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Z世代はInstagramをどう使っているのか。分析してみた

先日、Meta社の味澤将宏さんと対談をする機会がありました。

そのなかで、トピックに上がったのがZ世代のInstagramの使い方です。

現在のInstagramは、「友だちとの日常的なコミュニケーションツール」として重宝されているように思います。従来のように多くの人に見てもらうためではなく、身近な友だちとの交流を目的に使用しているのです。

そんなInstagramはこれまでにどのように使われ、今後どのように形を変えていくのか。「過去」「現在」「未来」に分けて、僕なりの見解をまとめてみます。

▼対談の様子はぜひ動画をご覧ください!

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【過去】画像で繋がる、公開フォトアルバム。10年間で急激に普及・進化したInstagram

Instagramの日本語版がリリースされたのは2014年のこと。Z世代の多くが学生だったころに、メジャーなSNSとして浸透しました。それまではTwitter(現:X)が親しまれていたなかで、

・フィルターや画像の加工によって、自分らしい世界観を作れる
・画像から一目でその人のパーソナリティが見える
・フォロワーをたどることで共通の知人が分かる

など、それまでとはまったく異なる「視覚的なアプローチ」によるSNSは、Z世代にとっても革命的でした。

旅行の思い出や友人との遊びの記録、日常を残す公開フォトアルバムのような形で利用されることが多く、僕も学生時代は記録用に自分で作ったお弁当を載せていました。

その後、企業やクリエイターもインスタを利用するようになり、自社のPRやショッピングにも繋げるようなメディアプラットフォームへと進化しました。

クリエイターが増えて投稿の内容が多様化したことで、美味しそうなお店をインスタで検索して見つけたり、おしゃれなコーディネートを探したりすることもできるようになりました。

また、インスタ上で多くのいいねとフォロワーを獲得し、人気を集める「インフルエンサー」が生まれたことで、インフルエンサーマーケティングが流行したのも、この時代の特徴です

インスタ普及に伴い「SNS疲れ」が問題に

一方でインスタの利用率が上がり、SNSでのコミュニケーションが社会的にも重視されるようになった2019年〜2020年頃から、SNSの在り方は少しずつ変わったように感じます。

いわゆる「SNS疲れ」が発生し、フォロワーの反応やどんどんと更新されるトレンドに敏感でいることに疲れ、アカウントの使い方を変える人が出てきました。

SNSを利用していると、どうしても他人と自分を比較する機会が増えます。特にインスタは「画像で繋がる」という特性から、綺麗な景色やおしゃれな生活を切り取った画像、美味しそうな食べ物など、目を惹くものが注目を集める傾向があります。

そのため、周囲の反応を気にして見栄を張ったり、投稿できなくなったりと、次第にSNSが自分らしさを表現する場所ではなく「理想の自分」を演じる場所となり、それが窮屈に感じられるようになっていったのです。

【現在】フィード投稿よりもストーリーを重視!Z世代のInstagramの使い方

そんな時代を学生として過ごしてきたZ世代。もちろん、人それぞれに使い方は異なりますが、僕は主な傾向として「フィード投稿」よりも「ストーリー」を重視して利用する人が多くなったと考えています。

24時間で消えるという特性から、「今を伝える」ことが重視されるストーリーは、見映えを気にせずに気軽に投稿できるツールです。

さらに、「親しい友達」機能やグループ機能を使用して届ける人を絞ることができるため、プライベートな情報を発信することができるのもZ世代にウケました。

また、ストーリーには勝手に知らない人の投稿が流れてくることがないため、見る側としてもストレスが少ないのも特徴です。見ず知らずの人のキラキラとした生活をうっかり目にすることがなくなるため、自分と仲のいい人の日常を知る目的であれば、ストーリーを使用するだけで十分なのです。

映える画像を撮影、加工することに疲れてフィード投稿を上げなくなった人でも、ストーリーだけは更新しているというケースを僕のまわりではよく見ます。

ちなみに、僕と私とが2024年11月に行った調査でも、インスタを利用しているZ世代のうち、もっとも利用頻度の多いコンテンツは24時間で投稿が消えてしまう「ストーリー」機能だということがわかっています。

週1日以上の頻度で見ると、「ストーリー」に続いて「リール(64.6%)」と「検索欄(64.2%)」がほぼ同じ割合で並び、主に静止画像の投稿である「フィード投稿」は53.4%と約半数にとどまる結果になりました。

ちなみに、Z世代がSNSを「多くの人」と繋がるためではなく、「親しい人」と交流するために使っていることは下記の記事からも分かります。

今は「SNS疲れ」を解消するための新たなプラットフォームも登場するなど、今後Z世代がSNSとどう向き合っていくのかは注目の的となりそうです。

【未来】鍵アカウントが増え、実態が見えなくなる?Instagramの今後

今後、Instagramはアカウントの小規模化が進み、実態がブラックボックス化していくのではないかと考えています。

日常的な生活をストーリーで投稿して友だちと共有したいというZ世代にとって、現在のインスタは友人とのコミュニケーションツールとなっています。

Z世代にとって、今やSNSの投稿は雑談のきっかけに過ぎません。例えばストーリーは、「最近ディズニー行ってたよね?ストーリーで見たよ!」「ストーリーによく映っているけど、田中さんと仲良いんだね」といった会話のフックになります。

僕のまわりではストーリーにアップされた動画や画像に対して「そこ、私も最近行ったよ!」「それかっこいいね」とコメント・DMをすることで雑談が続いていることが多いように感じます。(必要な会話はLINEで、その他の雑談はインスタのDMで行っているという人も多いです)

こうした流れが今後広まっていくと、いわゆる「鍵アカウント」と呼ばれる非公開アカウントが増えると僕は考えています。非公開アカウントは本人が承認したフォロワーのみが閲覧できるため、知らない人に見られることがありません。

友人とコミュニケーションをとる目的なのであれば、わざわざ不特定多数がアカウントを見られる状態にしておく必要がないからです。

実際に、すでにZ世代のなかでは「過去を知られたくない」「趣味が合う人とだけ、趣味を共有したい」とライフステージの変化に合わせてアカウントを変えたり、特定のアカウントにだけ鍵をかけたり、個人の趣味用と学校のクラス用でアカウントを分けたりと、複数のアカウントを持つことがスタンダードになっています。

最近では、就活で企業側がアカウントを辿り、投稿内容を見て合否を決めるケースもあるため、プライベートな発信は鍵アカウントにしたほうが都合が良いのです。

もちろん情報発信を目的としたアカウントやインフルエンサー、クリエイターなどは今後も全世界に向けて発信をすると思いますが、そうでない一般人が公開アカウントとして日常を記録していくことは今後少なくなってくると考えています。

ともあれ、僕の日常にはInstagramが必要不可欠なので、今後のMeta社の取り組み含めインスタの未来がとっても楽しみです!

***

他にも、このnoteではZ世代経営者の僕がZ世代の最新事情やZ世代のマーケティング会社「僕と私と株式会社」を経営するなかで感じたこと、ビジネスハックなどを発信しています。

「SNSがあることが当たり前の時代を生きるZ世代の価値観を知りたい!」
「Z世代に向けたマーケティングの手法を学びたい」

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最後まで読んでくださり、ありがとうございました。他にもこんな記事を書いているので、ご覧いただけたら嬉しいです!

※このnoteは個人の見解です。

今瀧健登について

今瀧健登 / Imataki Kent(X:@k_hanarida)
僕と私と株式会社 代表取締役 
日経COMEMO キーオピニオンリーダー
一般社団法人Z世代 代表

SNSネイティブ世代(Z世代)への企画・デジタルマーケティングを専門とするZ世代の企画屋。ハッピーな共感をフックに購買行動に繋げる「エモマーケティング」を提唱し、さまざまな企業・行政とタッグを組んでワンストップ・プロモーションを展開する。プロデュースしたアカウントやサービスは多くのZ世代の支持を集めている。「NewsPicks」や「日経クロストレンド」など、個人としても多数のメディアに出演。著書に『エモ消費』『Z世代マーケティング見るだけノート』など。X(旧Twitter):@k_hanarida)

日経COMEMOではZ目線でnoteを綴り、日経クロストレンドでは、「今瀧健登のZ世代マーケティング」を連載中。


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今瀧健登 / Z世代の企画屋
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