心理的安全性を高めるアイスブレイク事例
「心理的安全性」について聞く機会もかなり増えました。
これまでも心理的安全性を高めることの重要性やポイントについて何度か記事に書かせていただきましたが、今回は心理的安全性の起点となる「関係の質」をどのように高めるのか、アイスブレイクのやり方についていくつかのワークの事例を紹介していきたいと思います。
心理的安全性を高めるための起点
「心理的安全性」は組織行動学の学者エドモンドソンが1999年に提唱した心理学用語であり、下記のように定義されています。
心理的安全性をどのように高めるかについては、ダニエル・キム教授が提唱している成功循環モデルがとても分かりやすいのですが、起点は「関係の質」を高めるところから始まります。
そして以前も記事に書きましたが、心理的安全性は、下記4つの循環で高まっていきます。
つまり心理的安全性のグッドサイクルを生み出す起点は「関係の質」を高めることなのです。
また、関係性がまだ構築できていない場合はどのように場を温めるのが良いかについて記事が書かれています。関係の質をどのように高めていくかについての様々なアイデアが出てきているのです。
「関係の質」を高めるアイスブレイク
プロジェクト、イベントやコミュニティ活動などで初めてメンバーが集まった時に最初に自己紹介をする機会はよくありますよね。ただその自己紹介は「では1分くらいで名前、所属、この集まりに参加した理由を話してください」というような流れが多いと思います。
でもそのような1分ほどの自己紹介で相手のことが分かるでしょうか?
表面的な情報だけでは関係の質を高めていくことは難しいでしょう。
メンバーが出会って間もないタイミングで実施することで関係の質が高まるワーク、アイスブレイク をいくつか紹介したいと思います。
① 写真を使って自己紹介!(からの他己紹介)
1つ目のアイスブレイク は、大体の方が常に手元に持っているスマートフォンを活用したワークになります。
<進行>
① まず参加者に「最近楽しかったことを共有してください」と伝えます。
② 次に楽しいことを思い出すのにスマートフォンを使い、最近撮影した写真からその「楽しかったこと」を思い出してもらうように伝えます。
③ 1グループ3-5人位ずつとなり、グループ内で1人ずつ「楽しかったこと」を話していきます。1人あたりは1分くらいを目安にすると良いと思います。
(参加者の関係値次第ではその写真を見せながら「楽しかったこと」を説明してもらうと解像度が上がります。)
④ 時間がある場合は2周目で「自分のこだわり、偏愛」について話してもらいます。この場合も1周目と同じように「自分のこだわり、偏愛」に関する写真をスマートフォンから探してもらい、それを元に参加者1人1人が話します。
このワークを実施することで短い時間で、通常の自己紹介よりも相手のこと、考えを深く知ることができます。
もう少し時間をかけられる場合は、その人(仮にAさんとする)以外のグループのメンバーがAさんに対して「Aさんはハッシュタグをつけると #◯◯な人です」という形で他の皆に他己紹介してもらうのです。これをグループ全員で回していくことで相手に対する理解はさらに深まり、関係の質が高まるきっかけとなります。
② 「実は私。。◯◯なんです。」
次のアイスブレイクは自分の意外な一面をシェアするワークです。
<進行>
① 参加者にあなたの意外な一面は何かを考えてもらいます。
② 1グループ3-5人位ずつとなり、参加者に「"私、こう見えて実は◯◯なんです。」という形で、自分の意外な一面を順番に話してもらいます。
このワークをする過程でそれぞれの参加者は自分自身が通常どのように思われているか、あまり普段見せていない一面が何かを考えシェアすることになります。
このワークはそれほど時間を掛けずに実施することが出来るのですが、ワークを通じて通常の自己紹介では決して知り得ない相手の一面を知ることになり、相手との距離感が縮まります。
③ 過去◯◯時間以内の良かったこと・新しい体験
このアイスブレイクは自分がどのようなことを良いと感じるか、どのような体験をしているかをシェアする「Good & New」と言われるワークです。
<進行>
① 過去24時間以内(もしくは”週末に”など時間の範囲は状況に合わせて決めてください)にあなたが良かった!と思ったこと、新しい体験をしたエピソードを考えてもらいます。
② 1グループ3-5人位ずつとなり、過去24時間以内に良かったと感じたこと、新しかった体験を一人ずつシェアしてもらいます。
このワークを通じて、その人がどういう価値観を持っているか、どのような体験に関心があるかなどが伝わります。
関係の質を高めることへ投資しよう
上記に紹介したアイスブレイクは私が大学のオープンカレッジで3回に渡って実施したワークなのですが、この3回のワークを通じて参加者はお互いのことを知り、関係の質が高まったことで講義中の質問も活発になりました。最後にはとても嬉しいことに私を含めた参加者のコミュニティをつくることになり、実際に今もコミュニケーションが続いています。
毎回講義の冒頭で10-15分ほど使い実施したのですが、結果としては私含め参加者同士の関係値が良くなり、講義のインプット、アウトプットがしやすい状況が生まれました。
ミーティングもそうですが、目的志向が強くなると本題から入っていきがちになりますし、雑談など冒頭であまり時間を使いづらい状況になります。しかし、まだ関係の質が高まっていない状況では、しっかりと時間を掛けお互いのことを理解できるようにすることが大切なのです。
まとめ
一見無駄な時間に思えたり、遠回りに思えるかもしれませんが、関係の質を高める時間への投資が最終的に結果の質を高めることになるのです。
今日ご紹介したワーク含め、本やインターネットで調べていただくと様々なアイスブレイクに関しての情報があります。是非皆さまのコミュニティ、組織、イベントに合ったアイスブレイクを見つけていただき実施していただければと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?