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【テーマ企画まとめ】ブログやSNSでの発信を仕事にどう生かしていますか

個人のライフスタイルにすっかり定着したプログやSNS。プライベートだけでなく、仕事にもどう生かせるのか。投稿プラットフォーム「COMEMO」(https://comemo.nikkei.com)で意見を募った。

プログやSNSの最大の魅力は、いつでも誰とでも容易につながられること。シンガポール在住のフィナンシャルプランナー(FP) 、花輪陽子さんは「私は2010年ごろにFPとして独立をしましたが、新参者で実績のなかった私がデビューできたのはSNSのお陰だと言っても過言ではありません」と言い切る。

書籍を出すときやイベントを開くとき、告知に利用しているという。とはいえ不特定多数が利用するSNSの世界ではどんなに情報発信しても、情報の波にのまれてしまいがちだ。そこで重要なのは戦略。花輪さんは比較的新しいSNSを選び、共に成長を図るという。

既に皆が使っていて、参加が遅かったSNSではフォロワーを増やすのは並大抵の努力ではできません。反対にそのメディアに早く入ることができれば、先行者優位があって、フォロワーは自然と増えやすいということです。そのメディアを使い始めたばかりの頃は皆がフォロワーを探したりするからです。

発信した情報はネット上に蓄積していく。受け手は過去にさかのぽり、読み直すことも可能だ。

(「#仕事でSNS発信」の内容は投稿後半にあります)

税理士の岩下尚義さんは「自分自身の考えや人となりを知ってもらう場になっている」と指摘する。仕事で接点があっても、自分がどんな人間であるかを限られた時間で伝えるのは難しい。SNSを読んでもらうことで、コミュニケーション不足を補える。

私の考え方を知る事ができるので読んでいますみたいな声も頂きます。たまに、打ち合わせで「僕はでもこう思うな~」とか「お嬢さん、体調どう?」という話もでたりして、会うだけでないコミュケーションが生まれている。仕事はAI ひエ知能)相手にしているのではなく「ヒトとヒト」で行っているもの。「私はこんなヒト」というものを発できたらいいのかな、なんて思います。

岩下さんは使い方のヒントをこう提案する。

SNSは情報発信ツールと思いがちだか、考えを整理したり内省したりするために活用するといった意見が意外と多かった。プランディングテクノロジ一執行役員の黒澤友貴さんは「Tw i t t er は最強の内省ツール」と断言する。


1日の終わりにその日を振り返り 、一番印象的だったことを140字に要約して、つぶやいている。他者からフィードバックを得たり、数カ月後に自分自身で見返したりすることで気付 きがより強固になる。

それが自 己成長の糧となり、仕事のパフォーマンスを高めるという。

「すぐメモする人がうまくいく」著者で広告クリエーターの堀宏史さんは05年ごろからSNSを使っている。当時3年間、毎日ブログを更新していたという。「そしていつか気がつくと、自分の中の『情報筋肉』みたいなモノができてきた」

興味を持ったトレンドや情報尾をただ紹介するだけでなく、どこに引かれたのか、なぜその事象が社会で人気なのかーーなどロジカルに整理して発信した。「修行のように毎日ブログを続けていたことは自分の中でも大きな財産となっていますし、仕事における『選球眼』のようなものを身に付けることができた」と説明する。

今でもTwitterで常に情報発信を心掛けている。情報をアウトプットするにはインプットが欠かせない。何かシェアできる情報はないかーー毎日意識することでインプットする情報量や知識が自然と増える。「情報は人に伝えていくことではじめて、あなたの中でその情報がしっかりと腹落ちした状態になります」「つまり、情報のシェアによって、一番勉強できるのは他でもないあなた自身」と堀さんは助言する。

SNSを自己成長やセルフプロモーションのツールととらえると、付き合い方も変わる。

実は私自身、今年9月に会社公認のTwitter(@NIKKEI_ISHIZUKA)を始めた。フォロワーはようやく100人を超えた。日々の情報発信が多くの人に届かないもどかしさと焦りを感じていた。耳目を集めるため、炎上発言でも試みるかと悪魔的な考えが浮かんだりもする。「いいね」やリツイートなどで反応が正確に分かるので、続けるのは意外とストレスだ。

アクティブビジョン代表取締役の川端康夫さんは「フォロワー数を気にしない仕事への活かし方」を提唱する。

いわゆる「インフルエンサー」を目指し、それで幾ばくかの収入を得ることを目的としているなら、フォロワー集めは「正しい」手段なのかもしれない。一方で、自分のようにB2Bの仕事が中心の人であれば、リーチする人数の多さよりも、内容の深さや視点の持ち方がポイントになる。

自分をよりよく知ってもらえれば、それが仕事の発注に結びつく。川端さんの基本スタンスは、発信した情報が届けたい人に役立つこと。

数少ない人にたいしてであっても、その人たちにとってプラスとなることを発信していきたいと思っているし、それが「マス」相手でなくても成り立つネットメディアノ利点だと思う。

いつでも誰とでも容易につながられるのがブログやSNSの特徴だ。だが、それに使う側が振り回されることはない。「広く浅く」から「狭く深く」まで、自分の仕事の特質にあった使い方を身に付けたい。

                (日本経済新聞編集委員 石塚由紀夫)