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山川草木のポートフォリオ 〜#これからの働き方の新モデルとは

お疲れさまです、uni'que若宮です。

さて、【日経新聞連動テーマ企画】としてこんなテーマが出ているようです。
「#これからの働き方の新モデルとは」
https://comemo.nikkei.com/n/nb727ee6a3d5c

僕自身パラレルワークやリモートワークを3年ほど実践してきて、起業家としても「全員複業スタートアップ」という変わったカタチで経営をやってきた経験から、「#これからの働き方の新モデル」について書きたいと思います。チェケラ。

「複業」が前提となる

まず、働き方の前提として、僕はこれから「複業」がベースのOSになると思います。「婦人参政権」や「キャリアウーマン」などという言葉が徐々に当たり前化して死語になったように、「複業」という言葉自体は死語になっていくのではないでしょうか。

これにはポジティブな理由とネガティブな理由があると考えています。

ポジティブ)個の力が組織によらずに発揮できるようになる。
ネガティブ)一社だけでは個人の人生をまかなえない。

ポジティブな側面は、テクノロジーによりリモートワークやギグ・エコノミーが可能になったこと、そして副業の解禁など制度面での制約がなくなることで、個人が組織に依存せず、自分の才能をより多方面に発揮しやすくなった、ということです。

一方、ネガティブな変化は、というと、コロナ禍でも経験したように不確実性が高まり、増してやこれから中長期的に経済が縮小してくる日本においては、企業は多くの人を安定的に雇い続けるのも難しくなります。こちらの記事でも書いたように、

企業が継続的・安定的な正規社員だけでなく、流動性の高い非正規雇用やフリーランスを活用していくのは不可避だといえるでしょう。「終身雇用」の前提が壊れる中で、昇給はこれまでのように当然には期待できません。そうなると個人はキャリアアップのためには一企業に限らず、収入源を増やしていく必要があります。

複業を前提とした「ポートフォリオ」

さて、「複業」を前提とした社会になるとしたら、どのように「複数の業」を組み合わせていくとよいのでしょうか?

自身の経験を振り返って、仕事には大体4種類くらいがあり、それらを組み合わせるのがよいのではと考えています。ここで試みにこれを「山川草木のポートフォリオ」と名付けます。(急な四字熟語ktkr)

まず、横軸に「仕事をもらう」か「仕事をつくる」かをとります。これはつまり雇われて企業からお金をもらって働くのか、あるいは自らなにかをつくり出して稼ぐのか、という軸です。

そして縦軸には「長大」と「短小」を取ります。長大とは大きくて時間的にも長く持続するもの。短小は個人の活動であったり、小さく機動的で短期的なものです。

この4象限で考えるとどんな働き方がみえてくるでしょうか?

「山」「川」「草」「木」

急な四字熟語をぶっこんだお詫びに、一つ一つ解説していきます。

1)安定すること「山」の如し
右上は「山」の働き方。「長大」かつ「仕事をもらう」、従来的な企業の正規社員の働き方です。4つの働き方の中で、もっとも長期的な働き方であり、また、沢山の人が集まって仕事をする、という意味でも「山」に似ています。どっしりとしていて安定感がありますから、基本的には(利益がさがっても)決まったお金をもらうことができます。また、長期的にプロジェクトや企業の成長に関われるメリットがある一方で、変化がしづらい、というデメリットもあります。
2)流れること「川」の如し
続いて右下。「短小」✕「仕事をもらう」、これは「川」の働き方です。文字通り「フロー」な仕事が多く、企業に雇われて仕事はもらうものの、プロジェクトが終われば一箇所に留まらず移り変わっていきます。文字通り「流動性」が高く、一定自由である代わりにばさっと仕事が切られるリスクもあり、景気などに「流される」部分はあります。
3)生い茂ること「草」の如し
続いて左側に移っていきましょう。左下は「草」の領域です。「短小」だけれども「仕事をつくる」というゾーンで、個人のアーティストやクリエイターのような仕事が当てはまります。「川」のフリーランスと似ていますが、仕事の主体がクライアントから自分に移っており、草が光合成によって自ら生い茂り花を咲かせるように、仕事を自ら生み出すことができます。フリーランスでも「名前」で仕事ができるようになるとこのゾーンに近づいてきます。
4)実ること「木」の如し
最後は左上。「長大」かつ「仕事をつくる」というゾーンで、これは起業家や経営者(オーナー)の仕事です。クリエイターのように個人で仕事をするに留まらず、事業を、仕事を創り出し、人も雇って「数年後の果実」を実らせることを目指します。会社化するので「草」よりは大きく重く、また、寿命も長くなります。

自身の働き方における「山川草木」

これらは正に今の僕の働き方に、それぞれ通ずるところがあります。

」はランサーズの正社員として働いていることです。「タレント社員」という謎の肩書ではありますが、れっきとした社員です。複業ではあるので時間的にフルコミットではありませんが、中長期目線で事業や会社の成長にコミットできているのは正規社員だからこそであり、次に述べる「川」の仕事とは少しちがいます。

」は企業の外部ブレーン。今は某化粧品メーカーさんや某家電メーカーさんで外部ブレーンとして短期の契約をしています。また、さらにスポットの仕事をいただくこともあり、大丸松坂屋さんで社員向けに研修をしたり、ちょうど最近ではVAIOさんのコアバリュー策定のワークショップなどもしています。いわゆるクライアントワークですが、「山」と比べると時間単価的には効率が良い代わりに、「フロー」のために関係性としてもやや短期的となり、長期的な目線でコミットしづらいのが難点です。

」は個人としての活動ですが、クライアントワークとは異なり、書籍を出したり自らイベントを仕掛けたり、というものです。ここは僕自身でいうと「川」に比べればまだまだ収入としては小さいのですが、実績を重ねると色々な仕事へと広がってくる感じがあり、徐々に育てていける楽しみもあります。

そして最後に「」。これが実は僕の場合メインなのですが、起業家としてuni'queを経営している僕です。どうも僕です。いくつか事業をつくっていて、中にはなかなか育つのには時間がかかるところもありますが、「一樹一穫者穀也、一樹十穀者木也」といわれるように、やがては十倍になって返ってくるかもしれません。

すべてが円環のうちに

さて、よく世間では「正社員とフリーランスどっちがいいの?」とか「起業家と比べて会社員ってさあ」というような言説も聞きますが、僕はそれぞれを比較することにはあまり意味がなくなるのではと思っています。なぜならすでに述べたように、これからの時代は「複業」の「ポートフォリオ」が前提になっていくからです。

これらの4つの仕事は大きさと安定性、そしてまたお金を得られるまでの時間軸もちがいます。だからこそ、「山川草木」を組み合わせて働くのが「これからの働き方の新モデル」なのではないかと思うのです。

なぜなら、これらの間には「シナジー」が起こるからです。たとえば僕は「山」大企業で働いた後、「木」で起業した経験から『ハウ・トゥ・アート・シンキング』のような書籍を出すことができ、「草」の仕事ができるようになりました。「草」として書籍を書いたことは「川」のお仕事をもらう上でも沢山きっかけになっていますし、「川」で沢山の企業と接している経験が、「山」のランサーズでの仕事にも生きています。

あるいは逆に、「木」で自らongoingで事業をしているからこそ、「山」であるランサーズでも他の社員とはちがうバリューを出すことができる面もあります。「川」での経験をこれから先また別の書籍としてまとめて、ちがう「草」に広がるかもしれません。

また、これらの組み合わせは自身の価値観に多様性ももたらしてくれます。「山」や「木」は基本的に「高く」「大きく」と垂直方向を目指しますが、「川」や「草」は水平方向に仕事を「広げる」ことを教えてくれるのです。

つまり、大事なのは「どれが一番つおいか」ではなく、適切な組み合わせとその循環だと思うのです。

これまでの日本では「働き方」というと、どちらかというと右側について語られることが多く、「自ら仕事を生み出す」左側は、ケースが少ないかリスクが高いと思われてきました。しかしこれからの時代、右側だけではいつ「職」を失うかもしれません。そんな時に「自ら仕事を生み出す」もポートフォリオにもっておくことはむしろリスクヘッジになるのです。

さて、ここまでさも知っていたかのように使ってきた「山川草木」という四字熟語ですが、皆さんはこの言葉の意味を知っていますか?実は僕自身、よくわかっていませんでしたw

なので今更感がすごいですが、最後に辞書を引いてみます。

【山川草木】読み方:さんせんそうぼく
自然における代表的存在として山、川、草木を挙げた言い方で、森羅万象を表す語。「山川草木悉皆成仏」の語において主に用いられる。「山川草木悉皆成仏」はまた「草木国土悉皆成仏」とも表現される。なお、乃木希典は「山川草木転た荒涼」と詠んだ。

「山水草木」、それは「森羅万象」そして「自然」を総称している言葉だったのです!(ババーン)

「#これからの働き方の新モデル」というと、なにかハイテクなワークスタイルのように思われるかもしれませんが、それは実際のところ、「より自然になる」ということなのかもしれませんね。

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