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専業主婦を貶めたい界隈の思惑

専業主婦とワーママ論争はそれこそ大正・昭和の時代から飽きることなくあったけど、こういう専業主婦の個人的なつぶやきに対して、いちいちワーママがマウントとってくる風潮ってなんなんでしょう?

別に専業主婦したいのに無理やりフルタイムさせられているとかなら百歩譲って愚痴りたくもなるよねと思うが、それぞれの夫婦が合意のもとにやってるならいいじゃねえかと思うのだが、このマウントしたがりワーママの人達のこの心理ってどこから来てるの?と思う。

これに限らず、専業主婦に対する風当たりは強い。

そんな中で、「共働きよりも専業主婦の方が子持ち率が低い」などという間違った論を展開する輩がいるのにも呆れ返る。

これね

そしてこの記事の元になったのがこれね

本当はリンクも貼りたくないくらいだが、間違い論法、というか、数字は間違っていないが、その数字の切り取り方が自論誘導ための恣意的で、知っててやっているなら「数字使いの嘘つき」であり、知らないでやったのなら「有識者とはいえない無知」といえる。しかもこういうのを有難がって使うマスコミとか行政がいるから始末が悪い。

これの間違いについてはヤフーの記事で詳しく解説したのでそちらをご覧いただきたい。

とにかく、統計の取り扱い方がダメなこと以上に、子有り率とか子どもの数を専業主婦の方が多いとか、共働きの方が多いとか、そういう二項対立軸にすること自体筋が悪い。

とくに後者の人、かつては、少子化婚姻減は「こども部屋おじさん」のせいだと言わんばかりの記事も書いていて、炎上もしていた。それについても以前指摘しているけど、相変わらず統計の扱いが雑すぎる。

そもそも、一生専業主婦しかしないとか、一生フルタイムで働き続けるとか、女性はどっちかの道しか進まないわけではない。時と場合と事情に応じて、専業主婦をせざるを得ないこともあるだろう。
逆に、専業主婦を続けたい(夫もそれを望んでいる)としても、家計や子どもの費用面でパートで働きに行かなきゃならない場合もあるだろう。

メディアがよく使うこの図も勘弁してほしいものだ。これも「数字使いの嘘つき」事例の典型。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO73128100Y3A720C2EA2000/

共働きの中には週一回数時間しか働いていない妻も含むのでありきわめて雑。実際、フルタイム就業妻の割合はそれこそ1980年代からまったく変わっていないというのが事実である。


その事実をようやく内閣府の令和4年度の男女共同参画白書で紹介した。これは大いに評価したい。


しかし、せっかく事実を伝えていたのに、なぜか翌年の令和5年以降はまたこのフルタイム共働きは増えていないという事実が白書から隠蔽されることになる(もしかしたら白書のどこかに掲出されているのかもしれないが、少なくとも私が見た限りどこにもない)。

なぜ、その事実が消されたのか?これこそ、政府や財務省からしたら不都合な事実なんだと思う。

財務省が次に狙いを定めているのは、130万円の壁や第三号被保険制度である。要するに、配偶者優遇制度を撤廃して、夫婦は両方とも外で共働きしてもらって、その分所得税も年金も社会保険料も満額払ってもらいたいし、なんなら扶養だろうがなんだろうが全員健康保険は個人が支払ってもらいたいと思っている。

そのためには、「とにかく共働き妻が激増してるんです。専業主婦なんかマイノリティです」とでも喧伝しておきたい。女性活躍なんたらも裏を勘繰ればただの「国民皆増税」のためだから。

とはいえ、個人的にも今の130万円の壁や第三号被保険制度は見直すべきとは思っているが、だからといって、子どもが幼い時に専業主婦にならざるを得ない人たちがいることを無視していいわけではない。あまつさえ「数字使いの嘘つき」たる御用有識者かつ誤用有識者を使ってまで、専業主婦を貶めるような大本営発表をすべきではない。そもそも調べりゃ誰だってわかることなんだから。

大事なのは、専業主婦だからダメとかいいとか、そういう個々人の事情を無視して雑に人間を分けるんじゃなく、誰もが人生の一時期においてそういう環境になざるを得ない場合があると認識を共有し、長い人生の中において、専業主婦だろうが、フルタイム就業だろうが、都度選択できる体制や制度作りの方だろう。

これも何度も言ってることだが、外で働いていようがいまいが、専業主婦だろうが専業主夫だろうが、すべての夫婦は「共働き」なのである。役割分担があってもそんなの夫婦の勝手だろうが。

ぶっちゃけ仕事なんてものは40歳過ぎてからいくらでもできる。それくらいの年齢から始めたって十分活躍できる。
しかし、出産や子育てはそうはいかない。物理的に年齢制限があることは間違いない。

そうした男女の違いをふまえて、女性は40歳以降でも新卒採用で活躍できるとか、なんなら子育て主婦採用があるとか別の方向の検討もしてはどうかと思う。

繰り返すが、一生同じ道を進む人間なんてそうそういない。それぞれの立場や環境に応じて、それぞれが活躍できる場がある「自分の道の多様性」があることの方が重要ではないか。


ちなみに、男でも「40歳再チャレンジ雇用」があってもいい。転職市場で引く手あまたの実績ある人だけではなくて、誰もがもう一度全く違う業種にチャレンジできるようになってもいいのではないか。ついでに「60歳チャレンジ」もあっていい。

別に年齢関係なくいつでもチャレンジすればいいという話もあるが、誰もがそう能動的ではない。そういうお膳立てがあることで行動しようかなと思う人間が7割なのだから。


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荒川和久/独身研究家・コラムニスト
長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。