【篠田真貴子さんが15歳のユーグレナCFO川﨑レナさんに聞いてみたいことを聞きました!】〜これからの世代と考える「持続可能なビジネス」とは〜
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【篠田真貴子さんが15歳のユーグレナCFO川﨑レナさんに聞いてみたいことを聞きました!】〜これからの世代と考える「持続可能なビジネス」とは〜

この記事は12月15日(火)に開催した、オンラインイベント【マキコの部屋 #01 これからの世代と考える「持続可能なビジネス」とは】の内容をもとに作成しています。

日経COMEMOにキー・オピニオン・リーダー(KOL)として参加してくださっている篠田真貴子(マキコ)さんにホストを務めていただき、各界で活躍する新時代のリーダーをお迎えして話を聞く全3回のシリーズイベントが、先日スタートしました!

記念すべき第1弾のゲストは、株式会社ユーグレナ第2期CFOの川﨑レナさんです。現在15歳の川﨑さんと、これまで様々な業界で様々な世代の方と関わってきたマキコさんに、「持続可能なビジネス」について語り合っていただきました。


■はじめに

ーマキコさん(篠田さん)
私は「YeLL」というベンチャー企業で働いていますが、この会社はオンラインの1対1の面談によって、企業で働く人の話を社外の人がじっくり「聞く」という機会を提供しています。私自身、人の話を「聞く」ということに仕事上関心を寄せていますので、今日、川﨑レナさんにお話をお伺いできることを、とても楽しみにしています。

それでは早速、川﨑さんにご登場いただきましょう。

川﨑さんのご紹介
ユーグレナ社第2期CFO(Chief Future Officer:最高未来責任者)の川﨑さん。ユーグレナ社は、ミドリムシを大量培養する技術をもち、それを食品やバイオ燃料に生かす業務を行なっています。15周年を迎えた節目に企業理念を刷新し、「サステナビリティ・ファースト」を掲げました。そして、それをより加速するために「Chief Future Officer」を新設し、18歳以下を対象として募集を開始。その2代目に就任されたのが川﨑さんです。ユーグレナ社と共に未来を考えていく役割を担っています。

ー川﨑さん
川﨑レナです。中学3年生の15歳です。私は小さい頃から人権の活動などをしていて、最近は環境問題などにも関心をもつようになっています。今は、ユーグレナ社のCFOをやりながら、アース・ガーディアンズ・ジャパンという団体を友達と一緒に設立して、その代表も務めています。

ーマキコさん
そして学校にも行っているという、非常にお忙しく過ごされている状況だと思います。そんな川﨑さんに聞きたいことを、(イベント参加者の)皆さんにアンケートをとった結果がこちらです。まずは一番多かった「ユーグレナ社CFOにチャレンジした理由」から教えていただけますか?

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ー川﨑さん
私は小学生のときに「ランドセルは海を越えて」という本を読んで、「自分がどれだけ恵まれているか」ということに気づきました。

この本に書かれているのは、日本で使わなくなったランドセルを、アフガニスタンの「教育を受けられていない子供たち」に寄付をしたという話です。私が普通に受けられている教育を、アフガニスタンの子供たちはこんなにも努力をしないと受けられない……そのことを初めて知って「おかしい」と感じました。そこから、活動をしたいと思うようになりました。

これまで、私と同年代や私より少し下の世代の子供たちの活動を支援することを、私の団体ではしてきましたが、それはあくまでも個人対個人の支援です。もっと大きなスケールで「自分には何ができるのか?」「どれだけ変えられるのか?」を考えていたときに、ユーグレナ社の募集を知りました。私の活動をもっと広げて、もっと人を助けたいという思いで応募しました。

ーマキコさん
「ランドセルは海を越えて」を読んだ小学生は川﨑さんの他にもいるはずですし、大人もたくさん読んでいると思います。でも、そこから「いかに自分が恵まれているのか」ということを汲み取ることは、なかなか難しいことだと思います。川﨑さんがそう思えた背景にはどんなことがあったのでしょうか?

ー川﨑さん
小学生のときに、先生と何人かのクラスメイトと一緒に、ホームレスの方がたくさん住んでいる地域を訪ねたことがありました。学校で寄付を募って集めたものを届けに行く活動です。

そこで見た現実は「恵まれている日本でも、私と同じ年くらいの子供たちが、こんなにも過酷な状況で生きなければならない」ということでした。

「私は何をしてこんなに恵まれた環境をもらえたんだろう……」と考えてしまって。私は何もしていないのに、恵まれた環境や教育が与えられている、そのことをずっと考え続けているうちに「私とこの子たちが違うということは、多分、私が何かしないと変わらない」という考えに至りました。

ーマキコさん
自分が恵まれているという意識をもったところから、具体的なアクションを起こすまでには、ある種の「ジャンプ」があったと思います。そこからさらに、ユーグレナ社CFOへの応募理由としてお話ししてくださった、個人に対してやっていたことをより多くの人に広げたいと思ったところにいくには、やはり「ジャンプ」があったように思うのですが、具体的には何がきっかけになったのでしょうか?

ー川﨑さん
最初から活動をしたいとか、その活動を広げたいとか、思っていたわけではありませんでしたし、実は、活動に参加することが途中で嫌になった時期もありました。

「私が動いても誰も動いてくれないんじゃないか」「失敗したら目立ってしまうんじゃないか」という、日本人特有の「出る杭打たれる」の思考が出てきてしまったからです。

でも、私が小学生のときには、同世代でもすでに活動を始めている子供たちはたくさんいました。それを見ていて「私もやらなければいけないんじゃないか」と思うようになって、それを「やらないことのほうが恥ずかしいこと」だと思うようになりました。自分のように自己中心的な考え方のままでは、長くはいられないなと思うようになって、そのときにそれまでの気持ちがパッと吹き飛ばされた感じでした。

中学に上がった頃から、やっと「自分が動かないと周りも動かないし、周りが動くのを待っていても自分は満足できない」と思えるようになって、活動し始めた感じでした。

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■持続可能なビジネスとは「みんなが関わること」

イベント参加者からの質問:川さんから見て、今の日本の社会は魅力的な環境ですか

さん
日本の現状は、皆さんが一番よくわかっていると思います。政治家を見たときに、私は「同じ人間かどうかもわからない」と思えることがあります。距離が遠すぎて、同じ環境に住んでいる人なのかもわからないし、国民のことを本当に考えているのかもわからない。

だからこそ、日本はまだまだ成長できる国だとも思っています。少し後ろ向きな思考にとらわれている面があるようにも見えますが、それは裏を返せば私たちの世代が全部壊してもいいということだとも思えます。もちろん、私たちの世代だけではなく、大人でも子供でも、どんどん変えていくことができると思っています。

これだけ整った環境で恵まれている日本ですが、すべてのポテンシャルはまだ出ていないと思います。そういう意味では、魅力的な環境だと思います。

ーマキコさん
では、その日本を「サステナビリティ」という観点から見たときの話をここからしていきたいと思うのですが、まずは「サステナビリティとは何ですか?」と聞かれたら、川﨑さんはどのように答えますか?

さん
「環境」という意味で使われがちですが、教育にも当てはまりますし、人間1人1人の生き方にも当てはめることができると思います。「私の人生はサステナブルです」と言うこともできます。動詞でもあり主題にもなるような、フレキシブルな言葉だと思います。

ーマキコさん
「サステナブルな○○○○」という言い方ができる、意味の幅が広い言葉だと思うのですが、今回のテーマは「サステナブルなビジネス」です。「サステナブルなビジネス」とは、どんなものだと思いますか?

さん
私の理想は、全員のことをちゃんと考えて、全員が経済的にOKになって、全員を巻き込んで変化を起こせるようなものが、「サステナブルなビジネス」だと思っています。

ある世代やある層だけが関わっていることは、サステナブルではないと私は考えています。持続可能とは、100年後の未来にも繋げていけるようなビジネスや物事であることだと思うので、一部の人だけが持続可能になっても、それは持続可能とは言わないと思います。

理想的な考え方かもしれませんが、すべての立場、層、年代の人が関わって動かしていくことで、持続可能になるのではないかと思っています。

ーマキコさん
みんなが関わるビジネスがサステナブルで、一部の人だけが関わるビジネスはサステナブルではないということを、もう少し具体的に教えていただけますか。

さん
例えば、私が貧困の話をしても、私は恵まれた環境にいるので、貧困の人たちの本当の視線はわかりません。それなのに、私たち恵まれた環境にいる人たちだけで「貧困の人たちを支えなきゃ」と言っていても、本当に貧困で困っている人には届かないし受け入れられないと思います。

ある1つの層が違う層のために、「サステナブル」とか「持続可能」とか言っていても、それはその層だけをベネフィットすることです。持続可能というよりも、ビジネスワードとして単発的なキャッチフレーズになってしまうと思います。

ビジネスや経済的な考えからではなく、「社会のために」という視点から考えて、対象の層も含めてすべての層を盛り込むことによって、やっと持続可能ということになると思います。

ーマキコさん
川﨑さんのこれまでの活動の中で、「サステナブル」を実現するために実際に取り組んだことのエピソードがあれば、ぜひ伺いたいのですが教えていただけますか?

さん
私は、最初は貧困の人や困っている人たちを助けたいという気持ちから始まって、さらにそこから日本だけではなく他の国の人たちも救いたい、と思うようになりました。

でも、例えば私が実際に海外に行っても、その人たちの苦しみは私にはわかりませんし、その人たちの技術を私が超えることもないと思うんです。慈善活動で「先進国の学生が海外で井戸を掘りました」とかありますが、井戸を作る技術は現地の方々のほうが優れているはずです。

私がやらなければならないことは、そこに行くことではなく、その前にまずは「自分の周りから変えていく」ことをしないと、その人たちには何も届かないし、社会にいいインパクトも残せません。

そのことに最近になってやっと気づいて、今の日本の子供たちの教育を始めました。それは普通の学習教育や授業をすることではなく、日本人が世界で活躍するために必要なSDGsの教育や、リーダーシップやファシリテーションの教育です。それによってたくさんの国の人をもっと助けられるようにするために、今、私たちの世代が動かないといけないという解決策に気づいたので、活動としてやるようになりました。

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■「世代」の違いではなく「個人」の違い

イベント参加者からの質問:たくさんの人や世代が関わると、まとめることや同じ方向に向かっていくことはとても難しいと思います。まとめるためのキーワードやポイント、考え方はありますか

さん
私はこれまで、子供たちだけではなく、大人の方(学校の先生や親など教育関係の方)にもワークショップをする機会がありました。その経験を通して気づいたことは、「大人は子供と同じようにはいかない」ということでした。大人向けのワークショップと子供向けのワークショップでは、プログラムもボキャブラリーも全部変えなければなりません。

例えば、幼稚園生にワークショップをすると、とても純粋に「ぼくは世界を変えたいんだ!」と言ってきてくれる子がいたりしますが、大人の方は「自分は何も変えられない」という現実を見てきた歴史が私たちよりもずっと長かったり、常識という縛りの中で頑張って生きてきたと思っている人もたくさんいるので、なかなかそうはいきません。

でも、大人でも子供でも、全員が同じように考えるわけではなく、世代が違うからではなく違う人間だから、1人1人違うことを考えるのだと私は思っています。

そこで、世代の違う人が集まるようなワークショップで私がやっていることは、まずは「原点に戻ってもらう」ことです。「一度、3歳児だった頃に戻ってみましょう!」「世界を変えたいとか、スーパーヒーローになりたいとか、考えていた頃に戻ってみてください!」と言っています。

原点に戻ってもらって、それから現実を見て、本当に現実的に必要な策を考えてもらいます。一番純粋な思いを理想としてもっていた頃の気持ちがあれば、世界は変えられると思うからです。

ーマキコさん
いろいろなことを一度全部「忘れる」というスイッチを、何かしらの投げかけによって押してあげることは、とても有効ですね。特に大人は、いろいろな経験によって思考が硬くなっている人が多いので、それを少し緩めてあげることで思考がポジティブになると思います。

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■最後にさんからマキコさんへ「逆質問」

さん
私がマキコさんに質問したかったことは「将来の夢ってなんですか?」です。持続可能ということを考える場合、未来を見据えないといけないと思います。マキコさんのプロフィールを拝見して、すべてをやってきた方だという印象をもったのですが、すべてをやりきってきた人がどんな夢をもっているのか、どんな未来を見据えているのか、とても興味があります。

ーマキコさん
自分の中で「すべてをやってきた」という意識はまったくなく、確かにいろいろな組織でいろいろな役割を果たしてきましたが、これからの人生を考えれば、私は「今が一番若い」わけなので(笑)

夢はいろいろありますが、「こういう世の中で暮らしたい!」というものが私の中にはあって、それは「属性(例えば女性である、何歳である、何人である)にとらわれることなく人と人が繋がることがスタンダードな世の中になること」です。

そして、そのことに関連しますが、「組織と人の関係が今よりもフラットになって、自然体の自分のままでも組織の中で生き生きとやれる状況が普通になること」です。まだまだ過去の時代を引きずっているところがあって、組織が上で人が従属するという関係が前提となっているような気がします。

1人1人が無理せず、世の中に価値を出せて、自分に誇りをもてる、そういう世界で私は暮らしたいと思っているので、自分の持ち場でそこに一歩でも近づけることをやる、という感じです。

さん
私がなぜこの質問をマキコさんに聞きたかったかと言うと、最近私がすごく素敵だと思う人たちはみんな、夢をもっていて、「まだいけるな!」と思っているからなんです。

私たちの世代に期待しているよ、ということをよく言われますが、先輩方の輝いている姿を見ることで、もっと「自分たちもちゃんとやらなきゃ」と思えると思います。

誰もが夢をもって「まだいける!」「まだ大丈夫!」と見せてくれることによって、他の人たちは元気づけられると思います。5歳の子が頑張って自転車に乗っている姿を見れば「私も頑張らなきゃっ!」て思うものですし、90歳の方がオリンピックに出ると言っているのを聞けば、同じように「私も頑張らなきゃっ!」と思えるものです。

持続可能な社会を作っていくにあたって、「もう遅いから」「まだ早いから」ということはないと思います。すべての人が役割を果たせると、私は思います。「私が何もしなくても他の人がやってくれるだろう」ではなく、「私は何ができるだろう」と考えて、1人1人が自分にできることをやっていけばいいと思います。

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※イベント後、篠田真貴子さんご本人が今回の川﨑さんとのトークセッションの感想を日経COMEMOに投稿してくださっています。ぜひこちらもご覧ください。

■プロフィール

篠田真貴子さん
株式会社YeLL 取締役

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1968年東京生まれ。慶應義塾大学経済学部卒、米ペンシルバニア大ウォートン校MBA、ジョンズ・ホプキンス大国際関係論修士。日本長期信用銀行、マッキンゼー、ノバルティス、ネスレを経て、2008年10月にほぼ日(旧・東京糸井重里事務所)に入社。取締役CFOを務める。2018年11月に退任し、1年3カ月のジョブレス期間を経て、2020年3月からベンチャーの「YeLL」取締役に。


川﨑レナさん
株式会社ユーグレナ 第2期CFO

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大阪府のインターナショナルスクールに通う15歳。趣味はミュージカル。2011年よりWWFユースメンバー、特定非営利活動法人JUMPのワークショップ選抜メンバーなどを務めるほか、アース・ガーディアンズ・ジャパン創設しディレクターなども務めている。


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