見出し画像

リクルート創業期の組織論がとてもおもしろいので、実践してみた結果

プレックスは先日、メンバーの数が300名を超えました。実はこの1年ほどで、200名近くの人が新しく仲間になってくれたんです。

「そんなに一気に採用したら、組織がめちゃくちゃになるのでは?」と思われるかもしれません。でも今のところ、離職率はかなり低い水準を保っています。直近の3ヶ月でも、離職者はほぼ出ていません。

僕らの会社がこの急拡大になんとかついていけているのは、ちょっと変わった組織運営をしているからなのかなと思います。今回はそれについて書いてみました!

人に何かを強制したり、怒るのが苦手だった

そもそも僕は、人に対してなにかを強制したり、怒ったりするのが苦手でした。

自分自身、誰かに「やらされる」のをすごく嫌だと感じるタイプです。だから他の人に対しても「自分のやりたいようにやってほしい」と思っています。もちろん、それ自体は悪いことではありません。

でも、マネジメントにはかなり苦労しました。

メンバーに対して、うまく指摘ができなかったのです。

本来、メンバーに仕事を任せて、もしうまくいかなかったなら、僕がフィードバックをするべきです。でも当時は「あ、本当はこれ言わなきゃな」と思っても、直接言えませんでした。「言ったら傷つくかもしれない」「いつか学んでくれるかな」と思ってしまって。

そうやって「言えない」を繰り返していると、小さな「歪み」がたまっていき、全体の生産性が大きく下がってしまいます。

結局、どこかで大きく回収しなきゃいけなくなる。初期はそういうことがよく起こってしまっていました。

会社はサークルとは違います。ふわっと「仲良くしようね」というだけじゃうまくいきません。かといって「やらされてる感」は感じてほしくない。みんなが自分の考えを大切にして、いきいきと仕事ができる会社でいたい……。

では、どうすればいいのでしょうか?

パーパス経営やホラクラシー組織も学んでみたけど、いまいちしっくりこない……

そんな壁に直面した僕は「マネジメントの理論や組織論をきちんと学んでみよう」と思い、いろんな本を読みました。

パーパス経営や、ホラクラシー組織、心理的安全性など……。

ところが、どの理論も確かに学びはあるものの、自分たちに当てはめるとなると、どうしてもしっくりこなかったんです。

最近も、話題になっていたパーパス経営の本を読みました。

その本では、業績が落ちた際に従来のインセンティブ制度をやめて、代わりに「パーパス」を共有したことで業績を伸ばした事例が紹介されていて。「すごいな」と思いながら読みました。

だけど、やっぱりいつも「これを読んだだけだと、具体的にうまくいくイメージがわかないな」と思うんです。「パーパスが大事」なのは確かにそうなのですが、そこに至るまでにもっと細かい動きや、結節点になるような施策があるはず。それらがあったうえで、パーパス経営が成り立っていると思います。

でもパーパス経営の本には、その細かい具体例が書かれないケースが多いんですよね。

ひとつの理論を一元的に取り入れるのは難しい

組織論を学ぶなかで思ったのは「ひとつの理論を、一元的に、会社全体にあてはめるのって、そもそも難しいんじゃないか?」ということです。

たとえば『ホラクラシー組織』の本を読んで、いいなと思ったので、自社で取り入れようと考えてみたんです。

でも、具体的に想像してみると、全社的にホラクラシーを当てはめるのは難しそうだと思いました。マーケティングチームのいち部署や、エンジニアチームにはこの形が合いそうだけど、営業チームにはあまり合わなさそうだな……と。

部署やチームごとに「合う・合わない」が変わってくるんですよね。

「自社の事業や組織の形」に合う理論はなにか?

どんなに世の中で「いい」と言われている理論でも、自分たちの事業や組織に合わないものを一元的に取り入れてしまったら、うまくいきません。

パーパス経営も、規模や業態によって合う・合わないがあるはずなんですよね。

ある程度成熟し、人数も多くなった企業においては、パーパスを設定することが重要だと思います。一方で、プレックスはまだまだ未熟な企業です。僕らのようなフェーズの会社では、個々人のパフォーマンス向上が事業成長のキーになると思っています。

特に僕らがやっているのは「人材紹介」「SaaS」「M&A仲介」という事業。これらは「一人ひとりの生産性」がダイレクトに売上に直結する事業モデルです。だからこそ、そこをいかに高められるかが勝負です。

それゆえに、モチベーションを全体的に底上げするパーパスよりも、一人ひとりのエネルギーを最大化することにフォーカスした経営手法のほうが、いまの僕たちにはマッチしているだろうと感じていました。

そんなときに出会ったのが『心理学的経営』という本でした。

リクルートの創業メンバーである大沢武志さんが、30年の実務と研究のなかで得た、人と組織開発の知見をまとめたものです。

大沢さんの理論の前提にあるのは、人は「労働者」ではなく「人間」として仕事をしているということ。

そして「人間」は、決して合理的でも、均質でもないということです。

感情によってゆらぎが生まれ、表出する性質も変化する。しかもそれが組織となると、暗黙のうちにその集団における規範意識が生まれ、それが「組織風土」となって、いつのまにか個々人の行動を支配するようになります。

人や組織におけるこのような側面は、「べき論」や建前論では考慮することができません。だからこそ「心理学的」視点が必要だと彼は主張しています。

非合理的な「人間」という生き物をあるがままに捉え、個々人の「感情」を尊重しながら、健全な組織運営をしていく。

つまり、働くことで個々人の「やりたいこと」や「得意なこと」を実現でき、その結果として、全体のパフォーマンスも最大化される。そんな組織になれたら理想的だと思います。

では、どうすればそれが実現できるのかーー?

「小集団」の質が、個人のモチベーションを左右する

そこで重要なキーワードとなるのが「小集団」です。

個々人が人間らしく、安心して、モチベーション高く仕事をする。そこに寄与できるのは「小集団」だけである、と大沢さんは語っています。

組織のなかに個が埋没したり、インパーソナルな存在と化してしまうという組織の病弊を打破しようとするとき、小集団のもつ機能が極めて本質的な役割を果たすという点である。
(中略)
集団のなかで相互に個が認知され、帰属の欲求を満たしながら、自らの存在基盤を確認し、ときに自尊の欲求にまで充足を期待できるのは「小集団」をおいてはないのである。

『心理学的経営: 個をあるがままに生かす』より

その裏付けとして引用されているのが「ホーソン実験」という有名な研究です。

ホーソン実験とは、1924年から1932年にかけて、アメリカの工場でおこなわれた実験。どのような要素が働く人の「生産性」に影響を与えるのか? を調査したものです。

実験では女性従業員6名のチームに対し、「照明の明るさ」や「労働条件と待遇」など、いろいろな条件を変えて検証しました。しかし結果としては、照明や待遇の条件をよくしても悪くしても、「いずれの場合でも」生産性が上がったのです。

詳しく調査を続けたところ、彼女たちは皆「自分たちは選ばれた集団であり、新しい試みに参加し、みんなに注目されている」という意識を持っていました。つまり、注目されていることそのものが、メンバーに特別な心理的効果をもたらし、行動を変えていたのです。

さらに、彼女たちは会社に言われたルールで動くというよりは、自分たちで「非公式なルール」をつくって行動していたこともわかりました。チーム内の人間関係も良好で、そこで仕事をすることに喜びを見出すことができる集団が形成されていたんです。

結果的に、条件の良し悪しにかかわらず、生産性が高いチームになっていた。

つまり、生産性に最も大きな影響を与えていたのは、労働条件や待遇ではなく「チーム(小集団)の雰囲気」だった、ということです。

同時期に読んだ書籍『NINE LIES ABOUT WORK 仕事に関する9つの嘘』にも、似た話が出てきました。メンバーのパフォーマンスやモチベーションに、最も影響を与える要因は、直属の上司や同期など身近な「8人」との関係なのだそうです。

実際、会社を辞めたくなるのってどういうときかな? と考えてみると、納得感があるかと思います。「上司と合わない」「チームの居心地が悪い」というのは、かなり大きな退職要因ですよね。

もちろん、ミッションやパーパスによって「会社全体で一丸となる」ことも大切です。ただ、メンバー個々人のモチベーションに寄与するためには、まず「チームで一丸となる」ための施策を欠かしてはいけないのです。

チームごとに売り方もカラーも違う「ディズニーランドみたいな組織」

小集団の重要性を知ってから、プレックスでも組織の体制を徐々に変えていきました。全体を統率することよりも「小集団」の質を高めることに重きを置くようになったのです。

実際の組織体制をかんたんに説明します。

各事業部は「4〜5人の小さいチーム」がたくさん集まってできています。

各チームには1人ずつ「リーダー」がいます。リーダー1人に対して、メンバーが3人か4人。多くて5人ぐらいです。これ以上になるとちょっと難しいかなという感覚があります。

そして、リーダーをとりまとめるのが「マネージャー」です。4〜6人のリーダーを管轄します。いち事業部あたり、20人から25人ぐらいになります。

なので、大枠の構造は、ふつうのピラミッド型の組織と同じです。

ただ、ちょっと変わっているのは、最小単位である「チーム」ごとに、メンバーのカラーや売り方がぜんぜん違うということ。

一般的なピラミッド型組織だと「事業本部」があって、その下に「営業1課、2課、3課」があるような形だと思います。各チーム10名前後で、基本的に同じような仕事のやり方をする。それで、部署ごとに競いあったりしながら伸びていく。これが従来のピラミッド型組織のイメージかもしれません。

僕らの場合は、必要最低限のルールは存在しますが、部署全体で統一された詳細なルールはありません。チームごとにやり方が違ってOK。「個別最適化」されたチームの集まりなんです。それで成り立っているし、数字も伸びています。

普通は、部署全体であるていどルールが統一されていると思います。リーダーやマネージャーが「よし、みんな右だ!」と言ったら、みんなで右を向く。

だけど僕らは、チームごとにもう全然雰囲気が違います。

あるチームは個性派揃いで、5人中3人がキャップを被って仕事をしています。あるチームは正統派で、チームプレーを大切にしている。他にも「わっしょい!」のかけ声で盛り上がる熱血系のチーム。淡々と数字を積み上げているチーム。本当にバラバラなんです。

雰囲気だけでなく「売り方」も違います。「スピード対応で、たくさん提案をして売りましょう」「数が大事だよね」というチームもあれば、逆に「しっかりヒアリングして、求職者さんを動かす営業をしましょう」というチームもあります。

リーダーごとのカラーがすごく出ているんですよね。

最近新しく入ったメンバーは、そんな組織の様子を見て、最初は驚いたそうです。「プレックスって、ディズニーランドみたいな会社ですよね」と言っていました。それは確かにそうかもしれません。

ひとつのエリアに、いろんなアトラクションがある。エリアが変われば、コンセプトもがらりと変わる(現に、営業職と企画職では、制度も雰囲気もまったく違います)。シンデレラ城もあれば、ジャングルクルーズもある。

それらが集まって「ディズニーランド」ができているようなイメージです。

斧が得意な人に、剣を持たせない

正直にいうと、あまりにバラバラなので「統一しようかな」と考えたこともありました。だけど結論、このままのほうがいいと今は思っています。

同じ「営業」でも、いろんな種族がいるからです。

天性の「人たらし」で、深くコミュニケーションをとるのがうまい人。一方、そういうやり方はできないけれど、レスが速くてしっかり対応することで信頼を得る人。いろんなタイプの売り方があるんですよね。

人によって、得意な「武器」が違うんです。

斧が得意な人に、無理やり「いやいや、うちは剣しかダメだから」と言って剣を持たせても、パフォーマンスは発揮できません。それはメンバーからするとけっこうきついんですよね。

だから、一人あたりの対応数などのオペレーションはある程度決まっていますが、「数字の作り方」は決めていません。「斧でも剣でもいいよ」と言っています。

そして、新しいメンバーが入ったら「この人はこういう売り方が得意そうなんじゃないかな」と、なるべく相性が良さそうなチームにアサインしています。

そうすることで、一見するとバラバラだけど、各チームがそれぞれ最大のパフォーマンスを発揮できるんです。

1年間で200人近く採用できた

この「個別最適型」の組織運営が、全ての会社にとって最適解なのかはわかりません。むしろ、いちばん生産性の高いやり方で統一できるのなら、そうしたほうがいい。

そこは「成長速度」とのバランスだと思います。

同じやり方で統一しようとすると、採用基準が「そのやり方に合うかどうか」になるので、受け入れの幅が狭くなります。ひとつのタイプの人しか採用できなくなって、増員しづらくなるんです。

僕らの場合、いまは市場が伸びているので、増員しているタイミングです。そういう時は、いろんなタイプの人を受け入れられる組織のほうが拡大できます。

もちろん、創業期は少数精鋭でこだわることも大切です。それにもし将来、市場が縮小するような場合には、もう少し調整しやすい組織体制が必要かもしれません。

でも基本的には「自分たちにはこういう人が合うんだ!」と限定しすぎると、組織は大きくなりません。

実際に僕らは、この1年間で200人近くのメンバーを採用することができました。

しかも、新しいメンバーがすぐに戦力化し、売上に貢献してくれているんです。入社後数ヶ月のメンバーが、バンバンギネスを更新してくれています

「背中を見せる」育て方ができる

新しいメンバーが次々と即戦力になってくれる。それはもちろん優秀な仲間を採用できているからなのですが、もうひとつポイントがあるのかなと思います。

それは、背中を見せる育て方ができる組織体制になっていること。

同じチームにはなるべく「相性が良さそうな人」をアサインしています。リーダーと似た売り方やカラーの人が集まっているので、背中を見せて引っ張っていくスタイルの育て方ができるんです。

リーダーが得意なやり方で、自由にやってもらう。他のメンバーはそれを見て「ああやるといいんだ」と学んでいく。「俺もやるから、一緒にやろうぜ」という感じです。

このやり方ができると、メンバーの育成はそこまで大変になりません。

しかも僕らの会社でリーダーをやっている人はみんな能力が高く、普通はもうちょっと人数を任されている人だと思います。そういう人たちを採用できているのが、僕らの強みでもあります。

採用とアサインがとても重要

「自由や個性を重んじすぎると、バラバラでまとまりがない組織になってしまうんじゃないか?」と思う方もいるかもしれません。

そこで重要なのが「採用」と「アサイン」です。

優秀な仲間が集まってくれて、その能力をきちんと発揮できる場所にアサインできれば、僕らの組織はものすごく伸びやすい構造になっています。だからこそ、採用やアサインのときの、会社やチームとの「相性」の見極めがとても重要なんです。

相性を見極めるうえで大切なのは、候補者さんへの解像度をとにかく高めること。どんな仕事のやり方が得意なのか。なにがこの人の強みなのか。

そこを深く理解していると「この人があのチームに入ったら、最初はここで躓くだろうな」「どのぐらいパフォーマンスが出せそうかな」といったことが事前に予測できます。

これは表面的な「スキル」や「経歴」だけでは見抜けない部分です。

候補者さんへの解像度をとにかく高める。そのうえで、採用するかしないかも決めるし、どのチームに配属するかも決めていく。そうやって「入り口」でクオリティを担保することが、僕らの組織ではかなり重要です。

健全な「ゆらぎ」が成長を生む

『心理学的経営』を読んで強く印象に残っているのが「ゆらぎ」という概念です。

大沢さんは「仕組みが固まって安定しきった組織」からは、エネルギーは生まれない。組織を活性化するためには、健全な「ゆらぎ」が必要だ、と述べています。

活性化は、既成の構造としての秩序を破壊することからはじまる。秩序の内側に眠りこけている人間の自然の生命力を刺激することで、組織のなかに「ゆらぎ」が起こる。既成の価値体系、暗黙のうちに容認された行動規範に疑問が提示される。(中略)これがカオスの演出という活性化のための最初の戦略として認識されなければならない。

『心理学的経営: 個をあるがままに生かす』より

あえてすべてを固定化せず、時々なにかを抜いたり、足したりして、ゆらぎを生み出す。すると人は本能的に「ゆらぎを埋めよう」と行動する。それによって大きなエネルギーが生まれ、組織が活性化するのだ、と。

僕らもこれは実感しています。

新しい人がなかなか入ってこなかったり、固定のオペレーションを長く続けすぎていたりすると、どうしても仕事はマンネリ化していきます。深く考えなくなってしまうんです。すると生産性はだんだん下がっていきます。

そこで、採用やオペレーションの刷新などによって、適度にゆらぎを引き起こすことが大切です。

僕らの会社では、事業責任者が年に1回ぐらいのペースで交代することもあります。祖業である人材紹介事業は、僕が新規事業をやるために、創業1年弱で現場を離れたんです。3年目に一度復帰し、再び事業が伸びたので再度離れました。

なかなか珍しいことだと思いますが、結果的に責任者がたくさん育ってくれて、会社全体の成長スピードを早めることができました。

人数的にも、この1年で200人近く増えています。

それでも組織がぐちゃぐちゃになることはなく、離職率も低い水準をキープしながら成長できているんです。

組織は「ひとりの人間」の集合体

なぜそれが可能なのかというと「ゆらぎ」の程度を見極めているから。

この事業部はこれ以上ゆらぎが大きくなると、耐えられずにダウンサイドが発生するかも……。この事業部はもう少しゆらぎが大きくても大丈夫そうだな……。という、ギリギリのところの判断が、今のところ機能しているんです。

「その判断をするのが難しいんじゃないか!」と思うかもしれません。でも、実はここってそんなに難しい話でもないと思います。

僕がいつも意識しているのは「組織は、1人1人の人間の集合体である」ということです。

「組織」という単位で考えると、話は一気にややこしくなります。でも「1人の人」として考えたら、とてもシンプルになるんです。

たとえば今日、打ち合わせでAさんと会うとします。そうしたら「Aさん、今日元気?」「今日は全然元気ですね」「あと、1、2週間ぐらい元気いけそう?」「いま調子いいんで、いけるっすよ」みたいな会話を、僕らは日常的にやっています。

それで「いやー、実は最近大変で…」という人が、おなじ事業部で数人いたりすると「今あそこはちょっと不安定そうだな」と判断ができます。ゆらぎを大きくするのはやめて、事業責任者に状況を聞いてみたりする。

こういう会話自体は、エレベーターに乗っている間や、会議の合間などの、ほんの短い時間でできることです。

これを、個々人とちゃんと話さずに「組織の状態はどうなんだ?」「あのチームはやる気があるのか?」みたいに考えても、わからないと思うんです。

そうじゃなくて、5人のチームだったら、5人とちょっと立ち話をして「最近調子どう?」と聞いてみればいい。そのうえで「うんうん、みんな元気そうだ。じゃあ思いっきり行こう!」なのか「あれ、なんか疲れてるぞ。これはちょっと怪しいな」なのか、判断すればいいんです。

「組織」と考えると難しくなるけれど、1人1人の人間の集まりだと考えたら、別になにも難しいことはありません。

組織を見るときはそうやって「主語を大きくしない」ことを、つねに気をつけています。組織、会社、ビジョン、ミッション、みたいに一般化、単純化しすぎると、逆に難しくなる。正しい現状把握ができなくなるので、けっきょく誰にも刺さらない施策になってしまいます。

だからやっぱり、個々人のことを考えたほうがいいと思うんです。

「やらされてる感」なく、自己活性化する組織に

「小集団」をたくさんつくって、意思決定の機会を増やす。そして、採用やオペレーションの刷新によって適度に「ゆらぎ」を起こすことで、組織を活性化する。

このような考え方で組織運営をしたことで、300名を超えたいまも「やらされてる感」なく、自己活性化するいい組織になっている気がします。

会社主導で「無意味なことをやらせる」ことはありません。「経営会議」もやらないし、全員での勉強会やレクリエーションも、今のところやっていません。やるのは半年に1回の総会と表彰式ぐらいです。

経営会議をやらないのは、メンバーのエネルギーを「報告のための資料作成」に割いてほしくないからです。それよりも僕がたまに定例会議に参加したり、1on1やちょっとした雑談をしたりしたほうが、本音の1次情報を話してもらえます。

強制の飲み会はありませんが、毎月、チームが目標を達成すると、会社からお金が出てちょっといいランチにいける制度もあります。あとは、メンバー主導でいろんな人と飲み会を開催したり。あるチームでいい施策が見つかったら、すぐにみんなでシェアしたり……。

いい動きがメンバーの中から生まれているのが、とてもうれしいです。

組織がいい状態になっていれば、誰かにやらされなくても、自然といいコミュニケーションが生まれるものなんだなと実感しています。

一人一人の可能性が最大化する組織に

僕は「理想の会社像」みたいなものはそんなにないのですが、あえていうなら「一人一人の能力を、最大限生かせる会社」でありたいと思っています。

能力的にも、意欲的にも、みんなが自分の最大値をアウトプットしている状態。自分の得意なことを仕事で活かせていて、それを可能な限り出し切っている。それがいいなと思っています。

それは事業を伸ばすためでもありますし、単純に「そのほうが楽しいから」なんです。

僕が会社をやっている理由のひとつは「おもしろい人と働いていたい」ということです。「この人おもしろいなあ」と思う人と仕事をしていたい。

いまは会社にいると、毎日おもしろい人と話せるので最高です。なにかに特化していたり、得意分野で最大限の力を発揮して、いきいき働いている人って、やっぱりおもしろいので。

メンバーのみんなにも「プレックスで働くの、おもしろいな」と思い続けてもらえるように、これからも頑張っていきます!

リクルートの「個を活かす」組織運営は、いまでも受け継がれているみたいです。

ちなみに、僕らが自由な組織運営をできている(経営会議をやらない、など)のは「ノンエクイティ」の運営を続けているからというのも大きいと思っています。詳しくは以下の記事に書いたので、よろしければ読んでみてください!


いいなと思ったら応援しよう!