「宇宙×教育」に注目! ~VUCAやSDGs、これからの時代に必要なアントレプレナーシップ
お疲れ様です。メタバースクリエイターズ若宮です。
今日は「宇宙×教育」のポテンシャルについて書きます。
宇宙商社・Space BDさんを訪問
先日、Space BDという宇宙ベンチャーに訪問し、代表の永崎さんとお話ししてきました。
Space BDさんは「宇宙商社」を称するベンチャーで、宇宙に関するさまざまな事業を展開されています。
事業は3本の柱があり、ロケットで宇宙に衛星を打ち上げたり、ISSに荷物を届けたりする「宇宙インフラ事業」、宇宙でライフサイエンス製品を開発したり、地域活性化やマーケに生かす「宇宙利用ビジネス」、そして3つ目が「宇宙×教育」です。
永崎さんはとくに宇宙関係の研究や仕事をしていたわけではなく、商社に勤めたあと教育事業のナガサキ・アンド・カンパニーという会社を立ち上げます。そこから宇宙産業に移っていくのですが、「教育」がもともとの軸にあるんですよね。
Space BDの創業ストーリーが最高
そもそもSpace BDを立ち上げる創業ストーリーがとても面白いんです。
最初に立ち上げたナガサキ・アンド・カンパニーで、永崎さんは教育事業として、起業家教育プログラムをしていて、AOKIホールディングスの会長と出会い、AOKIの中学生向けの起業家育成プログラムを請け負うことになりました。
(このプログラム無料なのですが、ビジネスプランだけでなくアントレプレナーシップも身につけられて、シリコンバレーへの渡航があったりとても充実しているので中学生で起業に興味がある方にはすごくおすすめです)
そのプロジェクトをする中、永崎さんは青木会長から、「起業家を育てるのはいいけれど、自分自身は大きな挑戦をしているのか?」という話をされたんだそうです。そしてそれを受けて、永崎さんは大きな事業に自らチャレンジして背中を見せようと一念発起。どうせやるならデカい事業を、と考え宇宙事業にチャレンジすることを決意したのだそうです。
それまでとくに宇宙のバックグラウンドは無かったのに、「自分がまずやる」→「やるならデカく」→→「デカいは宇宙」っていう、マジカルバナナみたいな連想(失礼)で宇宙事業始めちゃうってやばくないですか?(ほんとはこんなに単純ではなく、もちろん事業的にちゃんと検討したのだとおもいますが)
とはいえ、永崎さんは商社で国をまたいで大きなニーズをつなぐことで事業にする経験があったので、それを活かして宇宙ビジネスを展開しています。たとえば、宇宙ステーションへの荷物輸送も、国内の企業が送りたい荷物を海外のロケットのスペースを購入してアロケーションしたりとか、商社的なビジネスモデルですし、「物流」のソリューションといっても何せ宇宙、規模が大きいので一発の売上も大きくなります。
しかし一方で金額が大きくなれば、何かあった時(たとえばロケットの打ち上げが失敗したり)には大きな損失になるリスクもあります。
未経験からでも、「どうせやるならデカいこと!」とそこにチャレンジして手探りで事業として成り立たせてきた、これは誰でもできることでは全然なくて、こういう未踏への勇気が宇宙事業の何よりの参入障壁になっている気もします。
宇宙飛行士育成における8つの能力
で、話を戻すと「宇宙×教育」です。
そもそも今回僕が永崎さんに話を聞きに行った理由は、Space BDで宇宙飛行士の育成に取り組んでいると聞いたからです。日本で宇宙飛行士の育成を実施しているのは数社しかなく、その中の一つがSpace BDなんだとか。
宇宙飛行士というと、すぐに頭に浮かぶのが『宇宙兄弟』。宇宙兄弟では、宇宙飛行士の選抜試験が描かれていますが、それがとても面白い。狭い空間で、評価基準も明かされないままチームワークや課題解決能力を問われます。
宇宙飛行士はメンタルコントロールやチームビルディングが高いレベルで求められる極限の職業といってもよいかもしれません。
僕は閉所恐怖症なので、そこからして無理なのですが、狭い空間で異国の人と長期間一緒に生活するのもかなりストレスフルなはず。しかもちょっとしたミスがクルー全員の命を左右してしまうような極限な環境で、協力して安定してパフォーマンスを発揮しなければなりません。
(僕もまだ読めていないのですが)Space BDさんはJAXAなどとこうした能力を高めるメソッドをつくっていてるそうで『宇宙飛行士の教科書』という書籍も出されています
このメソッドはもともとはNASAの知見をもとに作られているらしいのですが、宇宙飛行士に必要な8つの能力があるとされています。
「宇宙×教育」はこれからのアントレプレナーシップ
その場でちょっとだけみさせていただいたところ、一つ目の「自己管理」というの項目には原語が併記されていたのですが、「self management/self care」とあったんですね。これは「管理」という日本語訳よりもしっくりきました。
「管理」というと「コントロール」っていう感じや消極的・受動的な感じがしますが、「マネジメント」や「ケア」の方がより能動的でアクティブな介入な気がします。
とりわけ危機的状況において、自暴自棄やパニックにならずに自らやチームをケアし、先に進めるために何をすべきかことを考えられるか?これは起業家にとっても非常に重要な能力です。
また、宇宙飛行士は、様々な国の人々と協力し、予測不能な状況に対応していかねばなりません。そこで「対人コンフリクト管理」や「異文化理解」も入っている。起業や経営においても、ほとんどの課題は人を起因とした適応課題です。また、ダイバーシティやインクルージョンのために(ここが日本企業がまだまだ弱いところですが)「異文化理解」もますます重要になってくる。
最後に、課題解決能力ですが、ここに「状況認識」が入っているのもいい。「課題」というのはそれを正しく認識し問いを立てられるかでほとんど決まる気がするのですが、宇宙飛行士はどんな時でも状況をしっかり認識できる力を求められる。
このように、宇宙飛行士の教育・育成には、これからの教育や、起業家育成、経営にとって重要な要素がめちゃくちゃ含まれている。
テクノロジーの進化により、変化のスピードが速くなり、VUCAの時代と言われます。昭和の時代のようには先を予測できないし、リスクも増えている。VUCAの時代に自分自身やチームをリードしていくことは、未踏の無重力な宇宙空間でプロジェクトを遂行するようなものかもしれません。
また、SDGsの時代になり、自分たちだけではなく、社内外の人々とのコラボレーションが求められています。異文化を含めたダイバーシティやインクルージョンを考える時、そこにはかならず「葛藤」があり、それにどう向き合うか?どう共にあるか?ということが求められてきます。
(VUCAの時代における価値創出として僕は「アート思考」を大学院などで教えていますが、セルフマネジメントと異質性に対するマインドセットとしては共通する部分も感じます(これに加えてアートでは身体性と異化も大事))
宇宙飛行士、というまさにフロンティアに挑戦する人たちを育成する「宇宙×教育」。それはVUCAの時代、SDGsの時代という、これからの教育においてとても大きなポテンシャルを秘めている気がします。要チェックやで!
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