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「全力に神が宿る!」ー【COMEMO KOLインタビュー】翠川裕美さん

日経COMEMOのKOL(キーオピニオンリーダー)翠川裕美さんは、2017年にクリエイターの創作活動をブランディングとビジネスの両面からサポートするWebサービス「KATALOKooo(カタロクー)」を立ち上げ、会社代表を務めながら、現場ではプロデューサーとして活躍。私生活では3人のお子さんを育てるママでもある翠川さん。そのパワーの源は何なのか伺いました。

【COMEMO KOLインタビュー】は、キーオピニオンリーダーの思いやルーツ、人となりを紹介する連載です。取材には、日経とnoteによる学びのコミュニティ「Nサロン」のメンバーを招待。実際の取材現場体験を通してビジネススキル向上の機会を提供しています。


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翠川裕美さんプロフィール
株式会社シロアナ/株式会社モンキーブレッド代表。新しい時代のカタログを目指すWebサービス「KATALOKooo(カタロクー)」により、クリエイターが創作活動をする上でブランディングとビジネスの両方を成立させるサポートを行っている。3児のママでもある。


―(Nサロンメンバー大塚)「KATALOKooo」のサービスには「クリエイティブな人の課題や問題を解決したい」という、翠川さんの強い想いを感じるのですが、そこに至った原体験などがあれば教えていただけますか?

子供の頃は、なんでもそれなりに良くできて、上手にこなせてしまうタイプでした。いろんなことができるけど突出したものはない、「器用貧乏」という感じだったんです。でも、小学生の頃から「一生、仕事がしたい!」と考えているような、かなり意識の高い子供だったので(笑)自分の得意なものがわからなくて、ずっとそれを考えていました。「私の得意なことってなんだろう?」と。

学校に行くと、例えば絵を描くのがものすごく上手で、しかも上手なだけじゃなくて、それに「没頭」している子がいるわけです。図画工作の授業の時間に、チャイムが鳴ったことにすら気づかずに絵を描き続けているような。私はそんなふうになったことがなかったので、「これにはかなわないな」と思いました。

能力が長けている人の集中力を見ていて、「私にもこんなものがあるのかな?」「あるとしたらそれは何なのかな?」と、その後もずっと考え続けていましたが、高校生くらいになっても「今のところなさそうだな」と思ったままでした。

ただ、それと同時に思っていたのは、専門性の高い人が私は好きだということでした。特に芸術系の人たちが好きで、歌が上手いとか、絵が上手いとか、自分が勝てないような才能をもっている人が大好きでした。憧れがあったんです。だから、そういう人たちと関わり続けたい、関わっていくためにはどうしたらいいだろう、ということも考えるようになっていました。

大学に入ってひと通りデザインの勉強もしましたが、やっぱり「自分にはかなわないな」としか思えなくて。自分が優れたものを作ることよりも、優れた人が作っているものを見るほうが好きだという気持ちがますます強くなりました。

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―(大塚)「KATALOKooo」のサービスを立ち上げることになった経緯と、そのときに気づいたことや感じたことなどがあれば教えていただけますか?

自分が作家やクリエイターになるのではなく、その仕事をしている人たちに関わることができる職業が何なのか、最初は思いつきませんでした。そのうち、作家やクリエイターが作品や商品を作っている会社の中にいる「広報する人」がいいのかな、と思うようになって就職活動をしました。

その後、いろんな経緯を経て、私は「IDEE(イデー)」で働くようになったのですが、会社も新人にいきなり広報を任せたりはしないわけです。最初は店舗勤務で、販売の仕事をすることになりました。今考えればそれは当然のことだと思いますが、当時は「大学で4年も勉強して販売か……」と思ってしまって。でも私、売るのはめちゃくちゃ得意だったんですよ(笑)

「いいところを見つけて伝えること」は、そういえば子供の頃から得意でした。それに、よくよく考えたら「売る人」がいないと「作る人」がいても成立しない。私は数字も得意だったので、売上げも徹底的に数字を見てどんどん伸ばしていきました。目標に対する達成思考が強いんですよね。それで、販売は「総合力」だと思うようになったんです。

独立した最初の頃は、1つ1つのブランドの相談に、個別に乗って手伝っていました。作家さんやブランドさんはとにかくみんな売ることが苦手で、さらにWebも苦手で。みんな同じところで悩んでいました。10ブランドくらい手伝っていましたが、必要としてくれる人が増えていく中で、私1人でサポートするには限界があるなと感じるようになりました。

それで「サービスにして、システムにして、人を入れる」ことで、もう少し手伝えるブランドを増やせるなと思って「KATALOKooo」を作りました。だから「KATALOKooo」は、他のITサービスとは全然成り立ちが違うんです。みんなが同じ問題にぶつかっている中で、その人たちに必要なツールを作ったということなんです。

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―(大塚)翠川さんがCOMEMOに書かれた記事「ウルサス時代も、賢い人はモノに恋するのをやめない。」について、買う人の意識向上や啓蒙についてどんなお考えをおもちですか?

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↑COMEMOに投稿した内容が日経記者の目に止まり、朝刊に掲載されました

買う人が、実は頭も良くて物事をしっかりと考えていても、情報に流されてしまうように世の中はできている、ということを忘れないようにしています。広告を打つ余裕があるような作り方をしているものが、生活に入ってきやすいようになっているということです。私は作る人のサポートを仕事にしていますが、買う人だけの問題ではないと思っています。

「大手の会社に勤めているそれなりに収入のある人がユニクロを買う」というようなことが起こってしまう。もちろん「ユニクロ」が悪いわけではありません。いろいろ見た結果、ユニクロが一番自分に合っているとか、デザインや考え方に共感しているとか、それならばすばらしいことだと思います。そうではなく「会社の隣にユニクロがあったから全部そこで済ませている」という人には、もう少し考えてほしいなと思います。

私がこの記事で、あえて「賢い人」という言い方をしているのも、読んでくれた人に「私は賢いんだからこうやってものを選ばなきゃ」と思ってほしかったからです。COMEMOは「意識はあるんだけど、糸口を探している」という人が読んでいるメディアだと思うんです。だからあれは「皆さんは情報に左右されない人たちですよね」というメッセージでもあるんです。

本当にお金に余裕がないという人に「12万円のいすを買いなさい」と言うつもりはありません。でも、少し余裕があったり、良いものを作る人たちを文化として大事にしたいと思っている人たちには、しっかりと考えてほしい。そのためにどうすればいいかという課題は、自分の中にもっています。ものを「作る人」と「売る人」と「買う人」はセットなので、その市場が広がらないと作っても作ってもゴミになってしまいます。その一方で「いいものに出会いたい」と思っている人はたくさんいるわけですから、そういう部分のマッチングをしっかりやっていきたいと思っています。

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―(大塚)翠川さんがCOMEMOに書かれた記事「プロマネ、それは愛」について、「愛の出力を高める」というお話がありましたが、そのコツがあったら教えていただけますか?

まず「口に出すこと」だと思います。「心の中でずっと思っていました」って言う人がときどきいますが「それ早く言いなよ!」と思うじゃないですか(笑)私は何でもすぐに言ってしまうタイプですが、思いをずっと心に溜めていた人がボソッとつぶやくひと言が胸に刺さることだってあります。だから、1回だけでいいので、口に出して言ってみてほしいなと思います。

そして「主観で言うこと」もとても大事です。“私は”というのが大事なんです。うちのスタッフも、素敵な作家さんに会うときに、どうやって思いを伝えたらいいのかと悩んでいることがありますが、そういうときは、純粋に「すごく好きなのでまた来ます」と言ってまた行けばいいんです。「好きだ」と言われて「また来る」と言われて、ほんとに「また来た!」となれば、相手は「好きでいてくれてるんだな」と思うものです。その気持ちを100%信じてもらえなかったとしても、少しはプラスになっているはずです。それを重ねていくしかありません。

「自分の主観で口に出す」ということがほんとに大事です。口に出すことが難しいなら「紙に書く」でもいいと思います。それで嘘は言わないようにすれば、思いは伝わります。

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―(大塚)翠川さんは3人のお子さんの子育てもされていますし、とてもパワフルな印象があるのですが、人生へのこだわりや信念があれば教えていただけますか?

「全部全力でやる」ことです。これは、当たり前のようにずっとやってきたことですね。あとは「とりあえず一歩出す」こと。こまめに達成感を得たい性格なんです。それを積み上げて「やっぱり私はできる!」と自己肯定感を高めていくというやり方です。

子供にも、なるべく失敗の確率が低いような挑戦をさせて、「できた!」と思える体験をする機会を作ってあげられるようにしています。どんなに小さなことでもいいので、成功体験をたくさん積み上げていることが重要だと思うんです。大きなことを1回で成功させるよりも、ほんとに小さなことでもいいので「私はできるんだ!」と思えるようなことを意識的にやるといいのではないかと思っています。

ブランドのサポートも、この考えでやっています。何かやれば、何もやらなかったよりは結果が出るわけですから、思うように売れないと落ち込んでいるブランドに対しても、「50人でも買ってくれた人がいたんだから、それってすごくない?」というスタンスで声をかけて、次のアドバイスをしています。

失敗は基本ないと思っています。失敗のハードルをすごく低くして、成功体験をたくさん積むことです。子供も大人も会社も同じで、これは今からでもできることだと思います。

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↑取材したNサロンメンバーと。

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