見出し画像

「自分でやったほうが早い!」を脱却するには?Z世代経営者が実践する、人に任せる3つのコツ

先日『任せるコツ』という本を読みました。

著者は大手マーケティング会社で統括ディレクターを務める山本渉さん。気持ちよく引き受けてもらうためのマインドセットやフィードバックのほか、任せられた側の気持ちなどにも言及されている1冊です。

本のなかでも、もっとも心に刺さったのは「自分でやった方が早いと思いがちな人は、育成を無視し組織を弱体化させる」という言葉でした。

常時20以上のプロジェクトが走り、メンバーが50人を超える会社を経営する身として、任せることは必要不可欠です。一方で、過去にはプロジェクトがうまくいかないときは居ても立ってもいられずに、メンバーのタスクを途中で巻き取ったり、PMがいるにも関わらず口を出してしまったりすることも…。

当時は「相手からすれば、任せるよりも巻き取ってしまったほうが肩の荷が軽くなるのでは?」と思うこともありましたが、今ではそれは、育成を放棄することと同じ意味だとわかります。
今回は、巻き取り癖があった僕が経営者としてどのように「任せる」を実践できるようになったのか、そんなお話をしようと思います。

マネージャー1人が気を配れる人数は、8〜10人程度

「任せられない!」というのは、経営者やマネージャーになりたての人が抱える悩みのひとつ。なかには「部下がいればいるほど仕事が増える」という方もいるかと思います。

僕もなかなか人に任せることができず、最初のうちはほとんどのプロジェクトにガッツリと関わっていました。一方で、創立4年で50人規模の組織となり、いよいよ「任せられない!」とは言ってられない状況に…。

今思えば、当時は権限や責任がすべて自分にある状態なので、万が一のことが自分に起きた場合、プロジェクトや経営がすべてストップしてしまいます。これは会社にとってかなり危険な状態です。

Amazon創業者であるジェフ・ベゾス氏の「2枚のピザ理論」によると、取締役や事業部など、同じグループにいるメンバーは2枚のピザを分け合える程度の人数(5〜8名)を推奨しているそうです。

つまり、ビジネスにおいて1人の管理職が管理する人数は5〜8名が理想的。僕が見られる範疇はとうに超えていたんですね。

この「2枚のピザ理論」に倣い、現在は数人のマネージャーにメンバーを5〜8名ずつ見てもらうようにしました。

マネージャーには、各メンバーに対して月次で1on1をしてもらうほか、メンバーに関して気になることがあれば僕に伝えてもらう。この仕組みができてから、業務がスムーズに進むようになりました。

自分ができることこそ、任せるのは難しい

ところで、なぜ僕はメンバーに仕事を任せることができなかったのか。それは多分、自分ができる領域だったからです。

実際に経理や事務(バックオフィス)、広報に関する仕事はメンバーに任せていましたし、研修やグループフィードバックは外部のコンサルタントや講師の方の力をお借りして実践できていました。

これらは苦手なことなので、僕にリソースがあろうとなかろうと誰かにやってもらいたいことなんですよね。

おそらく皆さんも、経理や財務などは専門の方に任せられているはず。つまり、任せるのが難しいのは「教育することを前提に『任せる』」、もしくは「任せなければ会社が回らないから『任せる』」というシチュエーションなのです。

「自分でもできること」を任せる3つのコツ

ここからは、そんな「任せる」が苦手だった僕が、メンバーに仕事を任せるときに意識していることをご紹介します。

任せるコツ①:目的と背景をセットで伝える

何かを依頼するときは、作業内容を伝えてただ実行させるのではなく、目的と背景もセットで伝えます。

特にZ世代は、昇給や出世への意欲がさほどない一方で成長欲求が強く、パーパス(存在意義)を重視する傾向があります。「これをやることで、あんなことができるようになる」「この作業をやることで、クライアントにこんなメリットがある」など、取り組む意味を知ることで、よりやる気が出てくるのです。

また、目的と背景をセットで伝えることによって、相手が+aの仕事をしてくれる可能性があります。意図がわかれば、こちらが伝えていないことまで汲み取って、お節介を焼いてくれるんですね。

AIはこちらが言ったことを高い精度で行うことは得意ですが、文脈を汲み取る能力はそれほどありません。目的と背景を伝えることは、相手を“指示待ち人間”にしないための技術でもあるのです。

任せるコツ②:感謝・ポジティブなことを積極的に伝える

一度任せたからには、その人が最後まで役割を遂行できるようにサポートするのが任せた側の責務。相手が最後まで気持ちよく仕事ができるようにリアクションをすることが重要です。

特に、感謝の気持ちや「すごい」と思ったことは積極的に伝えるようにしましょう!そうすることで、相手のなかに自己効力感が生まれ、積極的に仕事を任されたいと思うようになります。

任せるコツ③:それぞれのやりたいことに繋がるかを考える

最後に、「誰に任せるか」について。これは「意欲がある人」や、タスクを「学びに変えられそうな人」に任せるのが良いと考えています。

ぼくわたは、それぞれがユニークな強みを持った業務委託メンバーで構成されていることもあり、本来はその人が苦手とすることや、やったことがないことを任せるのは得策ではありません。

一方で、そのタスクを任せることによってその人がやりたいことや成長に繋がるのなら、任せてみるのも手です

そのためにも、メンバーと話す時間を作ることを大切にしています。最近のリソースや興味があること、外部で挑戦した仕事など、その人の考えていることを理解することで、適切に成長に繋がる仕事を振れるようになります。

「任せる」が上手になると、時間の使い方が変わる

「任せることができない」という悩みは、スキルのある人や、優秀な人ほど陥りやすいと言われています。なぜなら、すべて自分でできてしまうから。

しかし、誰かに仕事を任せるということは、異なる強みを持ちながらも、同じ目的に向かって一緒に進んでいける仲間が増えるということ。最初こそ難しいかもしれませんが、後に自分を助けてくれる強力な組織が出来上がります。

最近では、僕がミーティングに参加しないことが増えてきました。安心して任せられるようになったおかげで、自分が本来すべきことや、未来に向けた種まきに集中できるようになったのです。

自分がいなくてもまわる組織を作れば、より会社や自分自身を成長させるアクションが取れます。どんどん任せて、強い組織を作っていきましょう!

▼部下や社員のマネジメントにお悩みの方は、ぜひこちらの記事も参考にしてみてください

***

このnoteでは、Z世代経営者の僕がZ世代の最新事情やZ世代のマーケティング会社「僕と私と株式会社」を経営するなかで感じたこと、ビジネスハックなどを発信しています。

ぜひフォローして、次回の更新をお待ちいただけたら嬉しいです。
スキやコメントもぜひお願いします!

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
他にもこんな記事を書いているので、よければご覧ください!

※このnoteは個人の見解です。

今瀧健登について

今瀧健登 / Imataki Kent(Twitter:@k_hanarida
僕と私と株式会社 代表取締役 
日経COMEMO キーオピニオンリーダー
一般社団法人Z世代 代表

1997年生まれ。SNSネイティブへのマーケティング・企画UXを専門とし、メンズも通えるネイルサロン『KANGOL NAIL』、食べられるお茶『咲茶』、お酒とすごらくを掛け合わせた『ウェイウェイらんど!』などを企画。
Z世代代表として多数のメディアに出演し、"サウナ採用"や地方へのワーケーション制度など、ユニークな働き方を提案するZ世代のコメンテーター。

日経COMEMOではZ目線でnoteを綴り、日経クロストレンドでは、「今瀧健登のZ世代マーケティング」を連載中。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。 いただいたサポートは本を買って読みたいと思います。