気候変動関連ニュースが課金の壁を超えて広く読まれることの重要さ
気候変動に関する情報、特に海外発のニュース報道、或いは深い分析やデータを踏まえた読み応えのある記事の多くは有料課金記事が多く、多くの人の目になかなか触れる機会がないのではないか、そんなことを思うことがあります。
そんな際、先日目にした以下の記事は印象的なものでした。
『民主主義はペイウォールの向こうで滅びる - ジャーナリズムの無料化-少なくとも2024年の選挙期間中は』(4/14 The Atlantic *ギフト記事 4/29から2週間は無料で閲覧可能)
記事を書いたリチャード・スティンゲル氏は、元『タイム』編集長・元国務次官で、この記事そのものが有料課金記事であることも、ある意味皮肉なのではあります。とはいえ、なるほど、と感じる内容でした。
国内においてもYahoo!ニュースなどのプラットフォームの存在感が圧倒的に大きく、多くの人が無料の記事を読んでいるようです。英オックスフォード大学ロイター・ジャーナリズム研究所が昨年公表したデジタルニュースレポートによると、日本国内で有料購読をしている読者は9%とのことです。
何も気候変動関連のニュースに限ったことではないのですが、普段なかなか目に触れることが少ないと言われがちな気候変動報道に関し、是非ペイウォールのない形で重要な報道が多くの人の目に触れることを期待したいと思っています。
なぜ突然このようなことを思うに至ったか。先日、SNS上で話題になっているニュース記事を分析する『BuzzSumo』というツールで、『気候変動』や『再エネ』等の検索キーワードを調べたことがきっかけです。それぞれのキーワードをタイトルに含む記事がFacebookやX(Twitter)でどのように拡散されているかを確認することができるのですが、驚きの結果だったのです。
2024年の1月1日から4月29日までに公開された記事で調べた際、『気候変動』というキーワードでトップ3にランクされている記事はいわゆる大手メディアのものは一つもなく、3つとも運営者が不明のサイトで、『気候変動の緊急事態など存在しない』などのいわゆる気候変動否定論が展開されている記事でした。サイト全体のボリュームの中で、4割〜5割がこうした「まとめサイト」に掲載された記事であることにも驚きました。
最も拡散させているサイトの運営者情報欄には、「免責事項」として『ChatGPTなど複数の生成AIを組み合せたプログラムでネット上の情報をキュレーションして配信し』ていることが明記されています。
事実や科学に基づいているかはさておき、とにかく数多くのサイト訪問者数のアクセスを集める、広告収益を獲得することを目的とした「ニュースまとめサイト」のようです。
米国における選挙情報同様、気候変動関連のニュースもSNS上を中心に分断化されているテーマと言われていますが、近年深刻さがますます高まっているようです。
かつてコロナ期間中にはコロナ関連報道(一部含め)を無料にするメディア媒体もいくつかありましたが、「アースデー」「気候変動枠組条約締約国会議(COP)」など、重要な気候変動のイベントが行われる時期、キャンペーン期間中などは、できるだけ関連記事を無料で公開するというような取り組みが生まれるとよいのでは、とも思いました。
とはいえ、メディア運営出版社・企業も収益化が厳しい状況もあり、すぐには対応が難しいのでは、とも推察します。
少なくとも個人的に心がけてみたいことを4つ書き記しておきたいと思います。
これは大事と思えるようなニュースや記事に接した際にはできるだけSNSでも共有する
ニュースレター「Climate Curation」は今後も無料で配信していこうと思いを新たにしました。
特に大事と思った有料購読記事は、「ギフト機能」がある場合には意識的に活用し、記事をSNSやニュースレターで共有する。
気候変動関連のニュースをシェアする際には危機や大変な状況を伝えるだけではなく、前向きで、課題解決型で、身近に感じられそうなニュース・トピックを意識的に含めるようにする。
参考資料として最近見かけた関連レポートと記事を以下2本、共有させていただきます。以上、自分にとっての備忘録的な記事となってしまいましたが、興味を持ってくださる方に届いていたら嬉しく思います。
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▶2021年夏以降気候変動・脱炭素・クライメートテックについてCOMEMO記事として公開した記事のリス