中途半端で何者でもないあなたが何でも屋である可能性の話
先日、Facebookで「肩書き迷子いらっしゃい」というイベントをやったら誰か来るかしらというような投稿を見かけたのだが、それがそこそこ盛り上がるスレッドになっていた。そうか、昨今多いのか、「肩書が難しい」問題。
かくいう私も、「何をされてる方なんですか?」といわれたときに「何をしてるんでしょうね毎日本当に…」と答えること12年(=独立と同じ年数)になっていて、いつも悩まされています。要するに、「これ」と決まった専門家に依頼していること以外全部やる、みたいなことで、説明がしにくい。
子どもに説明するときに、「何でも屋」と言ってしまったりする。もう少し何かを付け加えるとしたら、「うまくいくためのことなら何でもする屋さん」だ。
この「肩書が難しい」問題は、本来終身雇用だった時代には大手に所属していたことが多かったジェネラリスト的存在が働き方改革が進む中、多様性を認めることが当たり前になり、多動気味であることも肯定されるようになり、飛び出せるようになってきた今の時代を映し出す世の中的事象な気がする。
境界線が曖昧どころか跨って従事することで唯一無二になる矛盾
ジェネラリストを分類する肩書が業界ごとに意味合いが少しずつ違っていて、違和感があったりするから名乗りづらいようなことも起きている。
例えばこんなところだろうか。必要能力が種別的に重なっているところもあるし、さらに人によっては役割が複数またがっていたりする。能力は二つ以上持っていると唯一無二性こそ出てくるが、組み合わさっていると名前がさらにつけにくくなってくる。
業界×ジェネラリスト種別である程度語れる
一言で「何でも屋」と言いがちだが、ジャンルはある。おばあちゃんからしたら、「何でも屋さん」は電球を変える依頼をする人だと想像するだろうが私は電球を変えるわけではない。あるジャンルにおいての「何でも屋」だ。
あるジャンル=業界の中の知識や経験は必要で、「何でも屋」は経営戦略からから現場への落とし込みまで、クライアントの悩みの時点から、専門家が提案するソリューションまで、川上から川下まで理解でき、話ができ、全員に然るべき情報粒度で共有できるから「何でも屋」として食っていける。
専門家でないから実際何をやったのかわからない
例えば私が属するあるジャンルは、「小売」「EC」「DX」「ダイレクトマーケティング」「ブランディング」あたりである。
一昨年の事例でいうと、Soup Stock TokyoのECリニューアルにディレクターとして「深く関わった」とはいえるが、「私が作りました!」とは到底いえない。デザインやコーディングを私がしたわけでもないし、プランニングは社内の人とすり合わせにすり合わせて行い、決めたのはクライアントで、私は方向性を示して進めて最後リリースまで伴走しただけだ。
上記のように、スペシャリスト=専門家との明確な違いは、アウトプットや納品物の形がなく、過程そのものだったりするところだろうか。
「中途半端で何もない」人と、「プロの何でも屋」の明確な違いは現場での強さ
何でも屋として食えていたりいつも何か面白い事業や企画に取り組めている人に共通して言えるのは、「現場に強い」ことだ。
現場に強いを分解すると、オーナーシップとグリット力だと思う。なんとしてでも成功させてやる!というグリット力。最後までグリットするためにも、オーナーシップを持って自分ごととして動く。
ここに意識があると、現場の細かいところは見ていなければいけないし、最終的には何か起きれば全て自分でなんとかしなければいけない。頭を使っているだけでなく、現場に強い。この意識があるか否かで、大きな組織の中での何でも屋として結果を出す、独立して何でも屋で食っていく、でも、どちらでもいけるかどうか決まると思う。
何者でもなくても、オーナーシップとグリット力があれば、何でも屋のプロになれる。ジェネラリストの生きる道の正解じゃないだろうか。「専門家で手に職持たないと生きていけない」から一転、ジェネラリストこそAIにできない仕事なので、明るい話のような気がしている。
私は、肩書こそまだ定まっていないがジェネラルな動きをして、社会人時代から独立起業後も仕事がずっとあったし、最近ではジェネラル×ジェネラルの極みのような仕事の発注のされ方をされる件ばかりだ。
「何者でもない」で悩んでいる人がいたとしても、「何でも屋のプロ」になれるコツは現場に転がってます。一緒に頑張っていきましょう。
★何でもない私の生きる道「感性を磨く」みたいなことを過去書いた投稿もぜひ合わせて読んでいただけたら嬉しいです。
★「学生時代主張するなといわれて育てられたのに、社会人になった途端個性といわれるの無理ゲー」という話はよく聞くが、2014年に連載のはじまった「僕のヒーローアカデミア」は、世界総人口の約8割が超常能力“個性”を持つに至った超人社会の中で、主人公は超常能力が発現しない“無個性”だったが、ヒーローになる夢を追いかけ奮闘する物語で、この夏休みも僕のヒーローアカデミアTHE MOVIE YOU'RE NEXTが公開されてます(9歳の長男が夢中になっています)。「個性」に関する感覚は、子どもの方がアップデートされている気がする。
★先日、関わりのある会社さんの展示会にお邪魔させていただいた際、社長が私のことを社員の方に紹介する際に「えーと、この人は…なんだろう、コンビニ?」と紹介していた。確かに小売に必要なすべてをとりあえず1週間過ごせる程度に全て盛り込んだコンビニのような仕事の仕方をしています。百貨店でも、専門店でもなく、とても言い得ていると思いました。
★日経電子版の記事抜粋(こちらは専門家がジェネラリストになるという話)