今、出社回帰する企業に求められる「非効率」なコミュニケーションとは?
われわれオシロは、これまでいくつもの「お城」を築城してきたともいえる。城主は、クリエイターから、ブランド、企業まで幅広いことも特徴の一つだ。ユーザーが違えば課題やニーズが異なるのではないか?と思われるかもしれないが、実は、OSIROを求められるユーザーには意外な共通点がある。
その共通点について考えてみると、OSIROの開発思想である「人と人が仲良くなる」を実現するために実装してきた仕組みが、実は今多くの企業の喫緊の課題を解決するソリューションになっているのだ。今回はそのことについて綴っていきたい。
なぜ今企業が「人と人が仲良くなる」ツールを求めるのか?
企業が業務に使うコミュニケーションツールは世の中にたくさんある。しかし、「非業務のコミュニケーションツール」があるのかといわれたら、答えられるだろうか。
なぜなら、これまでの企業の考えでは「雑談なんてそもそもしないでくれ」という風潮もあったし、わざわざ会社がお金かけて、オンライン上に雑談がしやすい場所を用意するという考えもなかったからだ。会話したいことがあれば、それは業務のコミュニケーションツールの一部でチャンネルをつくってやるものと見なされている。
しかし、それではごく一部の限定的な交流にとどまってしまうし、数千や数万もの従業員がいる企業では、コミュニケーションツールを介して雑談することもままならないだろう。その要因の一つには、当たり前だがビジネス用のコミュニケーションツールは、UIが業務業務しているからだ。イントラであれば、イントラっぽいUIだし、チャットツールであれば、効率的なコミュニケーションを優先したUIが主流だ。
ここでイメージしてみてほしい。例えば、ハワイの砂浜でトロピカルジュースを持って、ビーチチェアに寝そべっている状態であれば、リラックスできる自分を想像できる。しかし、ザ・オフィスという場所で「リラックスしてください」と言われても、それは難しいのではないだろうか。
これは以前の記事でも紹介したものだが、リアルなオフィスに間取り(ゾーニング)があるように、オンライン上のコミュニケーションする場にも間取りが必要なのだ。リアルなオフィスにお金をかけるが、オンラインのコミュニケーションをおざなりにされている方々が多いと思っている。生産性や創造性を向上させるために、コミュニケーションを活性化させたい。そのためにもオフィス回帰が進む企業が増えてきているという。
しかし、オフラインでコミュニケーションができるからといってオンラインでのコミュニケーションの「場所」を閉じるということはあまり聞かない。と同時に、それは多くの企業で「オンライン上のコミュニケーション=業務のコミュニケーションツール」という位置づけだからだと思っている。
オンラインのコミュニケーションにもTPOがある。当然、業務をする時にはある程度の緊張感が必要だし、効率性や迅速性が大切だと思う。一方で、従業員が気兼ねなく交流し、関係を深めるコミュニケーションをするには、それ相応の「場所」が必要なのだ。
そのため、従業員のコミュニケーションを活性化させていくには、チャット、ブログ、グループ、イベント、プロフィール、ポイントなど「シングルファンクション」で部分最適をしても真の活性化はしない。それには、ずばり全体最適が必要で、さらにいうと、「人と人が仲良くなる」ためには、これまでビジネス用コミュニケーションツールが「無駄」と切り捨ててきた、「非効率」なコミュニケーションが必要なのだ。
これこそが、「人と人が仲良くなる」を開発思想としているOSIROが、企業からのお引き合いが増えている理由だと考えている。
出社回帰したからといってコミュニケーションが活性化するとは限らない
人のコミュニケーションを分解すると、言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションに大別される。人がコミュニケーションをとる際に影響を与えるのは「言語情報7%、聴覚情報38%、視覚情報55%」としたメラビアンの法則が有名だが、われわれはコミュニケーションの93%にあたる非言語情報を重要視している。
しかし、ビジネス用のコミュニケーションツールの場合、最も求められるのは「情報共有」の迅速さであり、第一にはいかに迅速で効率的な言語情報の交換を実現できるかが重要視されている。もちろん、オンラインミーティングが可能な機能やスタンプを実装して非言語の部分をカバーしているプロダクトもあるが、それはあくまで付加的なものにすぎず非言語のコミュニケーションは極力排除されてきた。
例えば、リアルでのコミュニケーションの場合は表情や身振り、さらには雰囲気などで相手の感情を読み取りやすいが、オンラインミーティングやチャット上での相手の反応や真意が読めず、苦労した経験がある人も多いのではないだろうか。
そのため、現在リモートワークからオフィスへと働き方が回帰する傾向にある。その要因には、下記の記事にあるように「生産性の向上」「従業員満足度の向上」「社内コミュニケーションの活性化」をあげる企業が多い。
このような点から見ても、既存のコミュニケーションツールだけでコミュニケーションをしていくことは、潜在的な機会損失を招いたり、コミュニケーションコストを増加させている要因にもなりかねない。
オフィス回帰が目指すものとは、ただ部署やチーム間のコミュニケーションが活性化して「業務改善ができる」だけではないはず。大きくは部署や部門の垣根を超えた横断的なコミュニケーションが活性化し、それぞれがシナジーを発揮してイノベーティブなアイデアや新規事業が創出されていくことではないだろうか。
特に近年M&Aを活用する企業が増えているともいわれ、A社とB社が合併されると、異なる企業文化の従業員がAB社の従業員として働くことになる。なかなか従業員同士が交わらないことが課題題となっているケースもある。いち早く従業員のコミュニケーションを円滑にし、さらにはエンゲージメントを高めながら事業をドライブさせていきたいという思いが強い。
しかし、もともと部署間でのコミュニケーションが希薄な場合、出社に移行したからといってコミュニケーションが活性化するとは限らない。特に大企業の場合は日本や世界各国に拠点があるのでそもそも顔と名前が一致しない従業員も多いだろう。
だからこそ、企業には業務に使うコミュニケーションツールだけではなく、非業務なコミュニケーションから従業員同士がお互いを理解し、交流を深めていくオンラインの場が求められている。
「人と人が仲良くなる」ためには「無駄な」コミュニケーションが重要
OSIROは「人と人が仲良くなる」ためにあらゆる機能を実装しているため、ビジネス用のコミュニケーションツールをつくるセオリーとは真逆の「無駄だらけ」のように見えるかもしれない。
しかし、OSIROは言語だけでなく非言語のコミュニケーションを、さらにいえば「情報共有」だけではなく「感情共有」ができることで、人間関係の質を深め「人と人が仲良くなる」ことを価値としている。
つまり、これまでビジネス上で「無駄」と排除されているものこそ、コミュニケーションを「上質」にするものであり、組織の中に眠っていた価値の源泉であるとぼくは考える。
この連載では何度も書いてきたことだが、、「働く」という土台には幸福の追求やWell-being(よりよく生きる)が含まれる。だからこそ、効率性だけを追求するのではく、一見無駄に思えるものの中にこそ、AIや機械では生むことができない人間らしさがあるからだ。
そして、感情を通じて人々の思いが一つになった時、そこには「共創」という言葉では言い表せないような大きなインパクトが生まれることもあるだろう。実際、世界をリードする企業の多くは、優れた経営者だけでなく従業員の強い結束がエンジンとなり、一気に世界的企業へと成長した例も多い。
そのためにも、まずは「人と人が仲良くなる」ための場が必要なのだ。多くの企業の成長のため、さらには従業員の方々の幸福度向上のため、オシロ社はこれからもオンラインのコミュニケーション能力の拡張、進化に貢献していきたい。