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学びたくなる授業の4つの要素 ー仲間・遊び心・創作・社会参加

コロナ禍において、私たちの学習機会の多くがデジタル化/オンライン化する動きが加速しました。

学校教育においても、2020年度末、すべての小中学校に一人一台のタブレットやPCなど学習端末を整備する「GIGAスクール構想」の実現に向け、社会が動き出しています。

学習端末の導入よって、情報検索コスト、生徒による発表のコスト、採点や評価のコストがさがるといったメリットがあります。これらが使いこなされることによって、これまでの授業のスタイルのあらゆることが効率化し、生徒の学習は確かに推進されることでしょう。

しかし、ちゃぶ台を返すようですが、いくら端末が導入され、授業が効率化されたところで、学ぶということの本質は変わらないはずです。

ぼくは、学ぶことの前提は、一人一人の欲求や好奇心にあると考えています。生徒・児童の学びへの欲求や知的好奇心が耕される授業がつくられることが大切です。

今日は、学習を動機づけるものとして、仲間、遊び心、創作、社会参加という4つの要素について考えたいと思っています。

学びたくなる授業の4つの要素

ここからはぼくの仮説ですが、子どもが授業やワークショップなどの学びの活動に参加したいとおもうきっかけには、いくつかのポイントがあると考えています。

1. 仲間からの提案(この人が言うならやってみようかな。このメンバーなら楽しめそうだなと思える)

2. 遊び心がある(単なる作業ではなく、見立てやゲーム要素など、楽しさが盛り込まれている)

3. 創作的である(知識を詰め込むのではなく、自分で何かを作ってみることができる)

4. 実践的である(社会に参加しているという感覚を得られる)

1. よい仲間からの提案

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一つ目に、よい仲間がいることです。その仲間のなかに、授業やワークショップを提案する大人もしくは子どもの提案者も含まれていることが重要でしょう。仲間ではない人から提案されたことを受け入れるのは、大人でもなかなか躊躇するものです。仲間のなかから提案されたものが、楽しそうなことであり、かつ時間もあれば、ぼくたちはその活動に乗るはずです。

2. 活動に「遊び心」があること

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二つ目に、活動に遊び心があることです。遊び心とは、本来遊びでないもののなかに、遊び性を見出してしまうことです。たとえば「社会の課題をみつける」という活動に対して、「社会にある課題を、病気にたとえてみる」とか、「元素記号を暗記する」という課題を「元素記号を擬人化してみる」というような「見立て」の活動を導入することができます。

あるいは、ゲームのような活動も考えられるでしょう。例えば、絵画の鑑賞において、クラスを2つのチームに分け、片方は絵をみることができず、片方は絵を言葉だけで説明しなければいけない、といったルールで行うことで、より絵を観察するようになるという活動があります(ブラインド・トークといいます)。こうした遊び的な活動が導入されることで、より楽しみが増します。

3. 「創作」の活動があること

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三つ目に、創作的な活動を取り入れることです。創作とは、絵画や小説、写真や演劇など、さまざまなメディアを用いて表現活動を行うことです。たとえば「弥生時代の歴史を学びましょう」ではなく「歴史を学んで、弥生時代を題材にした映画の企画を考えましょう」というような創作活動を加えていきます。

企業の研修においても「接客の本質を学ぶために漫画を描いてみる」「コラボレーションの本質を学ぶためにダンス作品をチームでつくってみる」といった創作的な活動を通じた学びが行われています。

4. 社会の実践に参加すること

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四つ目に、これが最も大切なことだと思うのですが、社会に実践的に参加していることです。社会への参加とは、授業で行なった活動が、クラスという枠から出て、学校全体、地域社会、国、国際社会、あるいは地球環境といった「外」の問題系に影響を与えていくことを意味します。

たとえば、三重県にある高校生レストラン「まごの店」では、調理師を目指す相可高校食物調理科調理クラブの生徒が先生の指導のもとに、地元の食材を最大限に使ったメニューを考え、レストラン経営・調理を行っています。(現在は新型コロナウィルス感染症対策のため営業を休止しているとのことです)

ほかにも、生徒たち自らが数学の教科書をつくる。技術教育でつくられる棚の設計図をデジタル上で記録・公開し、誰でも参照できるようにするといった活動も、社会参加をうながせるといえるでしょう。

デジタル/オンライン化する学習における「社会参加」とは何か?

教育哲学者のジョン・デューイは学校を批判し、教室を、大人が用意した知識を子供に詰め込む場ではなく、子どもたちの活動が社会と接続を果たす「wokrshop」もしくは「ラボラトリー」であることを重視しました。そして、その教室での活動を「仕事(occupation)」と位置付けています。

ぼく自身も、過去に演劇公演に児童館の小中高生が参加する活動や、ファッションブランドのデザイナーの仕事に小学生が参加する活動、公園のアップデート案を小学生が大人に向けて提案する活動などを企画してきました。ある種の、オルタナティブな「仕事」を、学びの活動として提案しています。

子どもたちは、自分の日常の外側の世界に対して、恐れと共に好奇心を常に持っています。「仕事」というメタファーを借りて、外の世界とされてしまうものとの接続回路をいかにつくることができるか。このことが学校だけでなく様々な教育プログラムにおいて、僕は最も大切なことだと考えています。

そのとき、過去の記事にも書いたように「生徒を社会に参加させる」のではなく、教員やファシリテーターの立場にある大人もまた生徒たちのリアリティに参加していること、そして何より社会的な実践者であることが必要であると僕は考えています。

こうした社会参加型の授業が広く普及するには、多くのハードルがあると言えるでしょう。しかし、GIGAスクール構想のように学習のデジタル化/オンライン化が加速する現在においても、この社会参加の視点を忘れずに学びの場を考えたいのです。

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臼井 隆志|Art Educator
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