相互フィードバックが生み出すポジティブスパイラル
働き方が大きく変わりリモートワークがメインとなっている昨今、チーム間のコミュニケーションの量や質も変わりました。そのような状況下において働きがいをどのように高めるか、そのアプローチも変化せざるを得なくなっています。
今回は働きがいの高め方をテーマに書きたいと思います。
働きがいって何?
そもそも”働きがい”ってどういうことなのでしょうか。なんとなくイメージはお持ちだと思います。株式会社リンクアンドモチベーションのMOTIVATION CLOUDの記事に以下のように定義されていました。
「働きがいがある」状態とは、会社と個人が相互に信頼しており、個人が自らの意思で前向きに仕事をしている状態を表します。「働きがい」は、「働き甲斐」に変換することもでき、この「甲斐」には「○○する値打ち」という意味があります。
つまり、働き甲斐の有無は「その会社で働くだけの値打ちがあるかどうか」とも解釈できるのです。この「値打ち」の有無や基準は個人の志向性によるところが大きいため、一概に会社のどの要素が働き甲斐に直結するのかは、明確ではありません。
つまり、働きがいのある企業・チームでは、各メンバーが自らの意思でモチベーション高く仕事をしており、個人の幸福度はもちろんのこと、社内の雰囲気も良い状態であると言えます。
一方で、働きがいが感じにくい職場においてはどのような状況になるでしょうか。メンバーの働きがいが失われている状態では、取り組んでいるプロジェクトに対するモチベーションも低く、生産性も下がる可能性が出てきます。またその企業で働く価値があるのかに対しても疑問がある状態と言えるため離職率が高くなることが予想されます。
”働きがい”は個々人がどのようにその企業、組織を捉えるかによって変化するものだということもポイントと言えます。
フレデリック・ハーズバーグの「二要因理論」
二要因理論はアメリカの臨床心理学者、フレデリック・ハーズバーグが提唱した仕事における満足度を引き起こす特定の要因である「動機付け要因」と、不満を引き起こす特定の要因である「衛生要因」についての理論です。
二要因理論によると「動機付け要因」は、仕事で何かを達成した時、自分の責任範囲が拡大した時や成長出来ると感じた時など、モチベーションの向上、そして働きがいにつながります。
「衛星要因」は労働環境や待遇など労働条件など整っていない時に不満につながります。この衛星要因は環境、条件を改善する事で不満を解消することができますが、それ以上満足度を向上させることにはつながらないと言われています。衛星要因はコロナ禍においてはリモートワークのための環境整備などが該当し、まだまだ課題の多い領域でもあります。
動機付け要因は”働きがい”であり、衛星要因は”働きやすさ”であると捉えることも出来ます。企業の経営においては動機付け要因、衛星要因の両方を考えていかなければなりませんが、組織やその企業の手がける事業へのエンゲージメントを高めるには働きがい、すなわち動機付け要因に着目していくことがより効果的であるとも言えます。
“働きがい”の種
前述の通り“働きがい”は個々人の価値観などによって変わるものです。では人が働きがいを感じる種は何なのでしょうか。働きがいにつながる動機付け要因は、何かを達成した時や成長出来ると感じた時などに仕事に対して満足した時に感じます。つまり働きがいを感じる種はこの部分に着目する必要があります。
もう一度働きがいの定義に立ち戻ると「会社と個人が相互に信頼している」状態であることが前提となっております。
では、どうすれば会社と個人が相互に信頼できる状態になるでしょうか。相互に信頼するためには、まず相互理解が必要となります。相互理解のない職場に対して働きがいを感じることは難しいことは容易に想像できます。
フィードバックは成功した時も失敗した時も
相互理解を深める上で当然適切なコミュニケーションは重要となります。ただし、ただ話す時間を持つだけでは意味がありません。お互いのアクションに対して正しいタイミングでフィードバックをすることが大切です。
自分が関わるプロジェクトがうまく進められているタイミングで、自分自身のアクションをしっかりと見た上でのポジティブなフィードバックをもらえると当然モチベーションにつながります。
仕事をしている時、常にうまくいくわけではありません。失敗することもあります。良い時だけフィードバックをするのではなく、失敗した時のフィードバックも大事です。その際は、失敗した事象を責めるのではなく、その失敗が今後の成功にどのようにつなげられるかを中心にフィードバックしましょう。そうすることで失敗を恐れる組織ではなく、失敗を前に進む活力にできる組織になっていきます。
リモートワーク中心の働き方においてはコミュニケーションを取る機会自体が減っている企業も多いでしょう。ちょっとしたアクションに対してのフィードバックの機会が失われている状況は動機付け要因が弱くなり、働きがいが感じにくくなるリスクが増大します。リモートワーク下においては特に意識的にフィードバックをし合っていくことが大切です。
#褒められてうれしかった の共有
フィードバックを円滑に出来る組織にするための第一歩として褒められてうれしかったことをお互いに共有するのも良いでしょう。そうすることでメンバーがどのような時にモチベーションが上がるのかをお互いに理解することにつながります。
私自身が褒められてうれしかったことを振り返ってみました。私は自分自身のフィードバックやイベントの登壇時や取材で話したこと、書いた記事が誰かの背中を押しポジティブになるために役立っていたことを聞いた時です。ポジティブなフィードバックを受けたことで、今後もしっかりとメンバーに対してのフィードバックを丁寧にしていこう、自分の考えを発信していこうと考えるようになり、ポジティブなスパイラルを生み出しているのです。
相互フィードバックが、組織・チームと個人が相互に信頼することが出来る土壌を生み、働きがいを感じるモチベーションの高い組織を育てていくのです。