転職と伏線回収と主人公感
濃密な意味空間。そこから何か引っ掛かるもの、ざらざらするものを見出し、それを丹念に見つめ、触れ、咀嚼し、自分なりに把握し、別の何かに置き換えてみたり、別の何かとの関連を考えてみたりすることで、背後にある意味を自分なりに読み取ったり、新たに構築したりしながら、自分との関連、意味付け、価値付けをして、自分事化していくこと。それを伏線としていく面白さについて。
転職
転職活動中の人の背中を押す機会がありました。
自分が社会に提供できるものを、できるだけ抽象化して汎用化して考えてみることの大切さ。専門性ではなく、汎用性に着目することで、自分が価値提供できる領域の幅が広がっていく。
以前、「好き」は「具体の行為」じゃなくて「状態」、というような記事を書いたことがあります。こだわるべきは、専門性の高いスキルではない、ということにもつながると思います。
僕自身、新しい世界に飛び込む際には、自分を抽象化し、汎用化し、領域を拡張して、何ができそうかを想像します。
その想像は、言語的にではなく、体感を想起させる行動を比喩的に思い描くと、しっくりくることがあります。
伏線回収
そんな中、その人が「伏線回収」という表現をしました。それは、よく言われる「点と点とつなぐ」と同じものかもしれません。ただ、僕は、この「伏線」という言葉に、何か、こうぐっとくるものを感じました。
自分を主人公とする物語としての生を考えるとき、「点」ではなく「伏線」の方が、しっくりくる感じがしたのです。
過去に起こったことも、今まさに起きていることも、これから起こることも。その時には、不具合だったり、奇妙なことだったり、理解できないことだったりするかもしれません。というか、そんなことばかりなのかもしれません。
しかし、それらを伏線としてとらえると、その意味不明さ、訳のわからなさが大きければ大きいほど、回収されたときの喜びもまた大きなものとなります。遠いものほど、結びついたときに、びっくりします。
そして、それは、自分の人生に対するオーナーシップ感や主人公感をもたらしてくれます。
舞台装置としての世界
自分を取り巻く世界を、巨大な意味空間としてみたとき。それを物語の世界設定としてとらえ、その中で活動する自分の足跡を振り返ると、数々の伏線が見つかるかもしれません。
あの時のあの出来事は、今思い返すと、こんな風につながるかもしれない。あそこで選んだ選択が、巡り巡って、今につながっているのかもしれない。
そうした伏線回収をすることで、過去を肯定するだけでなく、未来に向けた変化に対しても前向きになれるような気がするのです。
どんな体験も、その先の伏線になるのですから。