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イベント業界:リアル→オンラインで済ませてしまってよいのか?=ドイツから考える

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて世界中の様々なイベントは、オンライン開催に移行しつつあります。一方で、リアルでの開催を目指す動きがあることは筆者も以前からお伝えしてきました。(「リアルイベントのコロナ予防ルールを今試す理由=ドイツ発」

欧州ではリアルとオンラインの融合を目指すハイブリッド型の国際見本市が計画され注目を集めつつあります。先日も『日経産業新聞』が7月24日付けの記事で取り上げたところでした。

ハイブリッド型と一口に言ってもその開催形態は色々とバリエーションがありそうです。今回は、ドイツ、フランクフルトの国際書籍見本市「フランクフルト・ブックフェア」の計画を見てみたいと思います。

「フランクフルト・ブックフェア」は、30万人近くの出版関係者と一般参加者が世界各地から開催地のドイツ、フランクフルトに集まる毎年秋に実施されている国際見本市です。主催者のメッセ・フランクフルトは、会場運営事業者だけでなくイベント事業も行っており、ドイツ国外の都市でもイベントを開催しています。

そんな「フランクフルト・ブックフェア」ですが、今秋の開催は5月時点ですでに分散化を打ち出しています。(関連報道、ドイツ語)

そこで「フランクフルト・ブックフェア」が公式サイトで公開している開催コンセプトを眺めてみましょう。(下の画像は公式サイトからのスクリーンショットとなります。)

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中央の赤地の部分に書かれたコンセプトを実現する枠組みとして、核となる「ヴァーチャル」があり、その外側に「フィジカル」が位置付けられています。左は出版関係者に向けた内容で右は一般参加者です。

これだけみると、「ヴァーチャル」というオンラインと「フィジカル」というリアルのイベントをハイブリッド化したものだと思われることでしょう。もちろん、メイン会場は見本市施設のホールを使用します。

筆者が注目しているのはリアルの会場を分散化させる企画となる「BOOKFEST city」です。

これは、通常であれば見本市会場内の各ブースで行われていたトークショーや朗読会といったプログラムを会場となるフランクフルトの町の各所に分散化させて実施しようというものです。

大型国際見本市の開催に合わせて会場外の市内各所で関連イベントを実施して盛り上げていこうという企画は、例えばドイツのケルンで毎年夏に開催されているゲーム産業見本市「ゲームズコム」でも行われてきました。今年はオンラインのみの開催が決定していますが、去年は「gamescom city festival 2019」としてケルン市内の2カ所の広場にステージを設置していました。(関連情報:公式報道

話しを「BOOKFEST city」に戻すと、各種プログラムの一部を市内各所に分散化させれば、当然ながらメイン会場内の密集は避けられるということです。また、会場単位で来場者を管理することもでき、後日感染者が発生した場合でも感染経路を追跡することは可能になると思われます。

「BOOKFEST city」の公式ページを見る限り、現在は会場となるロケーションを募集している段階のようです。

いずれにしても、会場内とオンラインという場という2本立てではなく、町への分散化というコンセプトを打ち出した「フランクフルト・ブックエファ」の試みは今後も注目する価値があると筆者は考えています。みなさんはどう思われますか?







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