス)』

新型コロナウィルスと共存する生活が始まって既に半年が過ぎ、夏休みやお盆の時期を過ごす中で、新しい本、映画、或いは学びにもチャレンジしている人も多いのではないでしょうか? 今までも何回かオンライン学習について取り上げてきましたが、最近は今まで以上にオンライン学習、エドテックなど、テクノロジーを活用した学びへの注目が高まっていると感じます。

・AIと笑顔で学習変える〜アタマプラスCEO 稲田大輔さん[2020年8月10日]
・@EDGE スクー社長 森健志郎氏 オンラインで学び直し[2020年6月8日]

そんな中気になったのが最近大きな資金調達をしたことでアメリカなどで話題のオンライン学習サービス、「MasterClass(マスタークラス)です。日本語対応されていないこともあり、国内ではあまり話題にはまだなってないようですが、ここ数年積極的にYouTubeやFacebookなどで動画コマーシャルを出稿していたので目にしたことがある人もいるかもしれません。

脚本、スポーツ、料理、ビジネス、政治、写真、演劇、ライティングなどの分野において、世界の第一線で活躍している超一流の「講師」がどのようにしてそれぞれの分野で卓越した才能を発揮できるようになったか、その軌跡や、コツを、こま切れのビデオ講座で教えてくれるというものです。最近放映されたCMはこちらです。知っている人はどのくらいいるでしょうか?

1分間のビデオの中に登場した人だけでも以下のような著名人が名を連ねます。

・マーティン・スコセッシ(映画監督)
・スパイク・リー(映画監督)
・ナタリー・ポートマン(俳優)
・アナ・ウィンター(アメリカ版『ヴォーグ』編集長)
・ステファン・カリー(NBAプロバスケット選手)
・セリーナ・ウィリアムズ(プロテニス選手)

2015年にサービスをスタートした際にはダスティン・ホフマン(俳優)、セリーナ・ウィリアムズ、ジェームズ・パターソン(作家)の3人の講師のみだったにも関わらず、サービス開始4ヶ月後には3万人の受講生の獲得に成功し、現在は85名もの著名な講師を抱えるまでに成長しています。

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個人的には脚本家のアーロン・ソーキン、俳優のジョディ・フォスター、作家のマルコム・グラッドウェル、ジャーナリストのボブ・ウッドワード、政治コンサルタントののカール・ローヴ&デイヴィッド・アクセルロッド(ビル・ゲイツも受講中とのこと)、シェフのゴードン・ラムジー、「got Milk?」のCMで有名なリッチ・シルバースタイン氏&ジェフ・グッビー氏、ディズニーの元CEOボブ・アイガー氏などが気になりました(全ての講師はウェブサイトから閲覧することができます)。気になる費用は全ての講座が視聴可能な年間プランが20,800円と少し高額ですが、30日間の無料トライアルもあるので気になる講座があれば試してみてはいかがでしょうか?)。

ちなみに最も人気のある講座は、元FBIの交渉人で『逆転交渉術 まずは「ノー」を引き出せ (早川書房:2018)』の著者でもあるクリス・ヴォスによる「アート・オブ・ネゴーシエーション」だそうです。

著名人の体験談を知ろうと思えば自叙伝を読んだり、YouTube上のインタビュー動画、TEDトークなどを観ればいい、と思う人もいると思います。Masterclassの場合は、こま切れの講座用に撮影した動画を合計4〜5時間に渡って視聴する形で、ミニ・テストや課題などはほとんどない構成のようですが、高品質で受講生に語りかける形式で、世界の第一線で活躍してきた人の生の声に触れる機会は価値ある投資にもなりうるのではないかと思います。

コロナ禍で学校教育が今まで通りの学びを提供できなくなっているのと同様、社会人にとっても将来不安から新しいキャリアや生き方を模索する中で、新しいキャリアパス、自分が本当に「好きなこと」に改めて向き合おうと思っている人にとってのきっかけを提供してくれるかもしれません。

実際、Masterclassのターゲットとしている利用者層は「CATS」と呼ばれているそうです。[Curious, Aspiring 30(Thirty)-Somethings = 好奇心旺盛で、野心的で、30代の若者]は、学校に戻る予定はないものの、まだ若く、キャリアアップのための手助けを求めている人を想定している、とのことです。

最近注目が改めて集まっているMOOCsと呼ばれるオンライン学習の欠点として、講座に飽きやすく集中できず、完了率が低い、という課題がありました。誰もが知っている著名人、スーパースターが丁寧に教えてくれることで、そうした課題を克服して、新しい一歩を踏み出すための学びの手段になるのでは、という「エンタメ&学習」という組み合わせが受け入れられているようです。

パンデミックの発生後、他のオンライン学習プラットフォーム同様、新規受講者数、アクセス数も急速に増加し、2020年5月には新規に1億ドル(約106億円)の調達に成功し、今後は「1週間に1つの講座という制作ペースにアップするのに使う」とのことです。

MasterClassはデービッド・ロジエ(David Rogier)氏がスタンフォードビジネススクール卒業後に、教育分野で新しい取り組みをしたい、との思いから始めたサービスです。

沢山の著名人に講師として参画してもらうために電話、メールなどで連絡し、交渉を試み、多くの人にうまくいかないだろう、と言われながら、ここまで成長したスタートアップ、という点でもとても注目です。

この記事を書くために自分も30日間の無料トライアルに申込んでみました。30日後に改めて受講の感想、そして継続するかどうか、また改めてレポートしてみたいと思います。

▼参考にした記事:

Photo by Alexandre Pellaes on Unsplash


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