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【テーマ企画まとめ】仮想通貨「Libra」あなたはどう評価しますか?

米フェイスブックが打ち出した仮想通貨、リブラ。何かと話題を集めていますね。これまでの金融のあり方を変える存在なのか、私たちの生活にどのような影響を与えるのか。日経COMEMOテーマ企画の呼び掛けに対して、「#Libraを私はこう評価」で多くの投稿をいただきました。ここにご意見の一部をご紹介します。

■これまでの通貨秩序を変える存在なのか?

岡田さんは、「お金の主導権をめぐる競争の行き着くところは、法定通貨と仮想通貨の信認争い」だといいます。「ざっと流通規模において世界30位程度の法定通貨辺りが、おそらくはリブラと優劣を競うラインではないか」「信認の弱い通貨にとってリブラは脅威となりかねない」との見方を紹介。世界のいずれかの法定通貨が、リブラとの信認争いに巻き込まれる可能性に言及しています。

岩下さんは、全世界で周知、利用されているFBからの発信はメリットが大きいだろうと考える一方、通貨の民主化という視点が重要だと指摘します。

遅かれ早かれボーダレスな通貨が始まるのであれば、どこかの国による国家政策や、よく分からない団体による運営ではなく、全世界で周知、利用されているFBからの発信はメリットが大きいだろうと思います。
問題は、やはり「リブラ」と「国・組織」の関係。利用者の安心が確保されるか否かの整備だけでなく、むしろ、各国が金融政策や経済に大きな影響を与えるあろう仕組みをどう受け入れるために整備するか。
仮想通貨がどうとか、FBがどうとかではなく、通貨の民主化への対応という視点が今後も重要だと思っています。

吟遊詩人さんは、リブラには処理速度に致命的な欠陥があると指摘、リーマン・ショックの際のご自身の体験から、保有性のある資産としては認めてはいけないといいます。

Gotouさんは、人の評価と報酬は平等であるべきで、格差是正のためにリブラのライバルが多数現れて欲しいといいます。

■金融システムを脅かす存在か?

唐鎌さんは「リブラが新興国の金融システムを破壊する」「リブラが銀行部門から預金を枯渇させる」といった頻繁に散見される論点は、本質的に間違っていることだけはエコノミストの眼から見て言えると指摘。センセーショナルなことを言うよりも、基本的な事実を押さえて論をちょっとずつ前に前進させ、このプロジェクトが良い方向に進んでいけば良いといいます。


増田一之さんは、リブラについて以下7つの論点を紹介。

1. Libraの意義
2. Face Bookの狙い
3. 実際に金融包摂を実現できるか
4. 潜在市場規模と運用益
5. 銀行業界への脅威
6. 金融行政との関係
7. 通貨発行権の戦い

Libraは金融のイノベーションを大きく進めることが期待されるが、国家規制との折り合いがつくかどうかが最大の問題と指摘。Libra構想が金融を変えていく一里塚になることを期待するとともに、Libraが「目醒めよ、金融」というwakeup callになったことは間違いないと評価します。

宮嵜さんは、「Libraにも信用不安は起こりうる」との見方を披露します。

Libraの信認が著しく低下した場合、誰がLibraの流動性を供給しうるのでしょうか。
金融機関への流動性供給に発行体が責任を負えない以上、Libraはいずれ主要中銀の厳しい規制下に置かれざるを得ないように思います。

遠藤さんは、リブラの前途は多難であるとし、その理由として

1. リブラを各国政府が認める
2. フェイスブックを各国政府が信用する

ことが困難であるとしています。

塚崎さんは、「Libraについては様々なリスクや懸念があるが、どこかの無法者が類似の物を作って広めてしまう懸念があるため、規制や報告義務などを定めた上でibraに育ってもらった方が、結果としてのリスクは小さくなるかもしれない」と述べます。

場合によっては、米国と対立する国が、自国通貨の価値を裏付けとしたデジタル通貨を作り、反米的な諸国の間で活発な取引を行うようになるかも知れません。これこそ米国等にとって悪夢になるかも知れません。

■ブロックチェーン技術としての評価

増田剛さんは、リブラの「黒船効果」を指摘していました。

また、突き詰めてどんなバリューを我々ユーザーが得られるのかについて議論が為されるフェーズになってはじめて、Libraの本当の評価を論じることができると述べています。

かつて、ブロックチェーン・仮想通貨というものが、投機的なものとしてではなく、もっと実体的なものとして、「ブロックチェーン界隈」と称される一部のアーリーアダプター達のみならず、より広く注目されたことは殆どなかったのではないかと思います。
今、Libraは「ブロックチェーンであるなにか」として多く議論されていますが、突き詰めてどんなバリューを我々ユーザーが得られるのかについて議論が為されるフェーズになってはじめて、Libraの本当の評価を論じることができるように思います。

碇さんは、ブロックチェーンがやっと本来の意味で使われるようになってきた、とリブラを評価します。そして、この時代の流れは変えようがないため、この流れを受け入れ議論し、社会システムをいち早く構築することが必要だと述べます。

リブラに関する説明は、他の詳しいサイトやNOTEに任せたいとおもうが、Facebookによるリブラに対する、私個人の感想としては「やっと、ブロックチェーンが正しい用途に使われるようになったか」と快哉を叫びたい気分だ。元々、ブロックチェーンが純粋なテクノロジーとして登場したときは、国境で制限されない貨幣流通の在り方や公的サービスの電子化に期待が高まっていた。
しかし、これだけ仮想通貨による電子取引のニーズが強いと言うことは、この時代の流れは変えようがないのだろう。それに抗っても、時代に取り残されるだけだ。われわれがすべきことは、この流れを受け入れ、それに対し、どのように付き合うことで、個人の権利と自由を保護できるのか、議論し、社会システムをいち早く構築することだろう。

■消費者の変化に注目

栗原さんは、

1、企業連合の中に隠れたFacebookコマースのカラクリ
2、Facebook上での偽装取引と銀行口座の必要性

など、消費者の変化をポイントにしてフェイスブックのリブラ戦略を解説します。

■その他のご意見

市川さんは、

①フェイスブックに対する不信(過去の個人情報の流出問題など)
②既存国際金融システム、法定通貨への脅威
③マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ・犯罪への利用のリスク
④リブラ協会のガバナンスの問題
⑤各国、国際組織などでの法規制整備がまだ整ってないこと
⑥米国内での規制が曖昧なためにおこるイノベーションの国外流出リスク

といった論点を挙げ、議論を深めるための基礎情報、共通理解をもっと積み上げていく必要がある、と指摘します。

今回もたくさんの意見を投稿いただき、ありがとございました。

ほんのごく一部ですが、ご意見を8/27付の日経新聞朝刊に掲載させていただいております。


次回のテーマは「サブスク」です。こちらも皆さんの投稿をお待ちしております!