人脈/社会関係資本を活かすのは「提案力」
前のnoteで触れたプロティアン=変幻自在なキャリア。その2大要素は「アイデンティティ」と「アダプタビリティ」。MBTIは、前者のアイデンティティを理解する1つの視点であり、かつ、実質的には「語彙力トレーニングシステム」でもある。
この部分を、プロティアン理論では「キャリア資本」という概念で説明する。
「資本」とは「交換可能な財産」であり、「投資することで増やすことができる元手」だ。すなわち自分の武器or強みを資本ととらえ、「わらしべ長者」のごとく交換しながら、キャリア資本の全体を大きく育ててゆく。その過程での幸福感を積みましていく。それがプロティアン・キャリア理論の概要。
ここで資本とは、おカネ系=本来的意味での経済資本と、無形の資本とに二分される。無形の資本はさらに、個人の能力(ビジネス資本or人的資本)と、社会ネットワーク(社会関係資本)とに二分される。(同様の説明は、リンダ・グラットンの「ライフシフト」や橘玲氏のキャリア論などでもなされている)
今回とりあげるのは、無形のネットワーク力=「社会関係資本」の使い方だ。
ネットワークについての社会学理論
ネットワークについての社会学理論としては、アメリカの社会学者(※経済学でもある)グラノヴェッターが1973年に提唱した「弱い紐帯(ちゅうたい)の強さ」理論が有名。個人間のネットワークは、
とに2分される。「弱い紐帯」の方が、新しい情報や機会をもたらす上で重要な役割を果たす。ハーバード大卒業生200名ほどの観察から導いた仮説だ。今ならSNSのつながりは「超弱い紐帯」といえるかもだ。
(参考:「職場から考える創造性(5) 社会的つながりの強弱が影響」東京大学准教授 稲水伸行 やさしい経済学 2022年2月22日 ↓ )
さらに2000年にパットナム(政治学者よりの社会学者、もしくは逆)はが2種類の社会関係資本の概念を提唱。社会的なむすびつき(グループなど)は
両者の関係を考えると、類似性として、
という感じ。グラノヴェッターの洞察を社会レベルに拡大適用したのがパットナムの理論。(うろ覚え、あとで本読み返したい)(←あと、ていつだよ笑)
一方で、文化人類学などでは、親密な人間関係を維持できるのは150人までという「ダンバー数」の概念がある。(参考:「コロナでも喜び不変」糸井重里さん、時代の節目を語る 日経MJ 2020年10月4日)
「弱い紐帯の強さ」を活かすのは「提案」ではないかな?
ダンパー数=強い紐帯=目的なく会える相手。糸井重里さんはこちら側の効果をコロナ禍に語っている。
一方で、経済学&社会学的には、弱い紐帯が強いよ、というのだが、現実、いくらSNSのつながりが増えようが、ほとんどメリットはないのではないだろうか? (フォロワー増は、単純に「読者数」が増える効果ならある)
この弱い紐帯とは、いいかえれば、「共通の目的があれば会える(可能性がある)相手、といえる。
では共通の目的がない場合、どうすればいいか? 相手のメリットになりそうな提案をすればよい。SNSのつながりの場合には、その提案メッセージを送ることができる相手、となる。
つまり「弱い紐帯」によるネットワークとは、提案力次第で無限に拡がりうるもの。なんなら、つながりが存在しないところからでも、DM一本で、つながりを作ることすらできる。
「提案」ではレベルが高すぎ、と思われるかもだが、小さな提案でいい。大学生でも、出てる講義についての改善アイデアとか、思いついたら出し続ける、ということからつながりうる。
もう1つ追加すると。
大学生なら、学生コンテスト、奨学金プログラム、長期インターン、いろいろある。自己啓発の有名本『夢をかなえるゾウ』のクライマックスでの提案もこれ:
応募慣れすることは、就活でも直結する。なお人脈なしのお金だけの応募対象として、キーエンス財団は30万円が1500名対象(2024年は2−4月までの応募期間)
応募書類などは、周りの信頼できる大人に一読してもらい、フィードバックを求めてゆくといい。フィードバック依頼は何に対してもそうで、他者への働きかけ、という点で広い意味での「提案」といえるかもしれない。
(トップ画像)
7/6 日経電子版「COMEMO注目の投稿」選出いただきましたー