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ワクチン接種を受けながら、これが経済を回復させるきっかけだと改めて思った話。

大規模接種会場で、これまで対象外だった64歳以下の接種も始まり、職域での接種も一部で始まって、ようやくワクチン接種が本格化しはじめた。

約1ヶ月半前にこのエントリーを書いた時点では、果たして現役世代がいつになったら受けられるのか全く見当もつかないという状況であったことを思うと、相当な状況の改善があったと感じている。

大規模接種会場の予約が埋まらないにも関わらず64歳以下への開放が遅れた国の判断には問題がありプラスには評価しがたいが、一方、大規模接種会場含めて各所で始まっている接種の現場の方々の努力、そして1,000人以上が申請の目安となる職域接種を中小企業や教育機関と地元自治体が連携して、さらにはフリーランスでも受けられるようにする取り組みがあることについて、かかわられている方々に大きな敬意を表したいと思う。


私自身は、地元の医院が接種券があれば年齢を問わずに接種するという方針であり、地元自治体の接種券送付も早いほうだったため、幸いなことに今日1回目の接種を受けることができた。接種の感想としては、痛みなどインフルエンザワクチンなどと特段変わりがないように思ったが、これはもちろん個人差が大きい話だと思うし、まだ接種後数時間しかたっていないので、何とも言えない。(ちなみに、タイトル写真の日付が1年前に誤記されていることに、いま気がついた)

自治体の集団接種は、年齢などによって一律の(画一的な)基準で実施されるが、医院等での個別接種は、各医療機関の判断による部分もあるようなので、自治体の集団接種より早い接種を希望される方はコロナワクチンナビで地元の接種医療機関をさがして、問い合わせてみると、早めに接種を受けられる可能性がある。かかりつけ医がある方は、相談してみるのがよいと思う。

新型コロナウイルスワクチンに関しては、さまざまな情報が出ており、否定的な情報によって心配になりワクチンの接種に対して戸惑いを持ったり否定的に考えている人も少なくないようだ。

この調査は一例だが、いくつか公開されている調査結果を見ると、ワクチン接種について、日本人の3割前後は接種に対して否定的ないし消極的な考え方を持っているようだ。もちろんワクチンに使用されている成分と個々人のアレルギー反応によってワクチンの接種が適当でない人たちもいるから、私は100%全ての人がワクチン接種をするべきだという考え方ではない。また、アレルギー反応等がなくても、ワクチンを接種しない選択の自由についても私はそれを肯定する立場である。

ただ、いわゆる「反ワクチン」の情報が流されることによって必要以上の恐怖感を持っている人が少なからずいるのではないか、それによって個々人の生命の安全や集団免疫の観点だけでなく、コロナ禍からの経済回復という点でもマイナスが生じるのではないか、というのが率直な感想であり懸念だ。

反ワクチンの主張の中には、ワクチン接種によって人間が磁石にくっつくようになるであるとか、通信規格である5Gと通信をするようになり自分が他人の意のままに通信でコントロールされるようになる、などと言った荒唐無稽なものから、接種すると2年後には死亡し、有名人や政治家等は実はワクチンではなく生理食塩水を接種されている、といったものまで幅広いバリエーションをSNSなどで目にしている。

荒唐無稽なものについては自分のリスクとして私は全く考慮していないが、特にワクチンの長期的な副反応に関してはこれはまだ誰にもわからないことであり、その点についてリスクがゼロではないということは科学的にも正しいと言えるだろう。私も、接種時の医療過誤の可能性とともに、 長期的な副反応のリスクについては存在することを前提に接種することに決めた。

私の個人的な見解では、仮に今接種されているワクチンによって将来的に大きな副反応が大規模に発生する場合、このワクチンの接種を受ける人は全世界で億人単位にのぼることから、その対応策もまた急速に考えられることになるであろうと思っている。(もちろん、その対応策が功を奏するかは分からないが)

また、私たちが生きていく上で、生命に危険を及ぼすリスクという点だけを考えても、ワクチンそのものに限らず新型コロナウイルス感染もあり、ほかにも様々な病気があり、また病気以外にも交通事故や何らかの犯罪に巻き込まれる可能性まで含めて、数多くのリスクを抱えながら日々を送っている。それを普段は意識していないにすぎない。

こうした数ある中でワクチン接種がもたらすリスクをどの程度と評価するか。まだワクチンの接種が本格的に世界で始まって半年ほどではあるが、今のところ海外で、ファイザー製やビオンテック製ワクチンによって大きく副反応が出たと言う報告・報道は限られているし、またアストラゼネカ製のように、副反応の出現率として果たしてどの程度重たく受け止めるべきかというレベルに関しても、使用について注意喚起されたり、国によっては使用を一時的に停止していることを考えると、ワクチン接種に関してはかなり慎重なリスク判断がされていると個人的には感じている。

そして、こうした生命に関するリスクと言ったことにばかり目がいって、ワクチン接種が経済を回す、あるいは経済を回復させるための重要なキーになっているということについて、あまり意識されず語られていないように思うのが気になるところだ。

日本でも、ワクチンの接種が進むことによって形成される集団免疫について言及されることが以前より少しずつ増えてきているように思う。

この集団免疫とは社会の構成員の「一定以上の割合」の人たちがワクチンの接種を受けて、またはウイルスに感染して、感染のリスクがかなり小さくなるものだ。「一定以上の割合」については、一般的には6割から7割と言われることが多いようだが、今回の新型コロナウイルスとそのワクチンに関してはよくわかっていないようである。

分かってはいないが確かなことは、より多くの人が免疫を獲得している方が、より確実に集団免疫が機能する、ということだ。集団免疫を獲得し、集団としての感染拡大可能性がかなり小さくなった場所であれば、新型コロナウイルスに感染した人が入ってきても感染が大きく広がることがなくなる。そうであるなら、集団免疫が成立していることが今後経済を早期に回復させることのキーになるものと考えられ、この点は想像以上に大きな経済回復の前提条件になるのではないかと私は考えている。出張等のビジネス需要であれ、観光などのプライベート需要であれ、ある場所に人が来ることが経済循環の大きな契機になる。典型的には旅行・観光関連産業がそうである。

新型コロナウイルスの流行によって、特に地方では、首都圏などから自分の子供であっても帰省を避けさせる動きが昨年から見られている。これは感染者を地域に持ち込まないで欲しいということであるが、肉親ですらそうなのだから、ましてや観光客などであれば一層こうした気持ちになるであろう。この状態が続くのであればいつまでたっても観光関係の経済の回復はおぼつかないということになる。それが、集団免疫獲得によって緩和されていくことが経済回復につながる。

このためには、ある地域の住民のできるだけ多くの人たちがワクチンを接種し、感染拡大の可能性を最小限にすることによって観光客など地域の外からの人が入って来ることを受け入れやすい環境を作ることが、観光関連の経済回復の大前提になる。

観光客側からしても、個別の店や宿泊施設の従業員がワクチン接種を済ませていることはもちろん、地域として集団免疫ができており、感染拡大がおさまっている場所に行く安心感が、回復初期に訪れてもらうために非常に重要なポイントになる。いち早く、そこに目をつけて動き出している地域もある。

新型コロナウイルス流行の初期に、ウイルス感染でも人は死ぬが経済でも人は死ぬのだ、といった議論があったと記憶している。これはその通りであり、特に観光関連産業が大きな打撃を受けている中で一日も早く集団免疫を作ることが産業を復活させるために必要だ。

そうであるならば、観光関連産業の復活を目指す地域は、一刻も早く一人でも多くの住民がワクチンの接種を受け、地域において再び感染の流行拡大が起こらない前提条件、つまり集団免疫を作ることが、今できる経済回復に向けた取り組みの第一歩になる。観光客向けの飲食店や宿泊施設などであれば、従業員全員に対してワクチンの接種を推進・奨励するといった動きが必要になるだろうし、今後は新規採用の条件にワクチン接種済であることが加わることになるのかもしれない。

そして、国際的な人流回復を加速するためは、いわゆる「ワクチンパスポート」を、国際基準に従って早急に制度整備することも必要不可欠だ。

ワクチン接種に関しては、生命の危険といった観点でその是非が語られることが多くなっているように感じ、そうなると感情的な恐怖感が煽られることによって必要以上の恐怖心が植え付けられているようにも思う。

同時に、経済が回らなくなることによっても人が死ぬのだと言う観点を加味し、ワクチン接種を推進することがお金の問題で人が死ぬことを防ぐことにつながることを忘れたくない。いたずらに不安をあおられるばかりではなく、冷静にリスクを評価し、ワクチン接種が経済回復の大前提であることは、もう一度認識を新たにしたいところである。

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