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スペースインベーダーを行ったことがある経営者は、メタバースをビジネスに活用できる(前編)

メタバースが話題、これからはビジネスに結びつけることが重要

 メタバースという空間が話題です。日経新聞の紙面でも多くの取材記事があります。このような新しい技術は、必ず新しいビジネスに繋がり、多くのビジネス・パーソンがこのメタバースに注目しているでしょう。
 このメタバース、私の以前のCOMEMOの記事(メタバースを活用するのではなく、メタバースの技術を活用しないと、ビジネスに結びつかない!)でも触れたように、私たちは、メタバースというコミュニティー空間、それ自身を理解すべきなのか、メタバース空間を創っている考え方・技術の、どちらを理解すべきなのでしょうか。メタバースを「習うより、慣れよ」という意味では、初期段階では、コミュニティー空間、それ自身でしょう。そして、慣れて、学んだ後には、空間を創っている考え方・技術の方なのではないでしょうか?


 なぜ、メタバース空間を使っている考え方・技術が重要なのかといえば、すべてのビジネスに、考え方・技術が生かせると考えるからです。ここでの、ビジネスとは、ゲーム、エンターテインメント業界などに閉じられるものではなく、社員が2人以上いるすべての業種のビジネスが該当すると思います。そして、話を分かりやすくするために、多くの経営者が遊んであろう、「スペースインベーダー」を思い出し、メタバースとの比較を行うことで、メタバースの考え方や技術を整理してみようと思います。


メタバースの理解のために、スペースインベーダーを理解しよう


 スペースインベーダーとは、画面の上部からミサイルを打ってくる敵を、画面下部にある自分のミサイルを操作して撃退する、コンピューター対戦型のシューティング・ゲームでした。当時は、このコンピューター対戦型のゲームが新しく、ゲームセンターや、ショッピングセンターや温泉旅館のゲームコーナーでは、人気のゲームでした。

 少し、スペースインベーダーの経験を思い出された方もいるでしょう。ところで、このゲームに2人play(2play)モードがありました。当時の2playモードは、一人が遊んでいる間は、もう一人は横で待ち、最初の人がゲームが終わると、待っていた人がゲームを行うというスタイルでした。


スペースインベーダーゲームでは、同時2人playは出来なかった



 ゲームの初期では、このような2playモードは普通で、後にマリオカートなどで、複数同時対戦のゲームが出てきたときには、大きな衝撃でした。


マリオカートは、2人同時に遊べた


 もう一つ、スペースインベーダーの経験で思い出してほしいことは、ゲームの画面は、いつもplayerによって変わることはなく、いつも同じ画面を見てゲームを行っていたことです。

 さて、このようなスペースインベーダーの特徴を整理して、「1人play、1画面出力」と呼ぶことにします。

メタバースの進化点は、「n人同時play、n異画面同時出力」


 ところで、メタバースはどうでしょうか。

 まず、メタバースには、同時に複数の人が参加して、複数の会話が同時に発生します。誰かが、メタバース空間内で体を動かしたり、誰かが話し始めたら、他の人全員が、会話の終了を待つことはありません。つまり、メタバースは、n人同時play可能です。
 次に、見られる画面(視野)ですが、参加者ごとに好きなメタバース空間を見ることができます。スペースインベーダー時代に考えられないくらい、コンピューター・グラフィックの技術が進化し、瞬時に自分が見たい方向に視点を変えることも可能です。つまり、n人がメタバースを使っている場合は、最大n種類の異なる画面がリアルタイム生成されているのです。
 これらの2つの特徴から、メタバースは「n人同時play、n異画面同時出力」と呼ぶことにしましょう。


メタバースでは、同時に複数の人が遊べて、異なる画面を見れる

会社の仕事は、今も「1人play、1画面出力」が多くないだろうか?
 さて、スペースインベーダーの懐かしい話から、皆さんの仕事の話に戻しましょう。具体的に、ある会社に向けて提案書類を、数人で作成する仕事を想像してみましょう。
 Aさん作成→メールで関係者に送付→Bさん修正→メールで関係者に再送付→上司がOKを出して、書類完成。


まるで、スペースインベーダー・ゲームのような仕事の仕方


 このような業務を、私たちは普通の業務と思っています。この仕事の手法は、スペースインベーダー時代の「1人play、1画面出力」の手法です。私たちの会社はメール送付はせずに、会議室でプロジェクターに写して行うので、n人同時playですという方がいると思います。しかし、実際にはn人で編集を行っているわけではなく、1人が編集し、n人でその画面を確認している状態です。この業務に、メタバースが実現している、「n人同時play、n異画面同時出力」を応用できないでしょうか。
 実は、メタバースの考え方を使って、文章の作成方法は、実在しており、私たちは知らずに使っているかもしれません。そして、会社の仕事は、文章作成だけではありません。メタバースの考え方を使った、会社の会議の進め方はないでしょうか?メタバースの考え方を使った、会社の共同作業はないのでしょうか?


メタバース型の文章作成の例


 このような事例は、すでにビジネスで使えているのです。次回のこのnoteで、ビジネスで活用できている、メタバースの考え方・技術について、実例を提示して、紹介しようと思います。そして、皆さんの役割は、ビジネス・シーンでのメタバースを、より皆さんの企業の本業に活用する方法があるかを考えることです。


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本間 充 マーケティングサイエンスラボ所長/アビームコンサルティング顧問
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