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AI時代に重要性を増す言語化能力 言語にできないモヤモヤをどうすればいいのか

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

AI、AI、AI。私が身を置くIT産業では、この言葉を聞かない日がないくらいのビッグテーマになっている、AI。特にLLM(大規模言語モデル)を活用したアプリケーションは、ホワイトカラーの仕事を大きく様変わりさせる力を持っていると言われます。

WWWの広がりにより、爆発的にネット上に文章がアップロードされました。これらを機械が学習することで、自然な言語で対話しながら情報を効率的に引き出せるようになりました。そこで問いかけに使われるのが「プロンプト」と呼ばれる命令文書です。うまく情報を引き出すためにはコツがあるようで、その書き方を指南するノウハウも急速に広まりつつあります。

人間と比べて良いところは、24時間いつ、どれだけ問いかけても嫌な顔をされることがないという点でしょうか(笑)。また、既知の技術的な制約もあることから、利活用にはそれらを理解しておく必要があるでしょう。

一方で、人間のよいところは非言語コミュニケーション「も」理解できるところでしょう。ある種のニュアンスであったり、あれそれといった曖昧な代名詞、言葉を交わさなくても一緒にいるだけで共有できる想い。多様なコミュニケーションが通じるというのは、人間同士であるからこそでしょう。

人間は言葉を発明したことで歴史を後世に伝えられるようになったり、高度な思考をできるようになったと言われています。しかしながら、言葉より深い部分で言語化されていない思考があることも事実でしょう。AI全盛時代だからこそ、この部分をしっかり考えておきたいなと思います。

企業研修では事業部門の将来や社員のキャリアを考えさせる。例えば「どのような会社にしたいか」というテーマで作品を作り、「中核はどこか」など掘り下げる。人は言葉で考えていると思いがちだが、実は言葉より深い部分に、言語化されていない思考があるといわれる。作品には言葉にできていない「モヤモヤ」が反映され、話す中で気づきが生まれる。

手を動かすことへの理解を深めようと、手外科の大家であるゴラン・ルンドボルグの著書「手に映る脳、脳を宿す手」(砂川融訳、医学書院)を手に取ってみた。そこでスウェーデンの芸術家、カール・フレデリック・ロイテルスワルトの例が目を引いた。

米ニューヨークの国連本部にある、銃口が結ばれ発砲できない銃の彫刻「発射不能の銃」に見られるように、鋭い皮肉を持ち味とした作品を生み出したが、病気で右半身が麻痺した。利き手が使えず、左手で創作するようになると、作るものが「遊び心のある飾り気ない作品」に置き換わり、性格も柔和になったという。

手は脳の延長ともいわれる。左脳の延長である右手と、右脳の延長である左手で作風が変化したのは、手が生む作品には自分も知らない脳内の何かが映っているのだろうか。

日経電子版

みんな大好き、LEGOブロック。言葉にならない思考をブロックによってイメージで伝える。これはとてもパワフルなツールとなり得るでしょう。実はわたしは上記の記事にも紹介されてる「LEGO® SERIOUS PLAY® メソッドと教材を活用したワークショップ」を開催するための認定ファシリテーターでもあります。そのための講習に参加した模様を以前記事にしました。

職場においても、声が大きい人がイニシアチブを握る場面をよく見かけます。モヤモヤしているけど発言できない(言語化できない)場合は、なかなか思いを伝えることが難しいかもしれません。

最近、別の手法により「創造的思考」と「創造的コミュニケーション力」を開発するプログラムに参加してきました。

この場合は絵を通じて語り合うわけですが、LEGOでも絵でもそこに具体的なものが提示されると、そこをきっかけにして様々な会話がスタートするということを体験しました。初対面で自己紹介をすることを苦手だという人は結構いると思いますが、例えば「私の今の気持ちはこんな絵です」と提示すると、鑑賞者の想像から質問が飛んでくることになります。これは他者理解、自己承認という観点でも非常に面白い手法だと思いました。

今後のAIの進化と共に、より文章・言語化能力に注目が集まると考えています。一方で、ダイバーシティの観点でも非言語をどう活用してくのかについて、今後も思いを巡らしてみたいと思います。


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タイトル画像提供:mayucolor / PIXTA(ピクスタ)


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