東急歌舞伎町タワーに感じた、クールジャパンのあるべき、ひとつの姿。
MintoのCEO 水野です。SNS・Web3領域で漫画・アニメ・キャラクターなどをクリエイターと共に創っています。[会社紹介はこちら]
今回は、2023年4月にオープンしてから早々に来館者数が100万人突破し、話題になっている東急歌舞伎町タワーの概要をまとめながら、クールジャパン戦略の振り返り、オンラインからリアルへのエンタメの揺り戻しなどをコンテンツビジネス視点で、徒然と書いていきたいと思います。
東急歌舞伎町タワーの概要
まず、東急歌舞伎町タワーの運営は、東急、東急レクリエーション、ソニー・ミュージックエンタテインメントの3社が2018年に設立した新会社のTSTエンタテイメント社が担っています。
タワー内には、ライブホール「Zepp新宿」(深夜は「ZERO TOKYO」)、食・音楽・映像が融合したフードホール「新宿カブキホール」、アミューズメント施設「ナムコトウキョウ」、体験型エンタメ施設「ザ・トウキョウ・マトリックス」に始まり、中高層階には、ウェルネスクラブ、劇場、プレミアムな映画館、ホテル、レストラン、バーなどが入っています。
4月のオープニングでは、エヴァンゲリオンとの全館協業に取り組むなど、タワー全体が連動してエンタメを演出しているのも特徴になっています。加えて、これだけの高層ビルでありながらオフィスフロアがなく、完全にエンタメ+食+ホテルに特化しているのって、改めてみると、すごい挑戦ですよね。
東急歌舞伎町タワーは、歌舞伎町一丁目地区開発計画の都市計画の一環として、東京圏国家戦略特別区域における国家戦略都市計画建築物等整備事業に認定されています。さらに国土交通省の民間都市再生整備事業にも認定され、民間都市開発推進機構による金融支援や税制の特例などの支援措置の対象にもなっているようです。
昼夜に何回か行ってみて、ふと、クールジャパン戦略を思い出す。
何回か東急歌舞伎町タワーに行ってみて感じたのは、ゲームセンター、飲み屋の横丁(フードコート)、ライブ施設、映画館などは、それぞれ元々あるエンタメ施設ですが、その垣根を超えて融合している点。
歌舞伎町という場所柄、大人向けのエンタメ施設と割り切れるので、深夜帯に、ご飯やお酒と共に多種多様なエンタメ・コンテンツがあり、これらの融合が新しい体験価値になっていると感じました。シンプルに楽しいし、一気に体験できるので海外の知人にもおすすめしやすいです。
一方で、エンタメビジネスに携わる身として気になったのは(笑)、上記記載の通り、東急歌舞伎町タワーは東京圏国家戦略特別区域における国家戦略都市計画建築物等整備事業だということ。エンタメ・コンテンツの世界で国家戦略というと「クールジャパン戦略だよな〜」と思い出し、改めてみてクールジャパン戦略を見返してみました。
クールジャパンは内閣府の知的財産戦略推進事務局が主導している「外国人がクールととらえる日本の魅力」であり、情報発信・海外展開・インバウンド振興によって世界の成長を取り込み日本の経済成長を実現するブランド戦略です。2002年のフォーリンポリシーの記事や、1990年代のイギリス文化を評した"クール・ブリタニア"から影響を受けたと言われています。今回、改めてクールジャパン戦略の趣意書を読みましたが、今見ても分かりやすくまとまっています。2013年には、官民ファンドのクールジャパン機構が設立され、以降はクールジャパン機構がクールジャパン戦略を管轄しています。
しかし、この数年は、クールジャパン・ファンドの投資先からのリターンが少ない(累積赤字が多い)ことがニュースで取り上げることが多く、かなり厳しい状態に直面している印象です。
僕もMintoの代表取締役として、クールジャパン機構の方々とお話し・議論をさせて頂いた機会は何度かあるのですが、やはり国のお金(つまり税金)を動かす(投資を受ける)となると、公平性、公序良俗性、明確な資金使徒などかなり制限があって大変そうだなぁ、、と感じたことはあります。
で、今回の東急歌舞伎町タワーがクールジャパン戦略の一環(投融資/支援対象)に含まれているかというと、ぱっと調べた感じでは、含まれてないと思います(違ったらご指摘ください)。
けれども、東急歌舞伎町タワーには、まさにクールジャパンを感じます。もちろん大人向けエンタメという割り切りもありますが、こういう形で日本のコンテンツや飲食をトータルプロデュースすれば、新しい体験に昇華できるんだ、と。楽しみながら個人的には学ぶことも多いです…w
(ふと思い出したんですが、僕がガラケー時代にデコメサイト(のちに約100万人の有料会員で国内No.1)を立ち上げた時に、概念やデザインで学んだのはドンキホーテのお店でした。デジタルコンテンツのプロデュースでも、リアルから学ぶことは多い。)
オンラインエンタメからリアルへの揺り戻し。インバウンド観光もアウトバウンド展開も新たな局面へ。
海外からのインバウンド観光客、歌舞伎町に飲みに来ている若者が入り乱れている感じの混沌さ。もちろん、そこには日本的な美しさだけではなく、ナイトライフ(お酒と娯楽)の要素も入ってます。そしてこれがクールジャパンのあるべき、ひとつの姿だったのか…と思いました。
そして、このナイトライフ・エンタメの流れは、日本でのカジノ解禁後のエンタメのあり方に繋がっていくのだろうと感じました。カジノ自体の是非はともかく、歌舞伎町タワーは、そこに向けた流れを感じるエンタメの作りでした。マカオやラスベガスに近い匂いを感じたんですよね(笑)。
コロナ禍が開けて、国境を超えた移動や観光が復活する中で、エンタメもオンラインからリアルへ揺り戻しがあります。前回のnoteに書いた、経団連によるエンターテイメントコンテンツ産業の提言書の中にも、下記のスライド「制作・発信・観光拠点」があります。
インバウンドの観光資源を作る際に、エンタメコンテンツを食や街と結びつけ、新しいクールジャパン体験を作っていく。東急歌舞伎町タワーはすごく分かりやすい場となりました。他にも2019年にリニューアルした渋谷パルコなど、この数年生まれている新しい施設はそのような組み合わせが多い気がします。
そして、インバウンド観光資源としてのエンタメ+食などのコラボ/組み合わせの成功例を増やし、それをパッケージ化して海外へ輸出していく。このパターンが海外へ展開する一つの勝ち方になっていくのではないかなー、、と思ったりもしています。
ということで、普段はデジタルコンテンツについて書くことが多いのですが、今回はリアルなエンタメ施設の東急歌舞伎町タワーを軸にして徒然と書いてみました。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。よろしければ、ポチッとハート(スキ)を押してくださいませ。フォローと過去記事のチェックもぜひお願いします!
Mintoでは、一緒に働く仲間を絶賛募集中です。ご興味ある方は、ぜひ内容をご確認ください!