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NPS(ネットプロモータースコア)が抱える課題

顧客ロイヤルティを計測するNPSの回答の精度高めるには、状況を特定した質問にすることが有効であることを、先日書きました。

NPS(ネットプロモータースコア)は機能しない?!

商品・サービスの顧客からの評価は状況に応じて変化することを、NPSの本来の質問である「あなたはこの商品・サービスを友人知人にどのくらい勧める可能性がありますか?」では対応できないことへの解決策でした。

その他にも、NPSを活用する際につまづくポイントがあるため、まとめておきます。

手心によって歪む点数

NPSを開発したフレッド・ライクヘルド氏の記事です。

“10s Are Good”: Why Employees Beg for High Customer Service Scores

携帯ショップや車の販売店で、何か購入した際に、

「アンケートが届くと思うので、10点を付けて頂けると大変助かります。今度、子どもが生まれるのですが、アンケート結果で賞与が変わってくるので。。。」

といったお願いを受けることがあります。

もちろん、それでも正しい評価を付ける人もいますが、こういったお願いに影響を受けて、手心を加えてしまう方もいらっしゃいます。

NPSを計測している理由や意義が浸透して文化に昇華する前に、安易に点数を現場の報酬と紐づけると、こういった問題が発生します。

顧客ロイヤルティの改善活動の目的は、お客さまにより多くの価値を提供しつつ、且つ事業を経済的に維持可能な状態、つまり長期的に利益を創出できるようにすることです。

適切な指標に基づき、継続的な改善活動を目指すことが基本になります。

偏った回答

NPSの調査において、全てのお客さまから回答をしてもらうことは非常に困難です。

謝礼を付けたとしても無理強いはできないため、消費者向けの場合では、10%回収できれば良い方です。

そして、ブランドに対して愛着のある点数を高く付けるお客さまが回答する傾向にあるため、どうしても実際よりも上振れした結果になりがちです。

統計的な傾向は把握できますが、現実の状態は結果数値より悪く、回答しなかった人は全て批判者であるといった厳しい自覚を持って、改善活動を遂行するべきです。

また、実際の状態を把握するために、再購入率やクレームの内容など、事実として発生している事象を読み取ることで、補正を掛けていくことが必要です。

秘匿性のあるものだと勧められない

全てのサービスや商材に適した質問など存在しません。

NPSも例外ではなく、誰にも使用していることを知られたくない、例えば、かつらやダイエットといった商材に関して、この聞き方は不適切だと考えられます。

また、BtoBで事業の競争優位性に関わる商品やサービスを購入している場合は、機密に関わるため、この質問は成立しづらくなります。

NPSを活用できる場合はそのまま利用したいところですが、残念ながら利用できないケースも存在するため、そういった場合は次善の策を考えるべきです。

NPSに代わって、どういった質問をすべきかを自ら考えなければいけない場合は、お客さまが自社のサービスをどう評価してくだされば最高の状態と言えるのかを定義します。

例えば、「自社ソフトウェアを業務に組み込んで活用して頂けていれば最高だ」となれば、「業務において必須な存在になれていますか?」といった質問が適切です。

NPSは、唯一の究極の質問として普及しています。

パワフルで使い勝手のいい指標であることは間違いありませんが、自社の状況を踏まえ、適切な変更や改善を加えて、運用をしていくことが求められます。

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