公務員のリスキリング、鍵は民間複業人材
日経COMEMOのKOLをしております、大林です。60,000名以上が実名顔写真付きで登録する複業マッチングプラットフォーム「複業クラウド」を運営する株式会社Another worksの代表をしております。
先日こんな日経記事を読みました。2023年8月31日に開催された「日経リスキリングサミット2023」(日本経済新聞社主催)にビデオレターで登場した岸田首相が、官民で連携しながらリスキリング支援・人への投資を拡充させていく重要性についてお話されたといいます。
留まることを知らない労働力人口の減少により、一人当たりの生産性向上やDXやAIなど新たなスキルの学び直しが求められる中、官民双方の従業員・職員のリスキリング支援は企業の必須事項となっています。
今回は、中でも行政という分野に着目し、”公務員のリスキリング”の現状と未来についてお話していきます。
公務員のリスキリング
弊社では現在100自治体以上の皆様にご導入いただき、行政課題の解決に併走させていただいておりますが、多くの首長が課題に挙げているのが「職員の学び直し」です。
地域に最前線で向き合う行政現場では、加速する労働力人口の減少や未曾有の災害への対応など時代の急速な変化に応じて今までにない新しい行政課題がとめどなく発出しています。
例えば、行政手続きのオンライン化や災害への対応、SNSなどを通じた情報発信などです。これらは従来の行政業務にはなかった新しい領域であり、行政内にも知見が溜まっていません。そのため、職員のスキルアップ・学び直しが急務となっているのです。
リスキリングをどう進めるのか
民間企業では、従業員のリスキリング・学び直しを様々な形で支援しています。特に注目されているのが複業です。7割以上の企業が複業を容認しているように、従業員が複業を通じて他社でスキルを身につけ、自社に還元するという選択肢を取ることもできます。
JR西日本では、社員に多様なスキルを磨いてもらうことを狙いとし、社内で副業人材を公募する取り組みもスタートしています。
一方、公務員の複業解禁は未だ進んでおらず、課題解決において即効性はありません。そこで公務員のリスキリングに効果的だと注目されているのは、行政に民間複業人材を受け入れる方法です。
民間複業人材の受入がリスキリングに...?
実際に、行政が民間人材を複業で受け入れ、職員の学び直しを支援している事例をご紹介します。
まず、長野県の事例です。長野県ではメタバースや県庁内でのデジタルトランスフォーメーション(DX)推進などの分野で民間人材を募集、10名以上が登用され、職員と共に行政課題の解決に取り組んでいます。
日経の記事では、「外部人材の専門知識やノウハウを取り入れてスピード感を持って課題解決を図るほか、協働による県職員への刺激を狙う」という本取り組みの狙いがピックアップされていました。
既に長野県職員と共催した「メタバース勉強会」の開催や複業人材のアドバイスを基にした「行政パンフレットのリニューアル」など多数の成果が出ています。
続いて、富山県舟橋村の事例です。富山県舟橋村は、面積が3.47㎢と日本一小さな村とされています。村役場の職員数は約30人のため、少ない人数でいかに新しい行政課題を解決していくか、まさに職員の学び直しが課題となっていました。
そこで、舟橋村では、業務改善アドバイザー・デザインアドバイザー・SNSアドバイザーの3職種を募集し、3名の民間人材が登用されました。
記事内でも紹介されているように舟橋村の渡辺光村長は「少ない職員数の中、外部からのアドバイスをもらい、職員のスキルアップや意識の変化(につながることを)を期待したい」と複業人材を受け入れる狙いについてコメントし、民間複業人材の受入への効果を期待しています。
ここまで、”公務員のリスキリング”に着目し、民間複業人材との協働の必要性について事例を基にお話してきました。今後も働き方やキャリアの最新トレンドをご紹介していきますので、是非チェックお願いします。
大林 尚朝 / NAOTOMO OBAYASHI
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