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対面授業とオンライン授業は、全く別物!授業をトランスフォーメーションしよう。

オンライン授業を行い始めて、3年目

 2020年に、コロナ感染症との生活が始まり、早くも3年目になります。私も、さまざまな大学、大学院で授業を行いますが、2020年4月からは、オンラインの授業と、対面授業が、混在しました。コロナの前では、対面授業しかなかったことを考えると、学びの場の変化は、とても大きいものです。
 先生方との会話では、「早く対面授業に戻らないかな」とおっしゃる方と、「オンラインは移動がなくて楽」などとおっしゃる方がいます。ところで、今回考えたいのは、「対面授業」と「オンライン授業」は、同じ授業なのかということです。

対面授業は、経験値が高く、オンライン授業は..

 生徒も、先生も、実は、対面授業の経験は豊富です。一番重要なことは、現在教壇に立たれている先生は、「対面授業」前提で、教師になるトレーニングを受けており、「オンライン授業」のトレーニングはほとんど受けていません
 結果的に、多くの先生は、「対面授業」をそのまま「オンライン化」してしまっているのではないでしょうか?実は、対面授業と、オンライン授業には、それぞれ大きく異なることがあります。

対面授業とオンライン授業の比較

 本来は、対面授業をオンラインにするのではなく、オンライン授業のメリットを活用した、新しい授業を考えるべきなのでしょう。
 オンライン授業にしかできない授業の形式もあるはずで、単純にコロナ禍の対面授業の代替案として行うということではないのでしょう。このように、オンライン授業の特長をきちんと理解すれば、コロナと関係なく、今後も「オンライン授業」という形式は活用されるのではないでしょうか。

 このような背景もあり、学校により、オンライン授業の取り組みに違いがあるようです。学校の授業のデジタル・トランスフォーメーションという視点で、生徒の学びを最大化する、新たな取り組みを考える時期なのだと、私は考えるのです。

ビジネス・パーソンも同じミスを会議で行っている

 これは、必ずしも教育機関だけの問題ではありません。いまだに、Video
会議の設備が未整備であったり、Video会議専用の部屋が存在しない企業が、いまだに数多く存在します。
 会社の総務は、コロナが終わったら、会議は今まで通り、対面の会議に戻ると思っているかもしれませんが、それは大きな間違いです。対面会議とVideo会議には、それぞれ向き不向きがあり、今後も両方の会議を活用するのです。そして、「対面会議」と「Video会議」は、先ほどの授業と同様に、「対面会議」の単純にオンラインにしたものが「Video会議」ではなく、異なるものと理解するべきでしょう。

対面会議とVideo会議は、異なる会議形式

アナログ体験がデジタル化されたら、その定義は再定義

 これらに共通することは、私たちはアナログで体験していたことが、デジタル化されたら、その言葉の定義を丁寧に考える必要があるということです。
 「対面授業」と「オンライン授業」の定義は異なり、得られる効果や価値が異なります。例えば、先ほどの「対面授業とオンライン授業の比較」の表で、教員をしている私にとっては、耳の痛い比較項目があります。それは「先生」の欄です。「対面授業」では、先生は教室に実在する必要があり、先生は教室の数より必要な先生の人数が決まります。しかし、「オンライン授業」では、先生は物理空間や、時間の制限と無関係になり、生徒にとっては、一番良い先生の授業を提供することが、最大の教育サービスかもしれません。実際に、「塾」や「予備校」では、このような授業を提供しています。そう考えると、この2つの授業は、異なるものなのです。
 このような誤解は、実は世の中に、たくさん存在します。そして、私はこの誤解が、日本において、デジタル活用が進まない理由になっているように思うのです。
 以下の表を見てください。アナログ体験とデジタルで体験できることを、並べて書いてみました。冷静に考えると、この2つへの期待値や、利用者の価値は異なっているはずなので、私たちは、「アナログ」でできたことを「デジタル」でも行いたいと考えるばかり、デジタルできる新しい価値を得ていなのではないでしょうか?

アナログ体験とデジタル体験

 デジタル化すると「アナログ」で得られないこともあります。しかし、重要なのは、デジタル化すると「デジタル」だからできることは何か?この視点なのでしょう。

 アナログの体験をデジタル化するのではなく、デジタル化したからできることを考える。これが、デジタル・トランスフォーメーションのヒントなのだと思うのです。

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