SHEINの爆益がとまらない。ZARAを超えて世界一を目指す野望と戦略
日本でもヘビーユーザーがたくさんいるSHEIN。世界で急成長する理由を解説してる人がたくさんいるので、みなさんご存知かと思います。その分析は強いビジネス解説者に任せますが、いちおうChatGPTに躍進の秘訣を聞いてみたらこんな解説が↓
もう簡単な回答はGPTで十分ですね笑。ビジネス系解説記事とか絶滅間近なのか。
■資金調達の規模も凄まじい
そんなSHEINですが資金調達も好調とのニュースが中国でバズっていました。最新の資金調達ラウンドが進行中で、すでに20億ドル近い資金調達の第1ラウンドが終了。中東の政府系ファンドもいくつか参加しているとのことです。
去年までとは違って若干消極的な時勢にも関わらず、今回の資金調達はOpenAI、決済会社Stripeに次ぐ世界第3位の規模です。報道ではSHEINが今年の後半にアメリカで株式公開する予定と関係者からの見解が出ていましたが、SHEINはノーコメントで現時点では株式公開の予定はないというのがオフィシャルな見解とのこと。
外野目線では絶好調で資金調達の逼迫したニーズもないように思えますが、現状に満足せず上を狙うということなのでしょう。4年連続で黒字を達成していて、さらに2022年は純利益が10億ドル。ちなみにSHEINの売上高は2022年は前年比で46%増の290億ドルを突破し、単一ブランドとしては初めてZARAの年間売上高を上回っています。
■SHEINの次の狙いは南米と中東か
アメリカでの人気を見るに、すでに北米を制覇したといっても過言ではないSHEINは、今は南米と中東に力を入れているといいます。これには、3年ほど前にインドで他の数十社の中国IT企業のアプリとともに市場から退場させられた苦い経験からリベンジの気持ちを指摘されていました。
中南米市場への参入は簡単ではなく、まず衣料品にかかる30%を超える関税率と戦わなければいけません。あまり南米輸入ルールに詳しくないのですが、特にブラジルは関税が高いうえに関税の計算が複雑とのこと。それは、最近のブラジル政府が外国からの輸出入に課税する貿易保護政策を強化しているうえに、WebECの物流ではブラジルの各州で異なる売上税が存在するという複雑さ。
今年の1月末にソフトバンクの元COOのMarcelo Crowell氏がSHEINのラテンアメリカ事業の会長に就任して、ラテンアメリカ戦略が着々と進んでいるとのこと。 Marcelo Crowellはかつて孫正義の右腕、副社長としてブラジルとメキシコ市場を中心に活動していたうえ、彼のファミリーオフィスは個人ベースでSHEINに約1億ドルを投資。ブラジルはSHEINにとって最も重要な新市場の一つとされていて、昨年のSHEINの年間売上の約3%はブラジルからもたらされているとのことです。
また南米の他には、中東もSHEINが注目している成長市場で、データからは昨年のSHEINの総売上の13%を中東での現地販売が占めています。 今回出資したムバダラはUAE政府系ファンドで、UAE王室とのつながりが強く、会長はUAE副首相、役員にはエネルギー・インフラ大臣など政府関係者が名を連ねているとのことで、有力なところをおさえてしっかりやってるなと関心しました。今後ますます伸びそうですね。
■最大のライバルはGAPやユニクロではなくTEMU!?
そして面白いのは、拼多多の海外サービスのTEMUが急成長していて、その勢いが比較されていること。拼多多がどれほど面白くすごい企業なのかは以前紹介しました。ちょっと時間が経ったのでもう一度新しい情報も追加して今度紹介しますね↓
中国のみんなにとって、SHEINは突然海外で成功したサービスという印象ですが、拼多多は中国人誰もが知っていると言っても過言ではない正真正銘の中国ECサービス企業。
海外バージョンのTEMUは初期段階でSHEINのモデルを深く研究し(真似たわけではないというが)、TEMUはSHEINから「まったく新しい市場での最初の一歩を踏み出す方法、プラットフォームが商品を強力にコントロールすることを学んだ」と言われています。
その学びからの勢いがどれほど強烈かというと、TEMUは開始からわずか10カ月足らずで、すでに米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、英国、フランス、ドイツ、スペインなどに進出。業界関係者は、"TEMUは全く止まらず、新市場への参入を加速している "と話しているとのこと。
両社はそれぞれの強みを持っています。SHEINは、中国の縫製工場と緊密に連携し、自ら生産発注する「小口ファストカウンター」でアパレル業界の究極の効率化を実現。一方のTEMUはサプライチェーンが優秀で日々の食料品など軽くて小さな商品で価格的な優位性を発揮しています。 両社のユーザーの重複は現在一桁台前半で、差別化できていると分析されている。
そして最後に、中国研究員たちと議論していた時に面白いなと感じたポイントを。みんなpinduoduoは日常的に利用してるのでTEMUはなんとなく想像できるのですが、SHEINは海外で150ヵ国以上サービスを提供していてアメリカや日本では若者に熱狂を生み出しているのに、中国人たちはまるでピンとこないところ。
実際、中国市場でのビジネスは全く展開していません。取り扱うものを記事や海外のネットサイトから見ることは可能ですが、それ以外は全く接点がないため想像上のサービスなのかと思っている人も笑。ボクも一時帰国したら実店舗に是非行ってみたいです。ただ新しい型の成功中国企業ということで、今後も注目していきたいと思います。
(参考資料)