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イベントレポート「データの世紀 アフターコロナ時代のDX事業戦略」(2020/6/11 日経COMEMO主催)

6月11日(木)、日経COMEMO主催のオンラインイベント「データの世紀 アフターコロナ時代のDX事業戦略」を開催しました。

このイベントは、日経電子版の人気連載企画「データの世紀」のシリーズイベントです。

昨年11月の開催に続く第2弾で、今回は、新型コロナウイルス感染拡大の影響へのDX先進国の対応事例から見えてくる、事業戦略や企業に求められる変革などについてディスカッションしました。

書籍 「DX入門」の著者であり日経COMEMOキーオピニオンリーダーの須藤憲司さん、最先端イノベーションを活用した事業開発や日米共同事業のサポートでご活躍されている射場瞬さん、販売・マーケティングのプロとして多方面で活躍中の相澤利彦さんをゲストにお招きし、トークセッションを行いました。

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須藤憲司 氏
Kaizen Platform CEO

2003年に早稲田大学を卒業後、リクルートに入社。同社のマーケティング部門、新規事業開発部門を経て、リクルートマーケティングパートナーズ執行役員として活躍。13年にKaizen Platformを米国で創業。現在は日米2拠点で累計400社以上の国内外のDX戦略の立案と実行を支援。


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射場 瞬 氏
IBAカンパニー 代表取締役

IBAカンパニー代表として、米国等の最先端イノベーションを活用しての事業開発、日米の共同事業をサポートする。現在のフォーカス領域はデータ活用、フィンテック、サービス&リテールテック。IBA立ち上げ前は、18年間米国企業の本社とアジアにて、新規事業開発およびマネージメントに従事。コルゲート・パマリブ社、クラフト社、 アメリカンエキスプレス社、Fila社を経て、日本コカコーラ社副社長としてイノベーションをリードした。


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相澤利彦 氏
TSUNAGU・パートナーズ 代表取締役

コスモ石油を経て経営コンサルティングに従事(ブーズ・アレン&ハミルトン、アクセンチュア・グローバル戦略グループ統括エグゼクティブパートナー)。ダイエー業務改革担当取締役兼CIO、am/pmジャパン代表取締役社長を歴任し、TSUNAGU・パートナーズを設立。販売・マーケティングのプロとして戦略コンサルティングに携わるほか、ローソン顧問、グロービス経営大学院教授など多方面で活躍している。


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植松正史 氏
日本経済新聞社 編集局 法務報道部次長

経済や企業経営など様々な分野の記者で構成する「データエコノミー取材班」のデスク。2019年度新聞協会賞を受賞した連載企画「データの世紀」を担当し、米IT大手のGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)の動きなどデータエコノミーの広がりや社会への影響、個人情報の規制の変化などを追った。1999年入社。社会部と法務報道部で取材経験を積み、企業法務や国際税務にも精通する。


トークセッションの話題の中心になったのが、米国で急成長した「BOPIS」でした。登壇者コメントの一部を紹介します。

BOPIS(=Buy Online Pick In Store):ボッピス」とは、先にオンラインで購入して支払いを済ませ店頭で受け取る仕組みを指す流通用語です。

■コロナ禍で急成長した「BOPIS」

ー射場さん
BOPISのポイントは受取方法にあります。米国のBOPISは「カウンター受取」から始まり、次に「タワー」と呼ばれるQRコードをかざすと自動で商品が出てくるロッカーができました。しかし、効率やキャパの問題から現在主流になっているのが「カーブサイドピックアップ」という仕組みです。所定の場所に車を止めると店員さんが商品を運んできてトランクに入れてくれるサービスです。

須藤さん
今回、コロナの影響で日本ではEコマースのニーズが急増して、1.5〜1.6倍くらいになったものの、キャパの問題でそれ以上受けきれないということが起こっていましたね。

相澤さん
物流に余裕をもたせてやろうとすると、どうしてもROIが下がってしまいますから、限界がありますよね。中国では「フーマー」のような、デリバリーを軸とする仕組みが主流です。中国はデリバリーコストが安いので。BOPISについては、明らかに米国のほうが先行していると思います。

■「BOPIS」の成功とDX

ー射場さん
BOPISが成功した最大の理由は、流通業界の中でAmazonに対抗できるようなDX化をしなければならないときに、「リアルな店舗があることが有利になるような勝ち方」を考えたことにあったと思います。オンライン中心のデリバリーの仕組みでAmazonに勝つことは難しかったでしょうが、店舗(拠点)を多数もっていることが大きなメリットになる「店舗を活かす仕組み」をきちんと作ったことが成功の要因と言えます。リアルを活かしつつ、いかにデジタルを加えるかが重要なポイントです。

相澤さん
中国型と米国型で、大きく違いがあると思います。中国型とはアリババなどに代表される、オンラインでの顧客体験がリアルを飲み込んでしまうようなモデルです。一方、米国型、特にウォルマートに代表されるようなリアル型は、デジタル技術がオフライン顧客体験のリアルを支援するモデルと言えます。

須藤さん
今回のウォルマートのBOPISは、倉庫に投資するのではなく、デジタルを使ってリアル店舗を倉庫化したということだと思います。今から倉庫に投資して、ロボットを使ったオート倉庫を作って、Amazonと同じ戦い方をしようとすれば、後発の会社にはかなり厳しい。店舗をもっていることの意味を「どう拡張していくか?」を考えることが重要だと思います。BOPISは、デジタルによって店舗の役割を拡張した非常にいい事例だと言えます。

■経済レジリエンスの重要性

相澤さん
私は、日本は「コロナ犠牲者は最小、経済犠牲者は最大」という国になってしまうのではないかという問題意識をもっています。米中など、日本よりも減益率の低い国は、柔軟なインフラによって休業しなくてもいい仕組みが整っていました。BOPISに代表されるような仕組みがあることは、社会全体として「経済レジリエンスが高い」ということです。日本は「休業=ダメージ」になってしまった。社会全体でこのような仕組みをもつことを考えなければいけないと思います。

ー射場さん
柔軟なインフラというのはとても大事で、結局それが企業のブランドイメージや信頼にも繋がります。コロナ以前、リテールではAmazon一強という感じでしたが、途中からはBOPISが強いウォールマートなどの信頼度が急激に上がっていきました。今すぐに物が必要で、でも店舗に行って買い物はしたくないという状況の中で、「助けてくれる柔軟性がある」というところが一気にブランドイメージを上げました。レジリエンスがあることが、とても重要なポイントになっていると思います。

須藤さん
「DX」とは一過性のトレンドではなく、産業革命と同じくらいのインパクトがあることだと思っています。消費者と生産者がデジタルによってEnd-to-endで繋がると何が起こるのかと想像することは、非常に大事なことです。「DX or Die」つまり「DXしないと死ぬ」というくらい、自分たちのやっている事業やその価値がDXしなければ生き残れないということを、真面目に考える必要があると思います。悲観的なシナリオを思い描きながらも、楽観的に物事を進める、今はその両方が必要だと思います。

■質疑応答

Q.日本は車社会ではない、かつ、デリバリー単価が高い、ということもあり、どのような業態がフィットするのか興味あります。

ー射場さん
米国では百貨店もBOPISを入れています。これにより百貨店のオンラインオーダーは増えています。オンラインでオーダーしたものを単に受け取るだけでなく、試してみて気に入らなければその場で返却できるようなシステムもあります。店舗の一部をBOPIS専用のスペースにして、そこだけ営業時間を朝7時から夜11時までオープンするなど、時間対応の幅も広げています。通常は駅前などに店舗を構える百貨店が、BOPIS用の店舗を住宅街に設置し、そこで商品のピックアップや試着および返却ができるサービスを提供しているケースもあります。

須藤さん
日本では百貨店には外商があって、個人宅を訪問する仕組みがありますが、米国のBOPISの店舗は誰でも行くことができます。しかも、商品がそこにあるわけではなく、自分の気になる商品をカートに入れておいて、そこに行って、試着して、気に入らなければボックスに入れて帰る、という仕組みです。つまり「試着室」みたいなイメージですよね。このような百貨店を分散化するようなことは、日本でもありえるのではないかと思います。


▼須藤さんによる今回のイベントの関連投稿

▼【日経COMEMO(コメモ)】各界リーダーのビジネス知見が集まるサイト

▼【日経COMEMOコンセプトムービー】


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