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国産クラウド(日本主導クラウド)のメリット~GXとDX~

こんにちは。グローバルでDXの調査・支援をしている柿崎です。
前回に引き続き、今回も「国産クラウド」改め「日本主導クラウド」について書きます。
前回の記事とあわせてお読み頂ければと思います。

日本主導クラウドはなぜ必要でしょうか?

安全保障上の懸念

まず考えられるのが、安全保障上の問題です。以下の2つの記事でも、この点が理由として取り上げられています。

国産に限る主な理由は、海外のクラウドサービスで日本の行政データを管理していると、外国政府が強制力をもってそのデータにアクセスするリスクが排除できないと想定しているからだ。
さらに、経済安全保障の観点から今後の安定した調達先として国産クラウドを育成する狙いもある。これまで日本政府は米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)など米大手クラウド事業者のサービスを積極的に活用してきた経緯がある。

日本経済新聞 電子版 2022年6月3日

こうした海外企業のサービスを使うとサイバー攻撃などが発生した際に米国側の干渉を受けたり対応が遅れたりする懸念がある。日本人の個人情報を海外企業に委ねるリスクを指摘する声もあり、日本独自の設計が必要だと判断した。

日本経済新聞 電子版 2022年7月19日

安全保障上の理由は上記記事に譲ることにして、ここでは、あまりメディアで取り上げられない理由について書きたいと思います。

カーボンニュートラル

前回のnoteで、デジタル庁、経済産業省、自由民主党の資料を共有しました。お読み頂くと、データセンターを地方分散で構築することが書かれています。地方分散で構築する、ということは、一極集中のリスクを分散させる、という安全保障の範疇で語られることが多い印象があります。
私は、安全保障に限らず、カーボンニュートラルと低コストにつながるメリットについて書きたいと思います。

4年以上前の記事ですが、新潟県長岡市のデータセンターに関する記事をご覧ください。

データセンター運営のデータドック(長岡市)は22日、雪をサーバーの冷却に使う「新潟・長岡データセンター」(同)の開所式を開いた。冷却に雪と外気を併用し、同規模のデータセンターと比べ電気代などのコストを約4割削減できる。クラウドサービスなどの拡大でデータセンターの需要は高まるとみられ、施設の拡張も計画している。

 日本経済新聞 電子版 2018年1月22日

この記事では「冷却に雪と外気を併用し、同規模のデータセンターと比べ電気代などのコストを約4割削減できる」とコスト面が注目されていますが、温室効果ガス排出量の削減にもつながることは明からです。4年前の記事ですので、カーボンニュートラルに関しては触れられなかったように思います。

私は秋田県湯沢市の出身です。私の地元は、長岡市と同じように日本でも有数の豪雪地帯です。また、日本で有数の地熱賦存地帯と言われています。

地熱発電は地下から熱水と高温の蒸気を取り出し、タービンを回して発電する。再生可能エネルギーの一つで、発電時に二酸化炭素(CO2)を出さない。太陽光発電は天気次第で発電量が変わるのに対し、地熱発電は天候に左右されず24時間安定して稼働できる。

日本経済新聞 電子版 2022年6月7日

私の地元を例にして恐縮ですが、地方分散でデータセンターを構築することは、カーボンニュートラル(湯沢市の場合は地熱発電)かつ低コスト(雪での冷却)につながることがお分かり頂けると思います。

DXのためにはクラウドが必要ですが、現在の集中型クラウドの場合、端末からクラウドまでの距離が長くなり、ネットワーク上に大量のデータが流れ、ネットワークでの電力消費が増大するため、環境に高い負荷がかかります。
(遅延性などの問題もありますが、今回は割愛します。)

岸田文雄首相は7月27日、萩生田光一経済産業相に脱炭素を進めるGX(グリーントランスフォーメーション)実行推進担当相を兼務させる人事を発令しました。
日本主導クラウドはこれまで経済産業省がリードしてきました。今回の兼務により、日本主導クラウドの構築がGXとDXを両立させる一つの方法として加速することを期待します。






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