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Z世代は「エモ」でモノを買う。これからのマーケティングで重視すべき「エモ消費」とは

多種多様な良いものが、世の中に豊富にある今の時代。僕らZ世代は「自分自身の生活や世界観がより豊かになる方法」で消費をします。

例えばコーヒーを飲みたいと思ったとき、ほとんどの人はおいしくて自分の心を満たすコーヒーを求めると思います。しかし正直に言ってしまうと、今はコンビニでも本格的なコーヒーが買える時代です。

では、僕らZ世代はどのような基準でコーヒーを選ぶのか?

それは、そこに「エモ」があるかです。

「モノ」「コト」「トキ」「イミ」の次は「エモ」

近年トレンドの消費行動を示すキーワードとして、商品を持つことで生まれる社会貢献的な面を重視する「イミ消費」が使われています。

商品そのものの価値を求める「モノ」消費から、体験や経験を重視する「コト」消費、その日・その時間でしか体験できないことに価値を見出す「トキ」消費、そして「イミ」消費へと、消費のトレンドは時代の流れによって移り変わってきました。

・商業施設が本来のショッピング機能から、イベントやその場所ならではの「モノを売る機能にとどまらない体験」を提供する場としての役割を増す

・手拍子や声出しなどでにぎやかに楽しむ映画の「応援上映」が広まる

など、街にある多くのモノに、プラスαの価値が付けられたことで、消費の在り方がアップデートされています。

そんななか、僕は商品を買ったことで得られる世界観を軸とした「エモ消費」こそが、次の時代の消費行動の中心になると考えています!

これまで、僕が経営する僕と私と株式会社ではエモに基づいたマーケティングを行ってきました。

ぼくわたが運用を手掛けたマッチングアプリ「タップル」の公式TikTokアカウント「おさ活」をはじめ、エモを起点とした企画は多くのクライアントに喜んでいただいています。

今期、ぼくわたは半年間で去年の年商を超えるというハイペースでの目標達成を遂げたのですが、創業より一度も営業をせず、さまざまな企業や行政とお仕事をご一緒できているのは、僕らが考えるマーケティング、つまり「エモ消費」が世間に求められている証拠なのではないでしょうか。

「エモ」は幸せと共感とコミュニケーションから生まれる

そもそも「エモ」とは何でしょうか?

何ごとにも言い表せないさま「得も言われぬ」や、英語で情緒的を意味する“Emotion”など、エモの語源はいろいろ々あると言われていますが、ぼくわたではエモを3つの要素のかけ算によって定義しています。

① 経験:モノ・光景・シチュエーションに共感する
② ハッピー:モノ・光景などに触れて幸せだと思う
③ コミュニケーション:幸せや共感が共鳴し、別の誰かに伝わる

小学校のとき、帰り道にじゃんけんグリコをしたこと
ひと夏の青春を歌った恋愛ソング
フワッと香った香りが元カノの香水だった

…など、その物事に共感し、幸せになれるか。そしてコミュニケーションが生まれるかどうかが、「エモい」かどうかを決めるカギとなるわけです。

たとえば、冒頭で述べたコーヒーの場合、ただおいしいコーヒーを買っても「エモ!」とはなりません。たしかに、おいしいコーヒーを飲めば幸せにはなれるかもしれませんが、そこには何かへの共感はありませんし、誰かとのコミュニケーションも生んでいません。

しかし、もしそれが「昔訪れたブラジルにいたAくんが作ったコーヒー」だったらどうでしょう? そこにはかつて経験したAくんとの交流やそのときの気持ちへの共感、懐かしさ、美味しいコーヒーを飲んだ「ハッピー」、Aくんが作ったものだと誰かに伝えたくなる「コミュニケーション」があり、まさにエモい体験となるはずです。

また、ぼくわたが手掛けたタップルの「おさ活」では、幼馴染との掛け合いそのものではなく、「身内のように言いたいことが伝わるとき」「自分の性格や癖を理解してくれる瞬間」など、誰もが一度は感じたことのある瞬間を想起させるようなシチュエーションを設計しています。

そこには、言いたいことが伝わる「経験」、ドキドキのシチュエーションで胸がキュンとする「ハッピー」、コメントをしたり誰かにシェアしたくなる「コミュニケーション」があります。

私たちが企画した「ウェイウェイらんど」も、乾杯マスやゲームモードなど、お酒とすごろくがセットになった商品では、遊ぶことで会話が生まれるように、マスのなかの文をあえて小さくし、頭がぶつかりそうになるぐらい近くなるような距離感を設計しました。

そこには、ふとしたきっかけで距離が近くなる「経験」、お酒を飲みながらすごろくをする「ハッピー」、すごろくを通じて生まれる「コミュニケーション」があります。

ほかにも例はまだまだたくさんありますが「経験」「ハッピー」「コミュニケーション」の3要件が揃うときこそが「エモ」な世界観であり、これからの時代、僕たちはエモを軸に消費をすると考えています。

商品の魅力そのものではなく、商品を買ったことで得られる世界観を重視する消費行動。それこそがエモ消費です。

Z世代はすでにアンテナを立てている。「〇〇離れ」にも効果的なエモマーケティング

これからの時代は「エモ」をどのように作り、いかにエモの総量を増やすかがマーケティングのカギとなるのですが、エモ消費は特にZ世代に対するマーケティングに有効だと考えています。

なぜなら「エモ」に対して、もっともアンテナを立てているのは、Z世代だからです。

冒頭で述べたように、今は良いものが簡単に手に入り、どんなことにでも挑戦しやすい時代です。プロが撮影した画像や動画で、世界の裏側にある景色を見ることだってできます。

このような環境で育ったZ世代は、モノ本来の価値でも、そのときにしかできない経験でもなく、自分が商品を手に取ったときに自身のまわりに広がる世界観がより豊かになることを望んでいます。

だからこそ、「エモ消費」は現在マーケティングやPRに関わる企業担当者の方とZ世代を繋ぐキーワードになると考えています。

マーケティング業界で「Z世代」が注目を集める今、残念ながら世の中には企業が自信を持ってリリースしたZ世代向けの商品や施策が本人たちには刺さらなかった、それどころか、反感を買ってしまったというケースが少なくありません。

また、若者の「〇〇離れ」の影響を強く受けている企業もあります。自動車や文房具のメーカーなど、時代の流れによって利用者が減っているモノ・コトの業界では既存商品の売上を伸ばそうと、さまざまなSNS施策やプロモーションを打つ動きが加速中です。

しかし企業やマーケティング担当者の中には、若者に自社の製品やサービスを手に取ってもらおうと奮闘するものの、イマイチ効果が得られず悩んでいるという方もいるのではないでしょうか。

僕は、それは世の中の「Z世代っぽい!」に違いがあったり、企業目線の意見が中心となっていたりと、それぞれの価値観に違いがあるからだと考えています。

そんなとき「エモ」は、商品を買ったことで得られる世界観の善し悪しに基準を設けてくれる、Z世代と企業間のマーケティングを翻訳するうえで、もっとも分かりやすい考え方です。

また、「エモ消費」は決して「Z世代向けのマーケティング」方法ではありません。たしかにZ世代の考え方がベースとなってはいますが、「エモ消費」はどの世代にでも通用するもの。エモを起点に企画をすることが、これからの時代、人の心を動かすカギとなるのです。

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これからの時代は「エモ消費」。マーケティング担当者必見の1冊、できました!

では、具体的にどのような過程でエモを設計するのか?
エモ消費の具体例をもっと知りたい!

そんな方に向けて「エモ」を軸とした消費行動についての本『エモ消費』を6月2日にクロスメディアパブリッシング社から出版します!

次の時代の中心となる消費行動であり、世の中をハッピーにするエモ思考を軸にした「エモ消費」について、どなたでも楽しんでいただけるよう言語化しました。

マーケティングに携わる方はもちろん、僕と同世代の皆さんにもぜひ手に取っていただき「僕らはこんな思考なのか!」と改めて答え合わせをするように楽しんでいただければ嬉しいです。


最後まで読んでくださり、ありがとうございました。他にもこんな記事を書いているので、ぜひご覧いただけたら嬉しいです!

※このnoteは個人の見解です。

今瀧健登について

今瀧健登 / Imataki Kent(Twitter:@k_hanarida

僕と私と株式会社 代表取締役 
一般社団法人Z世代 代表
日経COMEMO キーオピニオンリーダー
NewsPicks U-30プロピッカー

1997年生まれ。Z世代へのマーケティング・企画UXを専門とし、メンズも通えるネイルサロン『KANGOL NAIL』、食べられるお茶『咲茶』などを企画。
Z世代代表として多数のメディアに出演し、"サウナ採用"や地方へのワーケーション制度など、ユニークな働き方を提案するZ世代経営者。

日経COMEMOでは、Z目線でnoteを綴り、日経クロストレンドでは、「今瀧健登のZ世代マーケティング」を連載中。

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今瀧健登 / Z世代の企画屋
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